昨日だったような今日だったような夢だったようななにか
昨日まで今日というものが明日だったのに何故なぜ今日は昨日でなくなって今日は明日じゃなくなったのか
照明がついた
感覚が研ぎ澄まされる
あぁ、また虫が入ってきたうるさい足音を立てて僕の周りをぐるぐる回っては忙しなく手を動かす。
コイツらはいつも虫のくせに僕より高い場所に立ちやがる
うるさいうるさいうるさい
コイツらがいなければ僕の精神は平穏でいられるのにコイツらに喚き散らす事などありはしないのにコイツらにはそれがわからないのか
まだいる
見るな
僕に近づくな見るな早く出ていけ
僕が動かないのをいい事に僕に触れようとするな
刺された部分が痒む
まだいるなら叩き潰して前の奴みたいにその白い羽をちぎってやる
まだいるのかいないのか
まだ耳元でヤツらの音が聞こえる気がする
注意深く観察しても奴らは僕の視界に入らない
照明が消えた
残像が脳の後ろ側に焼きつく
もうどれが本当でどれが幻なのか分からない
かゆい
いや本当は知っている
いや知らない
動かない手が僕を殺そうとうごく。
また明日が今日になる今日が昨日になって昨日と今日がいなくなる
また照明がついて黒い足音たちが近づいてくる
また僕を観て嘲笑うように羽根を暴れさせて動き回る
また僕を刺していなくなる
また照明が消える
もう、どれくらいの今日が死んだのかは覚えていない
許されざる