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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第2章:死に近づく幸平

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25/79

止めた「願い」

 国会議員が亡くなり、宮司が娘に刺殺され、キイロバナの栽培家の夫婦の一人が自殺した…。


 高良の地に異変が起きた…と考える者はいた。

 たった一日のできごとである。


 彼らに共通する因子を探り当てるのは簡単な連想ゲームだ。


 御地は神聖なるがゆえに御地なのだ。

 単純な理由はその正当性を図らずとも人々に受け入れられやすい。


 彼らは利益追求の団体を目論んだ。

 結果はどうだ?


 民意の代表は反故にされ、歴史の集積物は宮司家の一人に火を放たれ焼失、伝統的なキイロバナの生産はその技法をいくつか失くし…。


 この時代にあって、およそ中世のような噂が囁かれる。


 曰く…天罰。


 ・・・

「山を越えました」

 児島先生は葉と千種に断言した。

 ただ、快方に向かうかは予断を許さない。

 死から遠ざかった現状なのだと。


 そう伝えて、児島先生はこの場を離れる。長い時間の手術の後も幸平を診ていた。


 葉さんと二人になる。

「何を願ったの?」

 おそらくあたしの…力が働いたと考えているのだろう。

 知覚できる類の力ではない。

 あくまで葉さんの想像だ。


「ミコさん…あたし。どちらも…願わなくなりました」

 あたしの予想外の言葉に葉さんは険しい表情を崩さない。


 でもさすがに葉さんだ。

「ずっと願っていたことがあったのね」

 その時の自我はあたしだったけども、ミコさんの意図は既に知っている。


「この地と民の平穏」


 少し沈黙した葉さん。しばらくして

「ありがとう」

 と頭を下げた。


「ここに来て以来、ずっと願っていたことなのね?」

 そのようだった、とミコさんの答えを代弁する。


「幸平一人に全力を注ぐのは、他に及ぶ影響がはかり知れないから、力をまったく使わないことで運命を変えたのか…」


「そもそも死に向かう人を生き返らせる力は持っていません」

 鮮やかな能力は幻想に過ぎない。


「願うことだけ…です」


 それは確かに…巫女だよね。

 神意を受ける役目もあるかも知れないが、やはり祈ることが本来の出番なのだろう。

 …そんな風に巫女の役割を受け取ったと、葉さんは語った。


 ・・・

 夜が明けた。

 高良に起こった異変をあたしたちも知るところとなった。

 もはやため息も出ない。


 そして。

 幸平はまだ意識を取り戻さない。

連載前に用意した三つ目のギミックは「願わない」です。

短い章となりましたが最終話です。

次回から幸平くんの物語に戻ります。

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