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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第2章:死に近づく幸平

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23/79

 幸平…!

 スローモーションはさらに遅くなり、ぶつかった車が停まる。

 音を聞きつけた近くの商店の人が救急車を呼ぶ。


 どこからかAED。

 あなたの心臓が止まった?


 嘘よね。

 目を開けてよ!

 笑ってよ!


 あなたを抱きしめることもできず、救急車に同乗した。

 おそらくは大学附属病院だ。


 ・・・

 あたしの中でミコさんが泣いている。

 あたしは自分のことで泣いた。


 幸平…。

 あなたのために泣くのはこのことが終わってからだ。


 未必の殺意かはもういい。


 かつての同級生であろうが、あたしか幸平を殺そうとしたことを許さない。


 ・・・

 病院に着きすぐに手術が始まる。


 一時間が過ぎた。

 まったく終わる気配がない。


 葉さんに連絡した。

 葉さんは、絶句し…やがて…。

「すぐに向かうけど、なにか判断が必要ならあなたがして。あなたにしか頼めない」

 最後は…泣き声だった。


 玲先生と美也子ちゃん、相原さんが着いた。

 現場検証が既に始まっており、あたしが呼ばれていると言う。


 向かうしかない。


 その前に3人にハサミかカッターを所持しているか、あたしは聞いた。

 そして相原さんがカッターを所持していた。


 それを受け取り、あたしは髪を切り始めた。

 3人があたしを止めたけど、構わない。


 これは幸平を思って伸ばした髪だ。


 幸平…あなたにあげる。


 あなたをきっと助ける。


 そしたらまた伸ばすのだ。幸平と一緒の日々を送りながら。


 切り終わった。


「行きます。何かあれば…すぐに連絡を…」

 そう言い残しあたしは現場に向かう。

 病院外に警官が二人待っていた。

 初めて乗る救急車もパトカーもあたしは既に記憶になかった。


 不揃いに短くなった髪のあたしはまるで…鬼のようだったと言う。


 ・・・

 現場検証であたしは、鈴木不乱の名をあげることを躊躇わなかった。

 事実を平坦に伝え、その場を一刻も早く離れて病院に戻りたかった。


 2時間を超えやっと戻る最中にミコさんと話す。


(もう躊躇わない)


(わたしもだ)


(ならば)


(同じことを)


 この地の平和も民の平穏も()()()()

 もう止める。


 それだけだった。


 ・・・

 病気がちだった国会議員が突如心臓発作でそのまま死んだのは、あたしが願うことを止めたすぐ後だった。


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