事故に逢って、転移したと思ったら鏡の向こうの『俺』だった件について
「なろうラジオ大賞3」の『鏡』部門です。
それでは、どうぞ。
※R-15は保険です。
俺の名は椎菜アオバ。
至って普通の学生、って言いたいのだが。
俺はある日、事故に遭遇した。
……俺は亡くなるのか、そう思ったが。
『もう一度、生きる権利を与えよう』
謎の声がして、俺は目を覚ましたんだ。
天井だ、天井が見える。
ベットの上に寝そべっているみたいだ。
「び、病院か……」
『アオバ!目が覚めたのね!』
母の声が聞こえた。
隣に座っている。
「……?」
違和感がある。
母は、右目の下に泣きホクロがあるはずなのに。
左にある、ような気が。
ふと、母の後ろにあるカレンダーを見つけた。
―――文字が反転している。
「……これ、どういう事だよ。」
『アオバ?』
母が心配そうに、声をかける。
「……いや、何でもない。」
それから1ヵ月。ようやく退院出来て家に帰った。
(文字や景色が反転して、すげぇ見辛い……)
いまだに謎の現象に、悩まされていた。
先生に言ったのだが、「脳には異常が無い」と一蹴されてしまった。
(まあ、生きているだけで幸せってか)
ふと、自分の部屋の鏡を見た。
鏡の向こうは、普通に文字が見える。
『………無事に、そっちに行けたのだね』
鏡の向こうの俺が、そう言った
(えっ!?)
背筋が凍るのが、わかった。
『リアルの世界は、僕の物だ――』
▪▪▪
あの『もう一度、生きる……』と言ったのは、そう鏡の向こうの俺。
そして、入れ替わりで鏡の向こうの俺になった。
そうだ、俺は何時からか『自分に自信を持たなくなった』のだ。
鏡の向こうの俺に、『鏡の俺は良いよな』と言っていたな。
そうか、それで――
『鏡の向こうの僕、ずっと呪縛から離れないからな』
読んで頂き、ありがとうございました。