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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第4章:退院後の日々

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38/80

歪んだヒメの愛

()が今日から来る」

 事後の気怠い気分でいると、唐突にあんたは言い出した。

「幸平くんっしょ。まずは良かった」


 事故からリハビリを経て登校が可能になった友人の話題だと言うのに、あんた…田中秀吉は不機嫌そうに顔を曇らせた。


 婚約者のうちがそのささくれだった気持ちを宥めてやるのも今後のためだろう。


 うち…山門飛梅が自分で望み、得た婚約者はクールな外面と違い、矮小な器量と素直とは真逆の性向を持っていた。

 この地方の文化の継承者としての資質、技量、どれ一つとってもおよそ…才のない人。


 まあ、だからこそ。うちは惹かれて仕方がない。こんな凡人がどうあがくのか。身の丈に合わない生まれを越していくのか、諦めるのか、どんな人生を歩むのか。


 端的に言ってうちはひどく好みが悪いのだろう。


 ・・・

 婚約してすぐに体を求められた。

(猿みたいに直情的だねっ)

 心の中で毒づき、それでも応じた。

 たぶんうちは同世代に比べても性欲が強いのだろう。

 一度経験してしまうと、妊娠だけ気をつけながら、幾度となく肌を合わせることになる。

 他の男を知らないから、比べることはしないけど、稚拙のはずの行為も回数が増えてそれなりに巧みになり、主導権を取られそうになることもある。

 なにより、うちにこの俗物に対する情が湧き始めたことが問題になるのではないか…そんな懸念さえ感じていた。


 ・・・

 あんたはよりにもよって千種をほしがった。

 あの美貌なのか、静かな性向なのか。

 中学で千種は誰にも靡くことなく過ごし、高校入学と同時に、うちたちに旦那…幸平くんを紹介した。

 こんな冴えなさそうな男が千種を…。


 うちも男を見る目が足りないと今なら反省しよう。

 スポーツの実績は比類ない。

 少なくても学力は千種と同等以上である。

 凡そ思慮深く(千種はそれだけはないと言う)、千種を常に大切にしている。

 まだ大事になったことはないが、女の子が幸平くんに惹かれて当然だ。


 どうやってこんな人を見つけたのか。

 不思議だった。


 ・・・

 俗物に権力は、なんとかに刃物である。

 うちは婚約者をコントロールしているつもりだったけど、俗物のくせに欲求だけはいつの間にか肥大していて。

 千種と幸平くんが二人だけで住み始めたと聞いて、強奪を目論んだようだ。

 後からの状況証拠だけの推論だが。

 同じ俗物の父に何事かを吹き込み(もっとも高良の文化において男は女の添え物だ)、千種と年下の美少女をこちらの檻に閉じ込めようとする画策の原案を描いたようだ。そんなジャストタイミングな仕掛けは、すぐ近くにいる者でなければ分かり得ないチャンスだ。

 せめて千種と幸平くんがそのことに気づくのが遅くなりますように。


 そして…うちも女だ。

 うちのプライドは高良一の華と茶。それが千種より秀でている。

 幼馴染のような千種だけど、助ける義務はない。

 俗物であるあんたをどうやら()()()()()()()()()らしい。


 国会議員の死。早名神社の宮司一家のできごと。キイロバナ栽培家の実質的破綻。

 一日にして起きたことは生々しかったが。


 些事だ。


 この俗物を徹底的に支配し、一生自分のものにする。これからは何も画策できないほどに。


 二度目の性交が始まる。

 すぐにうちは…没入した。



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