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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第4章:退院後の日々

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山門飛梅のケジメ

 ヒメさんとの口頭契約が終わると、ヒメさんは姿を消した。

 あれこれと思慮を巡らす千種に、概要を説明するだけでサボりの一限目の時間を目一杯使った。

 その構図の単純さに千種は怒り、呆れた。


 そして俺は…発熱した。

 ほんとに二限目から保健室である。

 怒りながらも千種は俺に付き添い、二限目も俺といた。


 急変が起こったのはそのあたりだったらしい。俺はあまり記憶にないのだが、心配したマロさんとキントキさんが二限目終わりに保健室に来て、知らせてくれたと言う。


 ヒメさんと田中秀吉が揃って早退した、と。


 千種は混乱したらしい。

 そしてすぐにヒメさんから千種宛にメッセージが届いた。

 もう二人の前に田中秀吉を立たせることはしないからと。

 どういうこと…と返信した千種には

「とにかくごめんなさい」

 と一度答えがあったきり、次のメッセージは未読のままとなったらしい。


 教室の中だけなら大丈夫だろうと千種は判断して、俺を保健室に残し三限目からは授業に戻った。

 それでも休み時間ごとに現れてはずっとそばに付いていたそうだ。


 ・・・

 夕方ころやっと目が覚めた。

 熱はどうやら落ち着いたようだ。

 まだ関節が痛い。


「そんなに授業が嫌か?」

 そう言って監督が保健室に入ってきた。

 相変わらず口の悪い。

「普段から寝ているし、あんまり変わりませんよ」

「おまえは…」

 呆れて監督は俺をベッドのまま、脈や喉、熱の有無なんかを診た。

 一応医者だもんな。不安だけど。


「うん、大丈夫だろう。たぶん授業への拒否反応だろうな」

 実は藪なんじゃ…と思ったのは内緒だ。


「おまえの復帰初日だからな。早く来てみりゃ案の定保健室だって聞いてな」

 …すみません、ありがとうございます。

「おまえに何かあったら薫さんに叱られるんだよ。40過ぎて怒られてみろ。そりゃ…効くぜ」

 …薫さん、怖いんですか?

「もっと怖いもんはいっぱいあるけどよ、丁寧に努力してんだから、こんなことで信頼失くすわけにいかないんだよ」

 …ぶっちゃけましたね。

「真っ当な交際ってやつ、悪かねえよ」


 ・・・

 なかよし水泳会は現在閉店中につき(全員、合宿に行ってる)、千種も時間がある。

 だからまあ…帰りも一緒なわけで。

 監督に車で送ってもらったから、すぐに着いたんだけどね。


 大変な一日だったな。保健室で寝ていただけの気もするが。

 千種にヒメさんからの返事はまだないと言う。

 どうするつもりなのか。


 一回だけ千種にメッセージが来た。

『千種も俺も心配なく登校してほしい』

 それだけだった。


 この結末だけは先に言っておこう。

 その日からヒメさんも田中も登校することはなく一週間が過ぎ、ヒメさんは戻ったものの、田中はあの日付けでこの学校を去った。


 急な退学だったと言う。

 不思議と惜しむ者はいなかった。

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