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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第5章:予選始まる

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50/80

突然の転校

 二人の…一種の決別とも言えるシーンがあっても同級生である。

 つまり一限目から同じ教室だ。


 泣き止み、それなりに化粧を整えた千種は(昨年のお盆以降薄いが千種は化粧するようになった)、いつもよりだいぶ遅いペースで歩く。


「気まずいよな」

「少し辛いかもしれない」

 本音のような、覚悟のような言葉を漏らした。


 教室に着くとマロさんとキントキさんがヒメさんを囲んでいる。

 どうした?


「千種、ヒメが急に転校するって」


 逃げ…ではないだろう。


「どこに…」

 千種も輪に加わりやっとそれだけを聞く。

 下を向いたままヒメさんは話さなかった。


 朝のホームルームのため、玲先生はいつもよりだいぶ早く来た。

 そして。


「しばらくおやすみしてごめんなさい。今日からまたお願いします。…突然ですが山門さんがこの度転校することに」

 なりましたと先生が告げ、ヒメさんに挨拶を促した。


 ヒメさんは立ち上がり

「今日までお世話になりました」

 とだけ話すと、先ほどと同じく下を向き席に着いた。


 本当に短く、飾ることのない寂しい一言だった。

 そして一限目が始まる前に玲先生と共に出ていった。


 おそらくは千種のためだけの登校だったのだろう。朝の言葉を信じるなら、恋人を自らの判断で二度と会えない立場に追いやり、自分もまた慣れ親しんだ環境から身を引く…それを告げるためだけに登校したのかと思うと、いくぶんか名残惜しさが正直残った。


 千種は静かにそこにいる。

 いつもの湖のような佇まいで。

 俺は千種の視線を追うのをやめた。


 そうして快活だった少女の席は、空いた。


 ・・·

「早名くんと室賀さん。午後時間ある?」

 玲先生から声をかけられたのはお昼。

 いつもより寂しい面子での昼飯を食べていた時だった。


 授業ありますよ?と返すと

「準備が足りなくてね、今日は受け持ちクラスを全部自習にしたの」

 じゃあ大丈夫か。

 四限目…つまりこのあとすぐに準備室に行けばいいのだろう。


「千種…なんかあった?」

 結菜が問う。

 ぎこちなくも千種は笑顔を作り

「幸平の授業態度のことじゃないかなあ」

 と答える。


「ほんとにこの人は…」

 と結菜は俺を見て


「千種、旦那選びに失敗したんじゃないの?」


 ちょ。どういう理屈でそんなことになるんだ。

 光太郎に悪口吹き込むぞ。

「そういうとこだよ、幸平くん」

 どこかで流行ってるのか、そう口にする結菜。


「光太郎に後で言っておく」

 何かの空気を読んだのか、珍しく美樹も加わりようやく俺たちはいつものように話し出した。


 それにしても…。

 玲先生への説明…どうしようか?

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