自己紹介
春休みが終わる。
いまだにセンバツの記憶が新しく、なにか体と頭に力が入らない。
「なによ、正月ボケ?」
いや、今4月になったばかりだろ…。
俺もおまえも16になったしさ。
「あなたがボケていても新入生が来るわよ。しゃんとしなさい!」
この激烈な言葉を向けてくるのは…早名千種。俺の…自慢の…愛人。
「嫁でしょ!」
口癖は嫁。とてつもなく自己規定が強烈だ。
髪はやや茶色に近い黒。それを特徴的な黄色…のリボンで低くまとめている。
学校内では「女神様」の異名を持ち、誰も知らないが、二千年前のある人の人格を内部に秘めている。別人格は通称「ミコさん」。
すでに俺…早名幸平…と結納を交わし、実質もまわりからも夫婦と見なされている。
人一倍の美貌と運動能力を持ちながら、なぜか水泳教室のマネージャーと言う裏方を好んで(いや成り行き上仕方なくか?)している変わり者だ。
「嫁を悪様に言う?」
一言で表すなら…俺が大好きな女性。
「それって好きなのはあたし?それともあなた?」
たぶん、どっちもだよ。
そして俺。早名幸平。
野球部の助っ人兼バッピ。新学期からは男子水泳チームの助っ人も予定している。
学業に優れ…
「昼間寝てるくせに」
センバツではホームランを放ち…
「2回戦負けだけどね」
まわりからはモテモテの…
「嫁がいてモテモテとかおかしいよね?」
主人公だ。
「ヒロインはあたし」
二人の間には問題がある。
千種が極端な…ヤキモチ焼きなことだ。
「嫉妬深いのは気質だもん」
とても怖い。
「可愛い…でしょ?」
そんなわけあるか!
「違うの?」
問題は話し合って解決しようか。
「一年話しても改善しないよね。誰のせいかしら?」
いちいちモノローグに参加するなよ…。
「あなたの間違った情報を訂正してるだけ」
ちなみに今は千種?ミコさん?
「区別くらい、旦那ならできるでしょ?」
いやあ…正直分かんないんだわ。
俺たちのとりあえずの目標は、この高良の地に根付く受益機構…サナメノツガイからの実質的な脱出だ。千種をこの地に縛りつけようとする…巫女として…なにものかから解放されることである。
よし。だいたい説明できたか?
「いいけど、あなたくれぐれも他の子に手を出したらダメよ?」
ほんと止めてくれ。俺は千種で手一杯なんだよ…。




