リストカット
俺の親類は、盆と正月に集まるのが恒例だ。甥や姪が
小さい時は、やれ誕生会や入学祝い、行楽にと共に
過ごす時間が多かったが成長するにつれ機会は減り
いよいよ盆と正月だけになる
そんな今年、正月以来の再会を果たした中2の姪っ子を
見て息を呑んだ。か細い腕に痛々しいリストカットの
跡を見つけてしまったのだから。でもそれはまだどこか
おっかなびっくりというか、試し切りを思わせる短い
数本の些細な跡でそれが唯一俺に安堵を覚えさせた。
しかしリストカットの先にあるのは最終的には自殺では
ないかという持論が不安を残した。下手に刺激すれば
彼女に遮断されるだろう。たまに会う何でも話せる優しい
叔父さんから、たまに会う何も話したくない嫌いなオッサンへ
されてしまう事は目に見えていた。
何故自分を傷つけるの?、防衛本能?、存在価値の承認?、
それとも他人からの危害か。
か細い腕をさっと隠した姪は、小さく優しく微笑んだ
その笑みの本心さえ俺には分からない
大丈夫、心配しないで。なのか
誤魔化しの笑みだったのか
自分には、何も出来ない事を痛感せざるを得なかった
頼む自分を傷付けないでくれ
頼む自分を愛してくれ
彼女のリストカットを止める事は出来ないかも知れない
所詮他人のお節介だ。変わるには、自身で変わる事しか
できない
俺に出来る事はリストカットのカットでは無い
きっとリスクカットなのかも知れない。
実際二人の姪っ子が居ますが二人には健気にスクスクと育って欲しいと願ってます。