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孤独くん 言論統制やフィルタリングと戦った小学5年生の物語

作者: ロック

僕は、陰山ヒロト。小学5年生。

成績は比較的優秀だが、学校内では浮いている存在だ。

窓際の席に座っており、授業中も定期的に空を眺めている。

休憩中もライトノベルや児童文学の類は読まず、民法I 総則・物権総論を読んでる。

とにかく学校というのは極めて退屈で何一つ面白みがない。


家に帰ったら、自室に篭り読書やインターネット上に公開されている論文を読む。


"iPod touch"で。

パソコンを所有しているが、フィルタリングがかかっており、情報収集をするときフィルタリングのせいで例え危険ではないと分かってるサイトでもブロックされる。

フィルタリングをしないでほしいと家族に要請するも、家族は「危ないもの見ちゃダメ」と情報統制をする。


だから僕はお年玉を貯めて、25000円の中古のiPod touchを購入し、SNSを閲覧したりタイムライン上に投稿を行なったりと、なんとか情報を発信したり、この"独房"から逃げ切る手段を考えている。

海外の学校に行きたいとも考えてる。

飛び級制の恩恵を受けて、僕は早い段階で自由の身になれると思うので。


僕は大学生活や青春の日々を夢見ていた。

小学校は、幼稚でかつ稚拙な話題しかしないため、僕は浮くし、それに周りのノリが苦手だ。

なんでいつも楽しそうなんだ、本当に気持ち悪い。

ちんちんとか、うんちとかで何故笑えるのだ。

人間は、どうして生きているのかとか、社会が何故こんなにも不平等なのかとか、考えないのだろうか。


しかし、こんな僕も恋をした。

21歳の東京大学の女学生、学部は、総合文化研究科・教養学部。

彼女は、月野りさ。

僕は彼女の綺麗で、盛られに盛られた自撮りを見て興奮していた。

しかし、僕は11歳、年齢差があり過ぎる。

そこで僕は19歳と偽り、彼女とSNSのDM機能を通して会話をすることにした。


「はじめまして、顔可愛いですね。

宜しければ相互フォロー関係になりたいです」

僕の手が震えた。

「良いですよ」 

僕は声を出したくなった。

「えっと、趣味はなんですか?」

「美術館に行ったり、あと…読書とか!」

芸術が、読書が好き・・・!!

クラスにいる猿どもとは大違いだ、この子は確かに教養がある!素晴らしい女だ!


「僕も芸術作品は好きで、モネの "散歩、日傘をさす女"が好きなんです。

あと、読書に関しては、DSM-5 精神科診断ガイドブック、六法全書、民法や憲法について書かれた本、クルーグマンの国際経済学、21世紀の資本、マルクスの資本論、あと文学作品ならゲーテやドストエフスキー、ドストエフスキーの中では"地下室の手記"が好きです」


と長文DMを送った。


しばらくDMは、返ってこなかったが、1時間後ぐらいに

「頭良いんですね」と返ってきた。


どうしても彼女に会いたいと強く願った僕はとにかく、知識をひけらかし続けた。

そして、一度に3000文字にわたるDMを送ったら、ブロックされていた。


別のアカウントで彼女のアカウントを見に行った。

「知識マウントうぜーーー、きもい」と言われ、DMが晒されていた。

リプライにはこんなことが書かれていた

「うわきっしょ」

「長文DMだる」

「てか、俺の彼女になんでこんなキモいDM送ってんだよ」


僕は…泣いた。

そして静かに、アカウントを消して、また孤独な学校生活に戻った。


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