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おでむかえのあと

普通は逆のような気もするが、上向きで寝る俺の上に獣が寝そべっている。

寝そべる獣に雌が縋りつくのが、普通だと思う。

けど、獣は俺に甘え圧し掛かり、両手を繋ぎ何処にも行かないで、をする。


「…耳と尻尾が、生えたらいいのにな」


「は?仕事しすぎて頭イカれたのかよ」


俺の胸に顔を擦り付けている獣。

きっと似合うだろう。

なのに獣は、馬鹿にした眼で見上げてくる。


「仕事辞めちまえば?頭おかしーぜ?な?」


俺はついつい、笑ってしまった。


俺は、仕事が忙しい。

こうして自宅に帰宅するのも久しぶりだ。

しょうもないほどブラックだ。

だから辞める、算段はしている。

勿論獣には内緒だ。

だってこの獣は、仕事が忙しい俺に対しての当てつけで遊び歩ているのだから。

まだ見ていたい。

俺でしか満足できない獣が、拗ねて焦れて、俺に懇願するのを。


「目と頭、イカれてんだよ」


「そりゃ、イカれてるだろ」


右手を解き頭を撫でてやる。

頭を撫でて貰えるって期待して、手を素直に解いて、いい子良い子。

目を細める。

ああ、愛おしい獣。


「お前みたいな獣が可愛いんだ、イカれてんだろ」


「は、ひとをケダモノみてぇに、いうなバカ」


牙でも尾でも耳でも生えてくればいいのだ。

そうしたらもっと繋げられるのに。


俺だけのこの、ケダモノを。


俺は再び与えられる、求められる快楽に身を委ねながら、そんなことを願った。

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