自称・聖女と平穏主義の衛兵
えー。
前半と後半でノリが違う気がします。
あとノリで書いたのでノリで読んでください。
「あたし、聖女の生まれ変わりなの!」
――そう言ってきた少女が、俺にとっての地獄の始まりだった。
◇ ◇ ◇
「今日もいい天気だな―」
先輩衛兵が言った。俺もつられて視線を空へと移す。
たしかに青い空が視界いっぱいに広がっていた。
「本っ当、最近の通行人は平和でいいよな。今日もそうだといいんだけどな」
「先輩、そういうのをフラグっていうんですよ」
こんなに平和なのに何かあってたまるか。俺は平和に生きることがモットーなんだ。
「この月が終わったら……俺、結婚するんだ……」
「知ってるか後輩、そういうのをフラグっていうんだ」
「俺が巻き込まれたら、助けてくれますよね?」
「安心しろ、骨だけは拾ってやる」
俺とこの先輩はなかなかに気が合う。
「ところで後輩、結婚するのは本当なのか?」
「ああ」
「先越しやがって!」
負け犬の戯言を聞き流しながら、家で俺の帰りを待っている彼女に想いを馳せる。
今頃ボクシングしながらパン食い競争の練習でもしてるんだろうなぁ……
そんなことを考えながら俺は休憩所のハンモックにもたれかかった。
◇ ◇ ◇
休憩所の扉がたたかれたような気がしたのは、それから少しうたた寝した後のことだった。
「なんだよ、こんな時間に……」
俺は内心毒づきながらも、扉を開けた。
すると――
「衛兵さん、聖女の生まれ変わりのマリアです!」
……
パタン。
珍妙な格好をした女の子が立っていた。
――なにかの間違いだったようだ。
ハンモックに戻り再び夢の国へと……
「衛兵さん、衛兵さん―!」
むくっ
やっぱり間違いじゃなかったようだ。
扉を開けると、さっきと同じ女の子が立っていた。
「なんの用かなー?」
「衛兵さん、あたし、聖女の生まれ変わりなんだ!」
……そんなわけあるか。聖女が出たら教会から発表があるはずだ。
「……そうなんだ、どうしてそう思ったのか教えてくれるかな……?」
「えーっとね……」
その後の彼女の話をまとめると、田舎に住んでいた時に夢に神が出てきて「あなたは聖女の生まれ変わりです」と言われたそうだ。
話がだんだん隣の家の犬に侵食されてきたため、一旦ストップをかけた。
「――それで、どうしたいの?」
「うん、衛兵さん、あたしこの国を救うんだ!」
……はぁ。
帰ってくれ。
◇ ◇ ◇
あれからがんばって彼女を追い払うと、俺は警備に出掛けるため、扉を開いた。
――え?
「衛兵さん、警備に行くんですか?ついていきますね!」
そこにはさっきの女の子がまだ居座っていた。
――そして、追い払うこともできず、今俺の後ろをついてきている。
「衛兵さん衛兵さん、都会って人が多いね!」
「まぁ都会だからな」
「衛兵さん衛兵さん、あのおうちはだれの?」
「あれは家じゃない、レストランだ」
「衛兵さん衛兵さん、レストラン入りたい!」
「しゃーないなぁ……」
レストランに入ると、自称・聖女ちゃんは目をきらきらと輝かせながらメニュー表にかじりついた。
「わぁ!おいしそう!これも!これも!これも!」
結局、聖女ちゃんはパスタを3皿とローストビーフを1人前食べた。
――君、結構食べるね。俺の財布は空っぽだよ。
そして、聖女ちゃんは飾られている壺に目を向けた――
「呪いがかかっていますね、割りましょう」
わぁああああぁぁぁぁぁ!俺のお給料じゃ足りないよ――!
なんかこれ連載にできそうだぞ……(ΦωΦ)フフフ…