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Tanaka-KOZO 詩集

夏を迎えに行く

作者: Tanaka-KOZO

「SEASON」


 シーズン前の海は、車のままだって、Beachへ入って行ける。

まして平日の朝だったら、そこにはもう海鳥しかいない。






「8月の午后3時」


 西日がキツイ8月の午后3時。


僕は自宅のガレージで車をピカピカに磨いていた。


ボディに金色の太陽がキラキラと反射する。


白い雲がその上を通り過ぎて行った。






「一軒のカフェ」


真夏の炎天下。

アスファルトから陽炎がただよう。


都会の喧騒からエスケイプしたい僕は一軒のカフェへと逃げ込んだ。


そのカフェはアンティーク調であり、ほどよくクーラーが効いていた。

店内のBGMは、静かなインストナンバーだった。


僕は窓際に座る。


店内は、ほのかなライトアップだけで薄暗かったが、窓から見える外の日差しは眩しかった。


アイスカフェかジンジャエールか…。

メニューを広げながら少し考える。


汗がまだひかない僕は、無性に炭酸が飲みたくなった。


僕はジンジャエールをオーダーすることに決めた。






「サンセット」


今にも消え入りそうなサンセット。


夏の夕暮れの海岸線。

僕は車を停め、この夕暮れのひとときをしばし堪能する。


FMからクレイグ・ランクの「キープ・ザ・フレイム」が静かに流れ出した。


乾いた風が僕の頬をそっと撫でた。






「海はつながっている ~ since 1986」


 風が無い日


 うねりは無く、ベタな凪は退屈な海


ボートが呼び込んだ小さな波も、僕のところまで届くことはない


行けるところまでパドルしてみるのはどうだろう?


大丈夫


海はどこまでもつながっているのだから…






「初夏の午后に冷えたワインを」


 初夏。


 陽が傾きかけた週末の午后6時。

外はまだぜんぜん明るい。


 僕は部屋の窓を開ける。

瞬間、レースのカーテンが緩やかな風でふわりとなびいた。


 窓から見える庭木は青々と茂っていた。

そろそろまた夏が近づいて来たようだ。


 僕は冷蔵庫からよく冷えた白ワインを出して、開ける。


パンとチーズと、そしてちょっぴり塩辛いオイルサーディンでワインをやった。






「White Summer」


 真夏の海岸。


遠浅の海から聴こえるさざ波。


乱反射してる海は、真っ白に輝いていた。






「眩しい太陽」


先ほどまでの陽射しが嘘のような、消え入りそうなサンセットだった。

ラナイから、コンドミニアムへと流れ込むSlow Wind…。


ノドもカラダも、カラカラに乾いてしまった僕は、クアーズを飲みながら、ここでの最後の海を眺めていた。






「江ノ電」


 早朝の散歩。


いつものように御霊神社でお参りをする。

手に握り締めた賽銭は、十円玉2枚と五円玉1枚の25円だ。


神様には、あんまり欲張って願い事をしてはいけない。

せいぜい2つの願い事しかしてはいけないと云われている。


25円は「二重のご縁」をかけたものだ。

だから25円を賽銭箱へ投げる僕も、願い事は2つだけお願いする。


参道へ戻る途中、踏切が鳴り、遮断機が降りた。

御霊神社の境内と参道とを挟んで、江ノ電が通り過ぎて行った。


そして僕は路地裏を抜け、由比ヶ浜へと向かった。

手にした読みかけの文庫本の続きを、そこで読むために。






「夕凪」


 今、あたり前に出来ることが出来ないときもあった。

そう、カンカンに照りつける太陽の陽射しの下にいた、Teenagerだった頃の自分…。


 遊び疲れた、夏の夕暮れの砂浜。


 あの頃は気の利いたセリフも、手をつなぐことも出来なかった。

僕らはただ黙って、夕暮れの海を2人で眺めていた。


 そのとき僕らを擦りぬけるように風が吹き抜けた。

さらさらした君の長い髪が、ふわっと舞った…。






「Kona Winds」


 サングラス越しに眺めるwhitecaps。

僕はサンベットに寝そべり、ペーパーバックを読んでいた。


ビーチには、メインランドから訪れたであろう美しいハオレの女性。

カイルアコナに滞在して3日目の午后であった。







「風鈴」


 風には匂いがある。


僕は夏の始まりに「あっ…夏だ」と、風の匂いで感じる事がある。

それは、庭木を剪定してた時や、洗濯物を干したりしている時にふと感じる。



そして僕は、しまっておいた風鈴を軒先に吊るす。


 チリン…、チリン…。


小さな音で、風鈴が儚く鳴く…。


僕の心の隅にしまっていたものが、リマインドした。








詩:Tanaka-KOZO




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