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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第3章:入院生活

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目覚め

 ずっと千種が抱きしめていてくれた気がする。

 用意された道をこのまま行こうとするのだが、千種が抱きしめて邪魔をして反対に行こうと意思を示していた。


 それがすごく心地よくて。

 一人だった少し前の自分の傷を、千種が塞いでくれていた。


 なら道を間違えたんだな。

 自覚して歩む方向を変える。


「帰る」

 なぜかその言葉に導かれて反転した。


 ・・・

 長く短い夢のあと。

 目覚めると眼前には見知らぬ女。


「千種は?」

 俺はどうやら喋れるらしい。

 髪の短い整った顔の女は涙を流していた。

「幸平…」

 柔らかい頬を俺の頬になでつける。


「ごめん。こんなとこ千種にバレたら殺される」

「どういう意味よ、幸平」


 千種みたいな声してるな、おまえ。


「あたしが分からないの?」

 千種は綺麗な長い髪してるからな。

 大好きなんだ。


「この馬鹿っぷり…幸平だよね」

 失礼な。

 千種はどこに…。


 ……おまえ…千種か?

「ほんとにもう…馬鹿」


 稲妻のように直前がフラッシュバックする。

 ケガは…?

「あたしよりあなた…」


 えーっ…俺?

 なんか薄々気づいてるんだが。

 なあ?


「どうしたの?」

 ツタンカーメン王と俺、どっちがイケメン?


「包帯がとれたらね」

 やっぱりかあ。

 ……生きてたんだ。


「あんたはほんとに…」

 やあ、姉さん。本日はお日柄も良く…。

「この馬鹿…」


 すっかり美女二人に馬鹿認定されるとなんとなく悔しい。

 ところでさあ。


「ん?」

 腹減った。


 ・・・

 どうやら無事(なのかどうか)、事故から生還した…と言うことらしい。

 姉さんは馬鹿のまま目を覚ましたと美也子に連絡したらしく、それはもうすごい勢いで連絡が来たと言う。


「ここまで回復したら安心だろうね」

 見知らぬ医者が俺に話しかける。

 どうやらずいぶんとお世話になったみたいで…。

「子供たちのプレッシャーに耐えた私を褒めてくれないかな」


 えーと?

「みさ、さゆり、陸、訓」

 …ああ、しりとり兄弟の。

「幸平、失礼でしょ」

 千種に怒られる。


 ありがとうございます。

「お礼は強い心臓を贈ってくれた両親にしてあげるといい」

 ……結構ヤバかったんですかね、俺。

「24時間は気が気でなかったよ。時間が経つごとに安定したけどね。運とか願いとか、この仕事だと排除しなきゃならないことを、君の場合は信じたくなった」


 あんまり運は強くない思い出ばかりですが…。

「なら願いかも…しれない。普段は気まぐれなみさでさえ助けてって、頭をさげたくらいだ」


 …そこまで…。

「ありがとうございます、児島先生」


 またひとつ生きる理由が増えた。



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