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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第3章:入院生活

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今日の選択

 大学2年生になった晴さんはやはり気さくに俺たちに接する。


「二人ともどうしたの?幸平くんも千種ちゃんも」

 晴さんは不思議そうに俺の顔を覗き込む。

 ダメですって。


 ミコさんのことを含め、千種の内面を誰よりも知るからこそ、千種はどこかいつもと違う雰囲気を纏う。

 千種が他人へ影響を与えたとすれば…それは俺と晴さんの関係がただの義姉弟となっている現状だろう。

 本来ならもっと近しい…はっきり言えば恋愛関係になるはずであった関係に割り込んだのが千種…そんな風に表現したことがあった。

 そして、千種は結菜とは違う年齢差を超えた友人と晴さんを思っている。


 髪は初めて出会った時より長い。晶さんに少し似た顔は、千種とはまた違うタイプの美人だ。整った千種とは違い、幾分か垂れ目て唇の横にホクロ、どこかゼウスとムネモシュネの娘たちミューゼを連想させる。

 知的…ってやつだ。


「幸平くん良かったね。千種ちゃんがいて」

 ある意味核心ともとれることをさり気なく俺たちに言う。


 だからここは…惚気ちまうか。

「千種がいたから戻ってきちゃったんですよ」

 びっくりしたような顔をする二人。

「どうしたの幸平」

 珍しく()()の前で二人のことを惚気けるものだから、千種は素で質問してきた。

 晴さんも

「あらー。すっかり骨抜きみたいね」

 と笑う。


 うん、これでいい。

 本来の運命だとか相性だとか、そんなものただのきっかけだ。

 俺は千種の深い思いに救われ帰ってきた。

 俺たちはもうたくさんの思い出と、これからの未来を手に入れていくんだから。


 そしてもう一つの…静かにあり得ただろう未来を閉ざした。

 成長することは将来の可能性を一つずつ放棄することだ、とある人が言った。

 それは一面真理であるけど、十分条件ではない。

 選択の一つずつを納得していくために教育があるはずだ…たぶんね。


 千種は何かを悟ったように静かに晴さんと談笑し始めた。なにか嵐の後の晴れ間のように。


 晴さんとずいぶん長い時間話していた。

 彼女に散々にからかわれ、いろんな興味深い話を聞いて俺もなんだか晴さんの学んでいることを選びたくなった。


「いつでも聞いてくれていいよ」

 そう晴さんは言った。

「議論って言うか、自分が学んでいる分野に興味を持ってくれるのは純粋に嬉しいもの」

 その時はぜひ。


 そうやって晴さんは病室を後にした。

 この後はこの辺りを気ままに巡るつもりだと残して。


「あたしは別のことが学びたいから」

 と千種は違う分野への興味があることを話す。


 俺たちは違っていい。

 それが健全だ。

 たぶん知らぬ間に今日の選択は、明日に大きな意味を持つことになるのだろう。




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