婚約破棄された公爵令嬢は義兄に求愛される~義兄の偏愛が重い~
いくつかのプロットから拾って書いた短編です。
頭を空っぽにして読んでください。
「セシリア・シルヴァード、其方との婚約破棄を宣言する!」
わたくしは学園の卒業パーティーで王太子殿下に婚約破棄を告げられてしまった。
絵に描いたような金髪碧眼の王太子殿下の流麗な顔は怒りに染まっている。
分かっていた。王太子殿下の隣にいるどこかの子爵令嬢だっけ? が学園に入学してきた時から、殿下のわたくしに対する態度が変わってきたからだ。
王太子殿下は隣にいる金茶色の髪にブラウンの瞳を潤ませた小動物を思わせる令嬢を抱き寄せる。
「其方はここにいるエミリーに嫌がらせをする教唆をしていたそうだな」
そんな覚えはないのだけれど、勝手にでっちあげられたのね。
「それどころかエミリーを亡き者にしようと、襲撃を企んでいたそうだな」
それって証拠はあるのかしら? いいえ。異を唱えたところでありもしない証拠を突き付けられるだけね。
「そのような者を妃にするわけにはいかぬ! 其方の実家であるシルヴァード公爵家は我が国で唯一治外法権を認められているゆえ、其方を罰することはできぬ」
我がシルヴァード公爵家は、今の王朝よりずっと前の王朝から続いている古い名家だ。
今の王朝の初代国王とどのような取引をしたのかは不明だが、治外法権を認められたらしい。
王太子殿下はおろか国王陛下でもシルヴァード公爵家の人間を裁くことはできない。
「私としては処刑してやりたいところなのだが、当主のリュシオン殿が其方を領地に返すよう、便りをよこしてきた。早々に領地に帰ることだ」
現シルヴァード公爵家の当主リュシオン・シルヴァードはわたくしの兄だ。つまり、わたくしを裁けるのは兄だけ。正確には義理の兄なのだが、そのことを知っているのは、シルヴァード公爵家の人間だけだ。
一応、婚約破棄をするにあたって、兄に伺いを立てたのだろう。用意周到なことだ。
そもそも最初から王太子殿下の婚約者など重荷でしかなかった。未練は全くない。
「承知いたしました、王太子殿下。エミリー様と末永くお幸せに」
カーテシーをすると、パーティー会場を後にする。
◇◇◇
パーティー会場から学園の寮に帰った後、早々に荷造りを済ませ、領地へ帰ることにした。
「あの、腹黒ドS兄貴! どうせあいつが企んだことに違いないわ!」
領地へ帰る馬車の中で兄への暴言を口にする。兄のわたくしに対する執着心は異常なのだ。
「お嬢様。お兄様のことをそんな風に仰ってはなりません」
侍女のテレサに注意されるが、知ったことではない。
領地に帰ると、満面の笑みを浮かべた兄が領主館の前で待っていた。
帰る時間はあらかじめ先触れを出しておいたので、わざわざ出迎えに来たのだろう。
兄の顔を見た途端、怒りがこみあげ、張り飛ばしてやりたいのをこらえるのが大変だった。
「やあ、セシル。おかえり。めでたく王太子殿下に婚約破棄をされたそうだね?」
「ええ、お兄様。おかげ様でさらし者にされた挙句、見事に婚約破棄されましたわ」
さらさらとした銀髪を風になびかせ、エメラルドグリーンの瞳が曲がった笑みを浮かべている。その整った顔立ちを崩してさしあげましょうか? お兄様。
「これで君の貰い手はなくなったね。婚約破棄された貴族令嬢は傷物とみなされて、結婚の話はなかなか来ないからね」
「お兄様のお望みどおりになりましたわね」
兄にエスコートをしてもらいながら、領主館の中に入る。
「そんな君を僕が妻に迎えてあげようというのだ。ありがたく思うのだね」
突然、兄がとんでもないことを言い出す。
「は? わたくしたちは兄妹よ。結婚できるわけがないわ」
兄リュシオンは黒い笑みを顔に貼り付ける。あ、これろくでもないことを考えている時の顔だ。
「僕たちは血がつながっていない。君も知っているだろう?」
そう。兄とわたくしは血がつながっていない。
非常にややこしいのだが、わたくしは隣国の皇帝の第七皇女という、どうでもいい立場の子供だったのだ。
