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ダンジョンを作る!!

 そのためにはまず、ダンジョンを作るところからだ。最初にダンジョンの入り口を作るために、座標を世界樹の根元に指定する。

 するとシステムの音声が響いた。


 《この場所にダンジョンの入り口を作成しますか?なお、初回の入口作成にダンジョンポイントは消費しません。》


 ――――

 Yes or No

 ――――


 迷わず俺はYesを選択する。


 すると世界樹の根元が光だし、幹の根本に大きな門が現れた。


 《ダンジョンの入り口作成に伴い、功績【ダンジョンの入り口を作ろう!】を達成。ダンジョンポイント5万を獲得。なお現在のダンジョンの入り口は2つです。続いてダンジョンに名前をつけてください。》


 すると目の前に半透明なキーボードが現れた。


 聞いたこともない功績や、ダンジョンポイント、それに作った覚えのない2つ目の入り口に戸惑いを覚えたが、とりあえず、名前を考える。


 しかし隣でその様子をみていたリルは俺がアッサリとダンジョンの入り口を作ったことにリルはとても驚いた様子で、焦っているのか、怒っているのか、よく分からない表情をしている。


「ちょっとアンタ!どんな場所にダンジョン作っちゃってんのよ!もっと慎重になりなさいよ、アンタが死ぬと使役されているアタシも消滅しちゃうんだからね!第一ここがどんな場所なのか理解してるの?」


「もちろんだ、ここは大陸の中心部で神樹ユグドラシルの根元、そしてその神聖な力から魔物があまり近寄らない、安全な場所だろ?」


 前世での知識をを思い出しながら、安全な場所だとアピールする。


「それだけじゃないわよ!いい!!この場所はね!、」


「はいはい、分かってるって。」


 リルの小言に嫌気がさし、リルが喋り終わる前に言葉を被せる。


「ちょっと、ちゃんと最後まで聞きなさいよ!もういいわ、知らない、好きにしないよ!」


 そういいリルが不貞腐れ、プンプンと頬を膨らませているのを横目に名前を考える。

 名前はもちろん過去に作ったギルドの名前を使用する。


 【EDENS FAMILIA】エデンズファミリアだ。


 名前を決め終え、ダンジョンに入るため扉に手をかざすと、扉にいくつもの光の筋が走り扉に吸い込まれた。するとまたしてもシステムの声が響いた。


 《功績【初めてダンジョンに入ろう!】を達成。ダンジョンポイント1000を獲得。》


 おそらくこの聞いたことのない功績は、新たに作られたダンジョンマスターという職業に付随して作られたようだ。もしくは、今のところ、なんの力も持たない俺に対するサポートのようなものだと考えることにした。


 ダンジョン内部はそこまで広くはなく、教室くらいの広さだ、そして中央には虹色の球が浮かんでいる。恐らくこれがダンジョンコアだろう。そしてその横には真っ黒な四角い箱がポツンと置いてあった。


 とりあえずコアに触れるとどのようにダンジョンを操ればいいのか本能的に全てわかった。そして、コアが破壊されると自分が死ぬということも本能的に悟った。続いて、横にある黒の箱を開ける。


 すると中には真っ黒なメダルが一枚入っていた。そのメダルを拾い上げると、システムに通知が届いた。


 ――――――

 ???ガチャの機能が解放されました。

 ―――――――


 ガチャ画面を確認すると、黒く染まっていたガチャ画面にコインが入るくらいの穴が開いていた。

 

 そこに恐る恐るコインを入れる。すると目の前に大きな時計が現れた。時計の上には回せの虹色の文字がある。感覚的にどうすればいいのか理解した俺はその時計の長針を回す。


 針が一周回って12時を回った時、虹色に光り、光の中から片膝をつき俯く、背に一対の禍々しい翼を持った女性が現れた。


「エデンズファミリア序列二位、ただいま御身の御前に。」


 そうして顔を上げた女性の顔にはとても見覚えがあった、何より、その聞くものを魅了するような声、腰まで伸びているであろう美しい黒髪、姿、その存在を俺は忘れるはずもない。その女性に震える声を絞りだし、問いかける。


「エウルアか?」


「はい、左様でございます。お久しぶりでございます、タツヤ様。」


 そう笑いかける、エウルアの顔は今にも泣きそうで、様々な感情の混じったその表情は、ひどく俺の胸を打った。かつての仲間の顔を見てこれまでの緊張の糸が切れたのか、様々な想いが脳内を巡り、一筋の雫が頬を流れた。


