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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第1章:春の頃、人が来たりて為すことぞ

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12/17

交換留学

 次の日曜日…最内校の野球部が高高にやって来た。合同練習と言う名の「お疲れ様練習」らしい。

 なんだ、それは。


 センバツの効果があり、あちらも部員は一チームできるくらいには新入部員が増えたんだそうだ。市内の野球経験者が監督になり、いよいよ本格的に部活動になるのだろう。


 監督同士で挨拶を交わし、まず最内校の河北監督が「ケガのないよう気をつけてやりましょう」と声を全員にかけた。とても普通の監督さんに思える。

 大前監督はまず体作りからだと、高校生に対する持論を説き普通の監督のふりをした。


 集まってのアップのためのランニング。二十人以上でする練習は…うん野球部みたいだ。

 軽く温まってきたきたところで、本来は持久系、筋力系などのメニューになるはずなんだが、せっかくなので、と打撃練習をすることになった。


 最内には初心者もいるらしく、そもそも硬球が不慣れならいきなりの守備練習は危ないだろう。

 と、言うわけで新人くんたちに打撃の楽しさを知ってもらうためにフリーバッティングが始まる。


 とくれば日本一のバッピを目指す俺の出番だろう。

 大前監督から「早名、投げるか?」と聞かれたのでもちろん承諾。ただ監督から

「最内メンバーには真ん中な。うちのやつらは慣れてるだろうし、全部落ちる球で」

 とリクエストされた。シンカーと緩いスライダー、上から投げる時のスプリット…こんな球種だ。内野ゴロの注文だろう。


 最内校の2年生が内野に散る。改めてだが児島りくをはじめとしてこの内野陣、頼もしく感じる。

 ほぼ一年を守備に特化した練習に費やしたって聞いてるからな。実際試合で何度も助けられた。


 打たれることが前提だとだいぶ楽しい気持ちになる。どれだけバッターの力量を引き出せるか…夏からのバッピでこんな楽しみを見つけ出した。

 高高の新人から…。

 三馬鹿のうちブートだけがうまくすくい上げて外野まで飛ばした。光太郎とロゼ太郎は意図を理解したのか、ライナー性で野手の間を抜く。

 三人衆も同じで野手の間を狙っていた。守備が固いためいくつかは好捕された。一応は甲子園レベルの内野陣だ。市川も前回みたいに力まずシャープな振り。メンタルに問題なければやはり一流だね。

 三人組はやや力量が落ちるが、三人とも兄が守っているせいか、いつもより大振りが目に付いた。それが普通だと思う。むしろ経験にできるから好ましいまである。


 最内メンバーにストレートを相手の呼吸に合わせて真ん中に投げた。全員が内野の頭を一度は越える打球を放った。気持ちいいものだと知ってもらえたら、バッピ冥利につきるってもんだ。


 さて体験型アトラクションのようにフリーバッティングが終わったところで、両監督から発表があった。

 一年生は互いの高校に1週間体験入部することになるのだと言う。両校のカラーの違いを今のうちに知識として知っておいてほしいそうだ。

 マリーマジックが何人かを経由して大前監督に届いたのだろう。橋本家か?

 まるで交換留学生みたいだ。


 そんな経過から両校の交流はこのあとずっと続いていくことになる。

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