面会初日
数日が過ぎ…。面会謝絶は解けた。
まるで堰を切った洪水…例えが悪いかもしれないが、それまでの病室とはまるで密度の違う人たちが訪れていた。
朝。橋本結菜と大杉美樹が現れる。二人はまず…なによりも包帯姿の幸平に衝撃を受け…肩よりもはるかに高い位置で切り揃えられた千種の髪に驚いた。
彼女たちもまた千種の深い重いを知る友人である。なんらかの覚悟を…伺い知ったのだろう。
「ミイラ男になった気分はどう?」
結菜は茶目っ気ある言葉で幸平に尋ねる。
「目が覚めた時に千種に聞いたんだけどさあ…馬鹿って、さ」
幸平の言葉になによりも笑える安堵感。
「あなたたちは…本当に離れたらダメ」
なぜか美樹に泣かれ、俺たちは本当に…困るのだった。そして登校時間を過ぎて…渋々二人は部屋を後にした。
入れ替わりのように沢村とキントキさん。
マロさんと…おまえは入るな、山形。
「なんだよ…。せっかくサボって来てやったのに」
デカい上に圧迫感あんだよ、おまえ。
「そう言うな、幸平」
沢村…おまえもいちゃつきやがって。
千種に匹敵する美脚を自分のものにした余裕か?
「おまえのそのヒガミ目線がほんと分かんねーわ。『女神様』の旦那だって言うのに」
うるせ、山形。
「おまえ…伝説のスターだぞ」
…え、なにそれ。
「彼女かばって事故に遭ってたなんて、どう考えたってスターだろうが。ついでに日本チャンピオンで甲子園のサイクルヒッター」
ほほー。なんだか俺誇らしいぞ。
「まっ幸平は幸平なんだけどな」
散々からかうだけからかって4人は帰ろうとする。
しみじみと千種、マロさん、キントキさんは話していたが…。
そういや一人足りないな。
あの丸い。
「誰のことだろうねっ」
あータイミングわりい。本人が現れた。
「二人も生徒会にいなくてとんでもなく忙しいんだよっ!」
ヒメさん…お久しぶり。
「幸平、具合どう?」
やあ、太閤さん。見舞客で今日始めて心配してもらえたんだ。
「みんな照れくさいんだよ」
おまえだけが俺の親友…。
「仕事の同僚だよね?」
そんなはっきり言うなよ。
「ゆっくり仲良くなるパターンもあるじゃない?」
…男女の仲ならな。
どちらかと言うとヒメさんは千種を気遣い、その髪を惜しんだ。
だが千種と言葉を重ね、帰り際につくづくと俺を眺め
「お似合いだと思ってたけど勘違いだったさ。成熟は一人でならないのかもね」
と謎(?)のヒメさん語録を残し去った。
まだ10時過ぎだ。
幸平くん一年生の物語「高良フェノミナン1st」と、週一更新予定ですが「10個の約束」も合わせてどうぞ。