隣国の伯爵令嬢だった母は父である皇帝に見初められて嫁いだ。といっても側室だが……。
しかし、母はすぐ皇帝に飽きられて、後宮から追い出されてしまった。わたくしが六歳の時だ。
わたくしは側室の子とはいえ一応皇女なので、後宮に残ってもいいと父に選択権をもらえた。だが、後宮にいても退屈そうだったので、母についていくことにしたのだ。
父はあえて止めなかった。皇子であればともかく、側室のしかも七番目の皇女など気にもとめていなかったのだろう。
皇帝に捨てられた母は実家に戻ることを許されず、慣れぬ旅をしながら、この国に辿り着いた。
途方にくれていたところを先代のシルヴァード公爵に拾われた。先代のシルヴァード公爵はわたくしの義父だ。先妻を亡くしたばかりの義父は母に一目ぼれしてプロポーズをしたところ、母は快く受けた。
シルヴァード公爵夫人になった母は義父と仲が良く、幸せそうだった。義父のシルヴァード公爵も実の娘のようにわたくしを可愛がってくれたのだ。
非常に曲がった愛情の注ぎ方だったが、七歳上の義兄もわたくしを可愛がってくれた。当時は曲がった愛情と気づかなかったのは、わたくしが愛情を欲していたからだ。
実の父とたくさんいる腹違いの兄弟姉妹とはあまり交流がなかった。その分、母が愛情を注いでくれたが、後宮の日陰者としてひっそり暮らしていたのだ。
穏やかなシルヴァード公爵家での生活は楽しかったのだが、幸せは長く続かなかった。
わたくしが九歳の時、旅行に出かけた両親は途中で事故に遭い、帰らぬ人となってしまったのだ。
十六歳で公爵位を継いだ兄はわたくしを連れて、王宮に登城した。その時にわたくしは王太子殿下に見初められたのだ。
後から聞いた話なのだが、王宮に登城した時が王太子殿下の婚約者を決める茶会の日だったという。
そして、十歳の時に王太子殿下の婚約者となったのだが、最後まで兄は反対していた。
わたくしは自分の所有物だからという、どうしようもない理由で……。
「戸籍上では兄妹よ。結婚なんて無理よ」
「大丈夫。君は隣国の皇女に戻ったから」
いつの間に戸籍操作をしたの!? 治外法権の権力を使いすぎでしょう! てか! 簡単に認めてるんじゃないわよ、父!
「何の問題もないよ。安心して僕の妻になるといい」
「問題大ありよ! このバカ兄! わたくしは貴方が嫌いだもの」
人を所有物扱いする最低野郎のところに嫁ぐなんてお断りだ。しかも義理とはいえ兄の嫁になるなんて最悪でしょう!
「僕は君を愛している。だいたい王太子の婚約者を決める茶会の日だって渋々連れていったんだ。勝手に婚約者に決められてしまって後悔しているよ」
兄はわたくしを偏愛しているのだ。
「それで裏でいろいろと工作して婚約破棄させたってわけなのね」
「それは誤解だ、セシル。王太子があのなんとか子爵令嬢に心移りしたと聞いて、君が不幸にならないように少しやつらの手助けをしただけだ」
「そういうのを工作って言うのよ!」
どっと力が抜けてソファに身をあずける。
「君の実の父上には許可をもらっているよ。一週間後に結婚式を挙げよう」
「嫌だって言っているでしょう! 人の話を聞け!」
兄は最後までわたくしの話を聞かず、部屋を出て行ってしまった。
◇◇◇
昔から兄に逆らえた試しがない。結局、いつも兄の言うとおりになるのだ。
「ねえ、お兄様。どうして王都で結婚式を挙げるの? わたくし一週間前に領地へ追い返されたばかりなのだけれど……」
「今日のセシルは一段と美しいね。自慢のプラチナブロンドは艶やかだし、澄んだ瞳はアクアマリンのようだよ」
「だーかーらー! 人の話を聞け!」
「ああ、それとお兄様ではなく名前で呼んでほしいな。今日から夫婦となるのだから」
これはダメだ。全くわたくしの質問に答える気がない。
いっそのこと、逃亡しようか? 無理だな。兄はどこに逃げても執拗に追いかけてくるだろう。
諦めて馬車の窓に肘をつき、外を眺める。
いつの間にウェディングドレスを仕立てていたのか? 採寸はどうしたのか?
