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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第3章:入院生活

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31/79

日下部愛と佐藤美亜の見舞い

 高校生ラッシュが終わり、やっと一息つく。

 なんなんだ、この目まぐるしさは…。

「大丈夫…?」

 うん、この優しさ。やっぱり俺の妻だ。


「この後ね…薫さんと元さん。もしかしたら相原さん夫妻も」

 …おや?

「午前中はそれだけだよ」

 …ほー。千種…把握してんの?

「整理するの大変なんだから」

 …おまえが犯人、か。

「幸平の疲れ具合でストップするから」

 …たいした人気者だな、俺は。

「一週間くらい先まで埋まっているよ?」

 …違う意味で旅立ちそうなんだが。

「マネージャーは本業だもの」


 意味が違うよな?


 ・・・

 てなわけで…。相原コーチの奥さん、愛理(えり)さんにお会いしたり(千種の代わりになかよし水泳会のマネージャー業務を代行されてる。名前に聞き覚えあるし、トップスイマーだったのだろう)、午後はマリーさん夫妻、キャリパー夫妻と会ったりして、本来なら今日はここで終了のはずだったのだが…。


 ・・・

 部屋のドアがノックされ、千種が応対する。

 何か話し声が聞こえ、一度扉を閉めた後千種がこちらに来て尋ねた。

「愛と美亜が来たの。いい?」

 ああ…。日下部愛と佐藤美亜。()()鈴木不乱と入学時、仲の良かった二人だ。鈴木の凶行は既に俺も聞いていた。彼女はひどい火傷を負い、今も意識不明のまま県内のどこかの大きな(そして監視可能な)病院に入院してると聞く。

 鈴木が退学してから交流があったとは聞いていない。…確か初詣でも鈴木に声をかけられなかったと聞いた覚えがある。

「俺は構わないよ。千種は?」

「小学校からの友達だよ」

「断る理由はないな」

「ん」


 二人は静かに入ってきて…まず千種に頭を下げた。

「ごめんなさい」

 …どのことだろう。


 千種はわずかに微笑み

「知らせてくれてありがとうね」

 おそらくは事故に遭ったあの日の連絡のことだ。


 主に二人と千種で話し、静かな時間が過ぎていく。

「あまり早名くんと話したことなかったけど…」

 はい?

「ほんとに千種が待ってただけのことはあるね」

 俺に対する今日唯一の褒め言葉だった。

 …どうして他のやつらからは雑な扱いされるんでしょうね?


「あたしたちがもっと気にかけてあげられれば…」

「誰って言うか、俺は鈴木も恨んでねえよ」

 えっと驚く二人。

「たぶん千種とは考えが違うんだろうけどさ」

 千種は下を向き顔を見せない。 


「まず生きてほしい。鈴木と話すのはその後だ」


 …綺麗事だろうが…それは目覚めた時から変わらない。

「早名くん…」

 二人は涙ぐみ…部屋を出た。


「納得できないよな?千種は」

 何度も話したことだ。

「あたしは…許さない…」

 千種は変わらない。


 ()()()

 鈴木には生きてほしい。

 俺と千種にだって意見の対立はある。

 だから。

 死んで勝ち逃げなんて…鈴木、おまえはまだ語るべきことがあるはずだ。

死の手前から文字通り生還した幸平くんだから意味があるのです。

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