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新たな力

なるほど、ということはまだかつての仲間たちを取り戻すことができるのか。その情報が知れただけでも、俺はまだ、この世界で生きていける気がした。


「それなら、みんながどこにいるのか教えてくれないか!?」


『ええ、それくらいならお伝えすることができます。しかし、もう時間のようです。』


「時間?なんのことだ?」


『この空間へ竜也様をお呼びするのに少々無理をしてしまいこの空間を維持するための力がもうあまりないのです。つまり、これ以上お話をする時間がないのです。』


「ちょっと待ってくれ!まだ聞けてないことが沢山ある!」


『申し訳ございません、これより続きはまた次の機会があれば、仲間のことについては、後ほど情報をお送りいたします。そして、あなたの旅の手助けになるように私の分体であるリルをあなたに預けます。』


 リルがギョッとした顔でMotherを見る。しかし何かを言うまでもなくすぐに平静を装い、再び下向く。


『それでは、あなたの旅路に幸多からんことを。』


 そういうと、俺たちの体は再び光に包まれた。再び目を開けるとそこは元いた世界樹の根元であった。


 (くそ、最悪だ、まだ聞いておきたいことは沢山あったのに。)


 とりあえず送られているであろう情報を確認するために、ステータス画面を開き、確認しようとすると、隣から大きな声が聞こえた。


「もう!ほんと最悪だわーー!なんで私がこんなやつのおもりしなきゃなんないのよ!!しかも、何よこれ私の能力に制限までかけられて、スキルも使えないものばかりじゃない!!」


 そういえば、コイツを俺に預けるとか言っていたな。


「まぁー、そのなんだ、仲良くやろうぜ。」


 泣きそうな顔のリルに俺はそういい手を差し伸べた。


 リルが叩くように俺の手を払いのける。


「何を呑気なことを言ってんのよ!いい!!私はあんたと仲良くする気はないわ!あくまでこれは監視なんだからね!Motherについていくように言われた時、言われたのよ!あなたはこのゲームのバグなんだから、監視役としてあんたを見ておけってね!!」


 おそらく、Motherとの繋がりがあった時、直接頭に語りかけられたのであろう話を俺にベラベラと喋っている。


「おい、それ本人である俺に言っていいのか?」


 しまった!と言わんばかりの顔で口を開けて固まっている。


 (なるほど、さてはコイツ、アホだ)


「ま、まぁいいわ、そんなことより、早くMotherが送ってくださった、情報を確認しなさいよ。」


 言われなくてもそのつもりだ。メールを確認すると一件の通知が来ていた。


 内容をまとめるとこうだ。


 ――――――

 1.ワールドマップを与える

 2.ダンジョンマスターのクラスを与える

 3.スキル世界の知識を改良

 4.ガチャシステムの改良

 5.腕輪型通行証

 6.???の鍵

 7.サービス開始まで1週間の猶予を与える。

 ――――――


 1は広大なCastle Frontierのエリア全てを把握することのできるマップだ。そしてマップ内にはいくつか点滅している光があり、タッチするとかつての家族(仲間)の名前が表示されている。中には読めない文字まであった。


 2は聞いたこともない職業だった、そしてその内容は破格のものだった。まず、ダンジョンの主となりダンジョンを作成できる。


 このゲーム内におけるダンジョンとは、魔物が棲みつき、その魔物、ダンジョンボスを倒すことで特別な報酬、称号などゲームに役立つ情報などを得られる。


 ここだけ聞くと一般プレイヤーから命を狙われるというだけのデメリットしか無いように思えるが、メリットもある。


 まず、名付けに制限がなくなるということだった。名付けとはテイマーについたプレイヤーがさまざまな条件をクリアした後、モンスターに真名を与えることで、そのモンスターの格を上げることができる。つまり進化を促すことができるのだ。

 その進化の仕方は様々であり一様に同じとはいえないが、1番大きな利点として能力値がとてつもなく上昇する。しかしテイマーが真名を授けることができるのは最大で3体であり、その条件も回数を重ねる度、難しくなるため、3体のネームドモンスターを使役することのできていたテイマーは過去にも5人程度しかいなかった。

 しかしこのダンジョンマスターという職業ではその壁がなくなる。さらにテイマーは使役するモンスターの数にも制限があるが、ダンジョンマスターにその制限がなくなるらしい。

 と言っても、制約は少なからず存在するようだ。そして特徴的なのが、ダンジョンポイントを使用することにより、ダンジョン内にトラップを作成したり、地形を変えたり、モンスターの配置、ダンジョンの階数を増やすことが可能なようだ。


 そして3つ目、スキル世界の知識の改良、とはいってもワールドレコードを通してできることがスキル化したという方が正しいだろう。それらは細分化されこうなった。


 ――――――――

 【賢者の瞳】

 その瞳は真実を見抜き、鑑定スキルを上回り、全てを見ることができる。また阻害スキルによって阻害されない。

 【豊穣神の手袋(デメテルグローブ)

 どんな高レベルの魔物、素材もレベルに囚われず採取可能。またその成功率も100%。

 【天翔る翼靴(ヘルメスブース)

 一度でも行ったことのある場所へテレポートすることができる。(戦闘中は使用不可)

 【???の管理者】

 メインストーリーへの介入が可能。

 【スキル創造者(スキルクリエイター)

 スキルとスキルを掛け合わせることにより新たなスキルを創造することができる。なお、調合に使用したスキルは消失する。

 ――――――――


 ソロモンの知恵の使い方については今はまだよくわからないが、他のスキルは言うまでもなくチートスキルだった。


 4つめのガチャシステムの改良とは一般的にガチャは課金をするなどして一般プレイヤーが冒険の手助けになるようなアイテムを得るシステムだが、ゲームの世界のバグとして存在する俺は課金ができないため、モンスターから得られる経験値をポイントに変換し、ガチャを引ける仕様となった。ガチャには2種類あり、1つは魔物や武器、スキルなどが排出されるガチャ、2つ目のガチャ画面は黒く染まっておりわからないままだ。


 5つ目の腕輪型通行証とは、一般的なプレイヤーはこのゲームの様々なエリアや国へ行く際に、レベルであったり、称号、メインストーリーの解放といった特別な要素を持ち合わせていないと入ることのできないエリアが存在する。そこへ俺はなんの制約もなく入ることができると言うものだった。しかし、身の丈に合わない高レベル帯のエリアへ行くことは自分の首を絞めることになるので自重することにした方が良いだろう。


 6つ目の???の鍵は全く持って正体不明だが、アイテム扱いとなっているため、アイテムBOXへ入れておく。


 7つ目の猶予期間とはおそらくダンジョンマスターという職業上一般プレイヤーとは敵対関係となってしまうため。狙われる危険性があり、準備のできないままプレイヤーに襲われる事がないようにするための配慮だろう。とはいえ、現実世界でサービス開始を延期すると言うわけではなく、おそらくゲーム内の時間だけを操作するのだろう。


 まぁ何はともあれ、1週間でダンジョンを拡張し、プレイヤーに対抗できるだけの戦力を揃えなければならない。

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