最早、聞くまい。用意周到な兄のことだ。前々から準備していたのだろう。
王都の大聖堂の控室で披露されたマーメイドラインのウェディングドレスは少しわたくしの好みだった。
シンプルな形ながらも真珠がふんだんに縫い付けられ、豪華だ。ただトレーンが長くて重い。
豪華なドレスを着せられ、あっという間に花嫁姿に仕上げられたわたくしは王都の大聖堂の扉の前に向かう。
扉の前には白い礼服に身を包んだ兄が私を待つように立っていた。
「思ったとおりよく似合っている。きれいだ、セシル」
普通の貴族令嬢であれば、この甘い笑顔に絆されていただろうな。黙っていれば素敵な貴公子なのだ。
わたくしは言い返す気力もなく、そっとため息を吐くと、兄に促されるままエスコートされる。
扉が開け放たれるとバージンロードが目に入る。そして、大勢の視線がわたくしたちに集まった。招待された貴族たちをちらっと見ると、妃教育の一環で覚えさせられた顔触れだ。
憧れのバージンロード。相手が兄でなければきっと幸せな気持ちに包まれて歩けたのだろうな。
瞬く間に祭壇に辿り着いたように思う。脱力気味のわたくしの頭には神父様の言葉が入ってこない。
「それでは誓いの口づけを」
兄がわたくしのベールを上げる。
「あ! 貴様はセシリアではないか! なぜシルヴァード公爵の花嫁が貴様なのだ。というか、其方たちは兄妹ではないのか!?」
きんきんと叫んでいる方向へ目を向けると、王太子殿下がわたくしを指差している。聞き覚えのある声だと思ったら……。
なるほど。ベールで顔が隠れていたから、わたくしだと分からなかったのね。
よく見ればエミリー様が王太子殿下の横にいた。わたくしの代わりに婚約者となったのだろう。それにしても、正式に王太子妃となったのであればともかく、今は子爵令嬢に過ぎないというのに。恋は盲目というけれど、常識まで忘れてしまったのかしら?
最前列に参列していた王太子殿下は国王陛下が制止するのも聞かず、つかつかとわたくしたちの下へ歩み寄ってくる。
「この結婚は無効だ! いかに治外法権といえども兄妹同士の結婚など認められない!」
無効だとしても王太子殿下にそんな権限はない。
「殿下、僕たちは兄妹とはいえ、血のつながりはないので有効ですよ。ましてや、先日殿下との婚約は破棄されましたので、結婚しても問題はないはずです」
ふふんと鼻を鳴らしてどや顔の兄だ。
「だとしても、この女は犯罪者だぞ! 公爵の花嫁には相応しくない!」
顔を怒りの表情に染め、王太子殿下は抗議してくる。
「余の皇女を犯罪者呼ばわりするか? いかにこの国の王太子といえども聞き捨てならぬな」
大聖堂に堂々と響いた声の主は――。
「父上」
隣国マイエルフェルト帝国の皇帝。わたくしの実の父だ。
「久しいな、セシリア。十年ぶりか? 美しくなったな」
プラチナブロンドの短髪をきれいにまとめた父は、アメジストの瞳で優しく微笑みながら、わたくしの下に歩み寄ってくる。マイエルフェルト帝国の礼服を纏った父は皇帝らしく威厳に満ちあふれていた。
しかし、強面なので笑顔でも怖い。しかも四十代前半のはずだが、六歳の頃に別れた姿と変わっていない。年をとらないのだろうか?
「隣国の皇女! セシリアが!」
素っ頓狂な声を出す王太子殿下を父が睨みつける。すると文字どおり固まった。
「そうだ。セシリアは余の第七皇女である。シルヴァード公爵との婚姻も認めておる」
マイエルフェルト帝国は大国だ。そのマイエルフェルト帝国から独立を許されたこの国グリンデル王国の立場は弱い。
皇帝がわざわざ娘の結婚式に参列するとは思わなかっただろう。わたくしも思わなかった。
「わけがあってシルヴァード公爵家に戸籍を預けていたが、一ヶ月前に余の皇女として戸籍を戻した」
わけって……。貴方が母を捨てたんでしょうが! 一ヶ月前に戸籍が戻っていた? 聞いてない!
