表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄耳のジャスティーナ 〜音量調節魔法は意外と結構、強いです!?〜  作者: 彩紋銅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/33

33黄緑ヒヨコ王子

 ◆◇◆


「数日後にさ、面白いことを起こすから楽しみにしてて欲しい!」


 そんなことを言うのはカールさん……、ではなく、その姿を得たザンでした。

 カールさんの姿で表情がまったく違うので、少し違和感があります……。


「……いきなり来てなんです?」


 私は警戒心マックスで対応します。


 だってここは、私の家の邸宅の庭園。

 この日は午後に仕事がなかったため、早上がりだったのです。

 両親とルイザは不在だったので、久しぶりに庭のガゼボで一人、アフタヌーンティーを楽しんでいたらこれです。


 敷地内には結界も張ってあるんですけどね……。

 私は侍女たちをチラリと確認します。

 顔が青い。

 どうやら、何らかの魔法で動きを封じられているようです。


「ん〜? 君に伝えたいことがあってね。──彼からの伝言だよ」


 ザンは、勝手に紅茶を注ぐと、勝手に飲み始めます。


「彼から? ……カールさんですか?」


「そうだね。では、『夕暮れカフェで初めて会った時に一目惚れしました! 仮面舞踏会で一緒に踊れたのは人生最後の思い出です!! ありがとうございました! 巻き込んでしまってごめんなさい!!』……だってさ」


「……そう、ですか。それだけを伝えに?」


「まあね。後は、未来の同僚にご挨拶ってところかな?」


「未来の?」


「う〜ん。肉体があるって素晴らしいね。こんなに美味しいものも食べられるし! さて、そろそろお暇しようかなっと」


 お茶菓子を一通り食べたザンは、席を立つと指を鳴らしました。

 同時に花吹雪が舞い、視界を遮ります。


「え? ちょっ──!」


 花吹雪が止むとザンの姿は消え、侍女たちも動けるようになりました。


 未来の同僚って、どういう意味です?


 ◆◆


 数日後、国中にある活画(アニメーション)がばら撒かれました。


 題名は『ピエリス子爵家の悲劇』。


 私がピエリス子爵の邸宅で聞いたものに、少し手を加えたもので、追加されたのは、エミリーさんが呪いをかけ、妹弟がそれを実行し二人は死んだという部分です。

 魔法具についてはぼかされていました。


 すでに存在しないピエリス子爵家の名前は出てきましたが、それ以外の関係者の名前はぼかされていました。

 ただ、事情を知っている人々には、誰のことか分かるようになっていました。


 その結果、ベンジャミン・ターフ子爵は領地へと引っ込んでしまったそうです。


 さて、さすがに人心を惑わす恐れがあるため、王宮としては『ピエリス子爵家の悲劇』の映像データは回収対象。

 しかし、同じ過ちを犯さないで欲しいという考えもあったので、図書館の禁書保管庫などには残っていたりするらしいです。


 しかし、一体誰がこんなものを制作して、ばら撒いたのかというと……。


「楽しんでもらえたかな? 黄緑ヒヨコ王子さま!」


 ……多分この人ですね。


 謎の貴族、ザン・フィーバーヒュー。彼はなぜか今、エン様の執務室にいます。

 実に三日ぶりですね……。

 一応、彼が我が家に来たことは、エル様たちにも報告済みです。


「なんで、俺の執務室にいるんだ?」


「司法取引をしたんです。黄緑ヒヨコ王子の面倒を見る代わりに、この国に協力するって! まあ、流石にこの国も魔族を敵には回したくないでしょうしね!」


「なんで、司法取引の代償が俺の面倒を見ることなんだ……?」


「このところの、やらかしのせいじゃないですかね?」


 と、ロナルド様。容赦ないですね。


「ぐぬ……」


「それに、ジャスティーナともっと仲良くなりたいんでね〜」


「え?」


 なんで?


「ダ、ダメだぞ! ジャスとは俺が婚約するんだからな!!」


「ちょっ!?」


「そうですか。では、両家で話し合わないといけませんね……」


 なぜ、ロナルド様は乗り気なのですか?

 それよりも、ザンを仲間にして大丈夫なのですか!?


「じゃあ、私は愛人でもいいよ?」


 そう言いながら、ザンは魔法で作った花を辺りに撒き散らしています。

 すぐに消えるのですが、少々鬱陶しいですね……。


「ダメだって言ってるだろ! お前、勝手にジャスの邸宅へ行ったみたいだな! 

 今度やったら、なんかこう……。酷い目に合わせてやるからな!! あと、無駄に花を撒くな!」


「いえその、私の意見も〜」


 エル様、酷いことの内容が思いつかなかったのですね〜。


「ジャス様も大変っすね〜」


 そんなわけで、特殊調査部隊『梟』に新しいメンバーが増えました!?


「まあ、ザンのことはどうでもいい。今は違法魔法具の氾濫について──わっぷ!?」


 その時、空いていた窓から強い風が吹き込み、ザンが撒き散らしていた花が、一気にエル様の顔をかすめていきます。


「ヘ……ハ……、ハッチョンッ!」


 と、エル様。


 意外にも可愛らしいくしゃみと同時に、ボワンッと謎の白い煙が執務室内に発生!


「わわ、なんですか!?」


「エルドレッド様!?」


 煙が晴れ、エルドレッド様の姿を確認すると……。


「けほっけほっ、一体なんだ……」


 煙の中から現れたのは、黄緑色の、手のひらサイズのヒヨコ(?)でした。

 その周りには、エル様が着ていた服が散らばっています。


「え? エル様は!?」


 まさか、転移したのでしょうか? 

 服が散らばっているということは、──全裸で!?


「ジャス様、落ち着いてください。エルドレッド様なら、目の前にいます」


「え?」


 ロナルド様の言葉に、黄緑色のヒヨコに目をやると──。


「驚かせてすまない、ジャス。俺は無事だ」


「ヒヨコが喋った!? いえ、この声、エルドレッド様!?」


「そうだ」


「な、なぜ、そんな姿に!?」


「疲れが溜まりすぎると、昔からこうなるんだ。慣れてくれ!」


「ええ──っ!?」


 どういう理論です!?


「あ〜、こうならないように、ギリギリを攻めていたのですが……」


 と、残念そうなロナルド様。


「あっはははは! その姿がまた見られるとはな!」


 大爆笑のザン。


「えーと、こうなると戻るには……」


 ちょっと、面倒くさそうなパーシーさん。


「ザン、笑うんじゃない! あと、ヒヨコではない!

 ……とにかく、姿が戻ったら、ジャスとは婚約を結ぶぞ!」


「ええ──!?」


 私の叫び声は、王城に響き渡ったのでした……。




 第一部・完








二部は四月ごろ、完成予定です! (未定)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