 同時に様々な疑問が頭に浮かんだ。


「どうして、ガチャからエウルアが出てきたんだ?」


「それについては、分かりませんわ、私は実態のないまま無限に続く虚無を彷徨っているような感覚でしたの。しかし、たった今光に包まれ貴方様の元へ導かれた瞬間、全てを思い出しましたわ。かつての記憶や、様々な想い。恐らく、呼び出された瞬間タツヤ様との繋がりから、様々な情報が共有されたのだと思います。それに、」


 そう言う彼女は言いたくないことでもあるのか、どこか気まずそうに言葉を続ける。


「タツヤ様、私を鑑定してみてくださいな。」


 そう言われ、賢者の瞳を発動し、エウルアのステータスを覗く。


 ――――――――

 名前:エウルア

 レア度:レジェンダリー

 クラス:上位吸血鬼

 レベル:1

 攻撃 : 15

 防御 : 10

 速度 : 20

 知力 : 40

 魔力 : 40

 運 : 20

 スキル

 【吸血】【血操術】【魅了】【五感強化】

 固有スキル

 【吸血貴族】

 ――――――――


 過去から戻ってきた俺はある程度想定できていたのであまり驚かなかったが。エウルアからしたらそうではないらしい。


「申し訳ございませんタツヤ様、このような貧弱なステータスや、スキルではタツヤ様をお守りするために十分とは言えません。それにタツヤ様より預かった真名も失われてしまいました。私のこの体たらくをお許しください。」


 確かにかつてのステータスやスキルと比較すると圧倒的に弱体化されている。クラスやレベル、スキルの熟練度が初期値に戻っているのだから仕方のないことなのだが、配下内での序列を重んじる俺の仲間は自身の弱さを許すことができならしく、自身の弱さに怒りを感じているのだろう。しかし弱体化されているとは言え、俺のステータスと比較するとその違いは歴然だ。


 ――――――――

 名前:タツヤ

 クラス:ダンジョンマスター

 レベル:1

 攻撃 : 10 (+7)

 防御 : 10 (+5)

 速度 : 10 (+10)

 知力 : 10 (+20)

 魔力 : 10 (+20)

 運 : 10 (+10)

 スキル

 なし

 固有スキル

 【世界の知識】【ダンジョンマスター】【8番目の管理者】

 ――――――――


 本来一般プレイヤーは、キャラクリエイトの際にある程度好みのステータスに調整できるのだが、俺の場合クラスが決まった際、既にステータスポイントが割り振られていたようだ。


 しかし、ダンジョンマスターである俺は、配下の魔物のステータスの一部が自身のステータスに反映される。しかし、その反映の幅はその配下の格や、配下とのつながりの強さなどの影響を受ける。今のところエウルアのステータスの半分が補正としてプラスされている。


 ちなみにリルのステータスはこうだ。


 ――――――――

 名前:リル

 レア度:コモン

 クラス:下級妖精

 レベル:1

 攻撃 : 3

 防御 : 3

 速度 : 15

 知力 : 15

 魔力 : 10

 運 : 30

 スキル

 【挑発】【風魔法】【調香師】

 ――――――――


 とはいうものの、ステータスの数値はあくまで一つの指標でしかなく、使う武器の熟練度、経験や、プレイヤースキル、技の組み合わせ、環境次第では格下が格上に勝つことだって可能だ。その点エウルアは、血を扱い戦うことに関しては右に出るものはいなかった。


 つまり、自身の得意分野で言えばステータス以上の強さを発揮できる場合があるということだ。それに、俺は今、強さどうこうではなく、またこうしてかつての仲間と巡り会えたことが何より嬉しかった。


「エウルア、大丈夫だよ。俺たちはもっとつよくなれる。過去のお前よりもっとだ。それに今度は俺がお前たちを守る。もうお前たちを失いたくないんだ。」


 エウルアの手を握り本音を口にする。以前のテイマーだった俺は配下の魔物に戦わせ、後ろから援護するような、守られつつ戦うというテイマーというクラスの特性上、配下の魔物に依存したような戦いしかできなかった。しかし、今回は違う。


 ダンジョンマスターという無限の可能性を秘めたクラスを得て、冒険に役立つ様々なスキルも得ることができる。


 もう、仲間がいないと知った時の恐怖を、不安を2度と感じることがないよう。自分にも言い聞かせるように、エウルアにそう告げた。


「ありがたきお言葉。」


 エウルアはそういい下を向き肩を震わせている。


「それにしてもよく俺だと分かったなー。」


 今の俺は体も小さくなり、もはやかつて成人だった時の面影もなくなっている。


「はて?、確かに可愛らしい容姿となっていますが、私にとって容姿とはそれほど重要ではありませんわ。」


 エウルアがいうには、俺には独特の魂の輝きがあるようで、一目見れば分かるらしい。それに使役されていた際の繋がっているという感覚は特別なようで、感覚的に相手のことが伝わるらしい。

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