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週刊アラカシ~特集!~『執事総選挙殺人事件の犯人』に迫る!  作者: まるねこ


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「今でもよく喧嘩しているんですか?」

「それはないかもしれません。彼は沿岸部に転勤になり、一人暮らしをしていますから喧嘩にはならないと思いますがね」


「一部では不倫していたのではないかという話が出ていますが、知っていますか?」

「……まあ、彼も男ですし、浮いた話の一つや二つあってもおかしくはないでしょう」

「心当たりが?」


「無くはないが、本人から直接聞いた訳ではありませんし、憶測で言うのは違いますから」


 この人は土井啓介の不倫に関しては黙認していたのだろうか?


「直接ではないという事は別の誰かから聞いたのですか?」


 一瞬、躊躇うような仕草をしていたが、話をしてくれるようだ。


「随分前の話です。女性社員達が話をしていてたまたま通りかかった私に訴えるように彼女達は話をしてきました」

「どんな内容だったんですか?」


「どうだったかな。確か経理の女性にしつこく声を掛けてきて迷惑だから注意してくれと。


 既婚者なのに第三営業部の女性と腕を組んで歩いていたのに部署が違う若い子に次々と声を掛けているし、そんな男と一緒に仕事をしたくない、と言っていた気がする。


 雑談の延長だと思い、その場は軽く流しまし、後日、彼にはそれとなく注意したことはあります」

「それはどれくらい前の話ですか?」


「二十年、いや、もう少し前だったか。でも、それくらい前ですよ。あの当時は彼もまだ二十代後半で若かったし、こちらも大事にならなければ男女の話に首を突っ込むのは得策ではないですから」


「啓介さんは不倫を繰り返していたんですか?」

「分からない。ただ、第三営業部の女性は私達がいる第二設計部の部署まで来て、彼の私物を投げつけて退職して以降は男女のトラブルは無かったですよ」


「凄いですね。当分社内で噂の的になっていたのではないですか?」

「否定は出来ませんね。彼もそれで懲りたのかもしれない。当分の間は女性陣からは総スカンを食らって肩身の狭い思いをしていたようです」


「最初に変わったやつだと言っていましたが、どのように変わっていたんですか?」


「そうですね。真面目ではあるんですが、自分に自信があって目上の者にも物怖じしないというんでしょうか。


 悪く言えば目上の者に偉そうな態度を取り、何度か叱責されていました。それでも気にしていなかったかな。


 それに彼が係長に昇進した時、後輩達に『昇進祝いをよこせ』と強要していたようです。もちろんそんなことをするから普段からあまり人望はなかった。


 仕事はできるので目を瞑っている人も多い。会社内部でそういった人とのやり取りで失敗をするため、基本的に彼は客の前には出させていなかったんです。


 まあ、課長になった辺りからはそうも言っていられないんですがね」


「仕事ぶりはどうだったんですか?」

「仕事はきちっと期日までにこなすし、大きなミスも無く、部下への仕事の割り振りも上手です」


「仕事の面では優秀という感じですか?」

「ええ、そうですね」

「土井さんは子供の話はしたことがありますか?」


「いいえ、全く。彼は私達にはプライベートは一切しゃべらない感じです。話好きな女性陣なら聞いているかもしれません。女性と話すのは好きなようですから」


 下世話な話だが、自分に靡く女性を普段から探していたのだろうか?

 それにしても兄妹の性格は父親譲りなの、か?


 人間関係は得意ではないのかもしれない。


 変わった人間だと理解できた側から疑問が湧いてくるような。なんとももどかしい気持ちになる。ある程度聞いた後、俺は下田さんにお礼を言って会社を後にした。


 父親に直接取材をすべきか?だが、下田さんの話では離婚はしていないが、数年前から別居はしている状態だ。


 深く追及しても無駄な気もするな。

 母親を調べた方がいいのかもしれない。


 俺はそう考えた後、父親に直接取材はせず、数日かけて友人である立花綾乃や母親が務めていた職場の経理主任や彼女の親戚に取材をした。


 彼女の親戚は一様に関わりたくないと取材を拒否された。


 母方の妹がチラリと話をしてくれたが、土井啓介と姉が結婚してから祝いをくれと強要し、人間関係を切るようなことを言って回ったらしい。


 ゆかりの祖母は既に亡くなっているのだが、元気だった頃は子供達を心配して何度か預かったが、子供達の癇癪が酷く家の物を壊して回り預からなくなったらしい。


 父方の親戚も同じじゃないかとも言っていた。取材を拒否した親戚の中には引っ越しを検討している家もあった。


 田舎の方ではまだ村八分が残っているのだろう。


 ゆかりの友人と思われた立花綾乃は最初こそ仲良くしていたが、彼女は何か怖いと感じて距離を取った。


 高校でも友達を作り、最初は仲良くしていたけれど、他のグループの人に話しかけるだけで悪口を言われたり、つねられたりと嫉妬されてそれが怖かったと言っていた。


 そしてクラスで距離を置かれほどほどの付き合いとなった。その頃から次第にアイドルグループなどの推し活を始めたらしく、鞄には缶バッヂやキーホルダーが沢山付いていたそうだ。


 土井ゆかりの中で執着の対象がアイドルグループへと移行したのだろう。


 その頃からクラスの中では問題を起こすことなく穏やかに過ごしていたという。


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