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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第2章:死に近づく幸平

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24/79

崩れていく「幸運」

 病院に戻るとそこには葉さんがいた。

 いくら東京からとは言え、この数時間でここまで…。


「その髪…」

 あたしの意図を瞬時に読み取っていた。


「まだ心臓が蘇生してないって…。機械で動かしてるんだって」


 事態は変わっていなかった。

 彼の死が近かった。



 ・・・

 地元選出の国会議員が倒れた。

 ・・・



 幸平の心臓が自力で動き出す。

 その報はあたしたちにもたらされた。


(吉と不吉は表裏(おもてうら))

(バランス…)

 内なるミコさんの呟き。


 ひとつ目の山を過ぎた。



 ・・・

 神社の宮司が娘に刺殺された。娘は執拗に幾度となく刃物を突き立て、神社に火を放った。

 ・・・



 複数の骨折と内臓のダメージの処置が始まる。

 既に夕刻に近い。


 それでも着実に彼が生きようとしている気配を感じる。

 彼は…()()()ことを選んでくれた。


 魂がもしあるなら…悟りなどよりあたしを選んだ。


 これを、と通りかかった看護の人に渡す。

 一つ結びにして。

 黄色いリボン。甲子園に行く彼に御守りにと端を切ったが、まだ十分に長く。

 衛生上果たして届くかは分からないが、この地に住まう大人はその意味を知る。

 ええ、と彼女は了承し、受け取ってくれた。


 誰の判断か、彼の近くにそれは置かれたと後に聞く。



 ・・・

 日が落ちる頃、伝統的なキイロバナの栽培家庭で奥さんが首を吊った。

 放蕩家で家庭を省みない夫が帰宅し、風に漂う妻を見つけた。

 実質的に一人で家業を支えていたと言う。

 ・・・


 手術が終わり葉さんが呼ばれた。

 すかさずあなたも一緒にと言われる。

「あなたしか」

 いないのだからと。


 児島と刺繍された白衣を着た医師(せんせい)がいた。

「奇跡的に心臓が普通の人より丈夫で持ちこえていますが」

 今晩が山です、と告げられた。


 もう願わない。



 ・・・

 長く苦しい夜が明けた。

 彼の意思は今も流れてくる。

 あたしを求めている。


 ずっといるから。

 そう答え続けて。

 あなたが求めるから。

 あたしはここにいる。


 あなただけに答え続ける。


 そして…彼の意思が変わった。


 待っててくれ。


 直後、容態が安定の方向に向かい始めたと、リボンを渡した看護の方が()()あたしに話しかけた。


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