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高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第1章:春の頃、人が来たりて為すことぞ

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11/19

沢村の緊張

 なんのことはない。美也子と由麻ちゃんは集合場所を間違えただけだと言う。

「だって由麻ちゃんが…」

「それは美也子ちゃんが…」

 要するにお互いが間違えて、遅れて入ってくるのが恥ずかしかった、と。

「ごめんなさい」

 おー、あの美也子が謝っている。

 でも、なぜ千種の方を向いている?俺と結菜にだろ?

「なに言ってるか分からない」

 俺に反抗的な美也子だった。

「甘えないの」

 千種は優しく諭すのだった。


 野球部の方は体力測定やらなんやら。組長代理がいなくて大丈夫かと沢村に尋ねたら

「おまえ助っ人だろ。心配すんな」

 と沢村。どこに行ってもプラスアルファな扱いやんけ。

「甘えないの」

 千種は呆れて諭すのだった。


 ・・・

 さて新学期二日目である。

 また、集会所に全校生徒が集められた。

 新入生なんか三日連続だ。よっぽど集会が好きな学校だと勘違いされるぞ。


 今日はまあ…。学校表彰だそうだ。

 顕著な活躍をした部や個人を表彰するんだとか。去年はなかったぞ。

「あたしが辞退したからね」

 結菜がそう内情を教えてくれた。俺には話すらなかったぞ?

「総代…すっぽかしたよね?」

 仕方ないだろ。決勝だったんだから。

 あ…。千種…おまえが握りつぶしたな?

「泉田先生に聞かれたから、たぶん本人が辞退すると思いますよって返事した…かな?」

 悲しくなってきた。

「甘えていいのよ」

 断じて千種だけには泣き付かないぞ。


 新生徒会長の太閤さんが、児島姉妹、橋本姉妹(もちろんさくらさんはいない)、大杉美樹、六条美也子の水泳関係者と野球部は代表して沢村にそれぞれ表彰状を渡す。最内校の野球部にもなんか贈るらしい。

 昨年の三月までは、県代表すらなかったと聞くから確かに顕著な活躍であることは間違いない。


 ところで…壇から降りた沢村は生徒会執行部の方に戻ってきたのだが…なんであんなに緊張してんだ?

「横に…いるからでしょ?」

 あー、なるほど。あんなセクシーな黒ストッキングを…。

「そこじゃないと思うよ」

「エリちゃん?」

 ジロリと千種は俺を見て

「エリちゃん?」

「だって沢村はそう呼んでいるから…」

「真似する必要ある?」

「キントキさんです…」

 完敗した。


 にしても甲子園の宣誓でも試合でも緊張とはほど遠かった沢村が、あんなに緊張するとは意外だ。

「なあ、沢村分かりやすいくらい緊張してんのに、キントキさん気づかないもんか?」


 それよねえ…と千種はため息とも諦めにも取れる顔をして

「沢村くんの一目ぼれで、キントキに出会ってから沢村くんずっとあんな感じだから…あれが普通だと思ってるみたいなんだよね」

 その関係で固定化してしまったのか。


 よし沢村に今晩頑張れと一言アドバイスを…

「野球部潰す気?」

 まだ大人の助言は早いらしい。


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