表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第3章:入院生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/79

出頭要請の公表

「退学って…なんでさ?」

 千種ちゃんがベッドの横に座り、私と幸平の会話を聞いている。


「理由はあなたも知ってる通り、千種ちゃんと美也子ちゃんをサナメから外すのよ」

 うーん…と幸平。

 ここで引っかかることがあるのだろうか。


 しばらく経ってから、幸平は口を開いた。

「奇手だよな」

「きしゅ?」

「あやしいて…」

 …ああ。

 …そうだろうか?


「姉さん、俺たち卒業まであとどれくらい?」

 間違いなく2年はない。幸平の出席日数が心配だが。同じだけ休んでいる千種ちゃんも一緒だ。


 彼の質問の意図はなんだ?

 あの忌まわしいグループの再結成があれば、その欲のスピードは速いはずだ。


「元さんからの提案があって…」

 大杉元さん?

 まだ面会謝絶のままだ。どの伝からだろう。

「例の出頭要請」

 話に聞いた、虫唾の走る手紙。

「世間に出したらどうかって」


 実は文面をまだ見ていない。

 幸平や千種ちゃんから聞いたことだけだ。


「元さんの頭の良さは姉さん、分かるだろ」

 幾度となく「なかよし水泳会」絡みで話している。あの美也子ちゃんをして、「天才」と言わしめた人だ。確かに私なんかよりもはるかに…。


 そんな人ですら絡め取ろうとする高良のキイロバナは…人智を超えている。

 そして、その御神体が千種ちゃんの中にいるいまは…いったいどんな状況なのだろう。


「俺にはそのもの通りの例えでしか理解できないんだけど…。空きビルを違法で乗っ取って、利益の出る商売を目論んでいる…みたいなものだって」

 形骸化。

 事実そうのなのだろう。


 …あ。

 平等に募るのか。

 何も盗人どもに平易に渡してやる必要はない。


 繋がる。


 あの出頭要請は人権に関わるスレスレだ。

 日本にどこにでもある地方の一都市だからと、高を括った文書を残した側の「負け」だ。

 批判の向きどころは…少なくてもこちらにはない。


 盲点だった。

 私もサナメにいつしか…あるいは最初から絡め取られていたと言うことだろう。


 おそらく公表すれば…その影響は…亡くなったと言え、まず国会議員。人権レベルはまさに論議を呼ぶ。

 自分に関係のない事件だ、残りの()議員が批判に回る。

 人権より利益誘導を図った時点で、こんな美味しい勝ち馬に誰もが乗るだろう。


 だがやり過ぎてビルそのものが崩壊したら?


 …それでいいのだ。

 サナメの名の下に苦しんだ者はいたと思う。

 私たちの両親も…そうだった。


 千種ちゃんを見る。

 静かな湖を思わせるままの表情で、彼女は頷く。

 了、としたのだ。

 自らの力が生み出した化け物を、精算してほしい…。

 

 私にはそう見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