いろいろつっこみたいが、婚約破棄をされた仕打ちは忘れていないので、黙って眺めていた。
「つまり、一ヶ月前からセシリア嬢はマイエルフェルト帝国の皇女だったと……」
王太子殿下の父上、グリンデル国王が顔を青くしながら、マイエルフェルト皇帝に確認をする。お気の毒。事の重大さに気づいたのだろう。国王陛下の声が震えている。
国王陛下と王妃殿下は人あたりが良い人たちなのだ。王太子殿下はどうでもいいが、お二人のことは好きだった。
「そういうことだ。余の皇女のどこが不満だったのかは分からぬが、こちらの王太子に婚約破棄されたと聞き、いてもたってもいられなくてな」
グリンデル国王はまだ固まっている王太子殿下に駆け寄ると、息子の頭を掴みともに土下座をする。
「愚息が誠に申し訳なかった! どうか許してほしいセシリア嬢、いや、セシリア皇女」
「余としては皇女の望むようにしてやりたいが……どうする? セシリア」
父に問われてしばらく考え込む。
「そうですわね。わたくしは今日シルヴァード公爵家に嫁いだ身ですから、夫に従いますわ」
面倒くさいので兄に丸投げする。兄であれば狡猾な手を考えていることだろう。
「だそうだ。シルヴァード公爵、どうする?」
兄はマイエルフェルト皇帝に頭を下げる。
「それでは僭越ながら、妻の代わりに発言いたします。妻は殿下の大切な令嬢を傷つけておりません。証拠は後ほど提示させていただきます」
そこで兄は一旦言葉を切ると、黒い笑みを浮かべる。
「そして、我が妻を傷物にした代償をいただきます」
「どのような?」
国王陛下はごくりと唾を飲み込む。
「今日よりシルヴァード公爵家はマイエルフェルト帝国に属します」
「な!」
大聖堂中がざわつく。
えげつない! シルヴァード公爵家は治外法権を認められているとはいえ、グリンデル王国に属している。
しかもグリンデル王国の国費は半分以上シルヴァード公爵家が賄っている。
そのシルヴァード公爵家がマイエルフェルト帝国に属するというのは、事実上グリンデル王国は滅亡するに等しい。
とんでもない代償を求めたものだ。
おそらく父と兄で前々から計画されていたのだろう。
「それでは、後ほど宰相を通して手続きさせていただきますので、我々はこれで失礼いたします」
完全に呆けたグリンデル国王一家を放っておいて、扉に向かってわたくしを引っ張っていく兄だった。扉の前にくると振り返り、優雅に礼をしてこう言い放った。
「本日は僕たちの結婚式に参列いただきありがとうございました」
兄に倣って、わたくしもカーテシーをする。
◇◇◇
控室に下がる前に父に呼び止められる。
「セシリア、結婚おめでとう。娘の晴れ舞台を見れてうれしいよ」
「父上、本当に結婚式に来られただけですか?」
疑わしげに父を見やる。父は苦笑した。でも顔が怖い。
「もちろんだ。十年前はすまなかった。本当はセシリアを手放したくなかったのだが……」
「それでは、なぜ十年前に後宮を出るのを許可したのですか?」
「エリーシアのことは愛していた。娘である君もだ。だが後宮においておくのは危険だと思ったのだ」
エリーシアとは母の名前だ。父はとつとつと語り始めた。
真相はこうだ。
わたくしが生まれた頃、母は父の寵妃だったらしい。だが、食事に毒を盛られて死にかけたり、赤子のわたくしのベビーベッドに毒蛇が仕込まれていたり、大変だったそうだ。
後宮は女たちの熱いバトルが繰り広げられる場所だ。毒殺、不審死は日常茶飯事だった。
母とわたくしが生き残ったのは日陰者に甘んじていたからだと思っていたが……。
わたくしは覚えていないのだが、父は赤子だったわたくしを大層可愛がっていた。他の妃たちには当然それがおもしろくない。
三歳の頃、父と遊んでいる時、目を離した隙に池に落とされたこともあったらしい。幸い、父が駆けつけて大事に至らなかったそうだが……。
「全く、覚えていませんわ」
「そうであろうな。池に落とされてもセシリアは元気に泳いでおったからな」
それは遊びと勘違いしていたかもしれない。
度々、殺されかけて身も心も疲れ果てた母は父に「実家に帰らせてほしい」と申し出たそうだ。
母とわたくしを守るため、暇を出したが、母の実家は皇帝に捨てられたと勘違いし、不名誉だと勘当したそうだ。
「先日、シルヴァード公爵家に匿われていたことを知ったのだ。何しろ、シルヴァード公爵家は謎が多く情報が掴めなかったのだ」
ようやく見つけ出したと思ったら、母は帰らぬ人となっており、おまけに娘は王都にいて会えないと父は嘆いたそうだ。
「これからは父の下で暮らすとよい。他の妃は全て追放した。子も皇太子以外は残していない。安心するがよい」
追放? というか冷酷な父のことだ。もしかして? いや、考えるのはやめよう。
「皇帝陛下、一段落しましたら、セシルを連れてお伺いいたします。詳しい話は後日……」
兄はわたくしの腰を抱くと話に割って入る。
「うむ。其方たちは婚姻を結んだばかりだ。のんびりするとよい。我が国に来るのを待っておるぞ」
それだけ言い残すと父は踵を返し、大聖堂へ戻っていく。国王陛下と積もる話があるそうだ。これはグリンデル王国がマイエルフェルト帝国の属国になる日が近いかもしれない。
◇◇◇
控室に入ると、どっと疲れが押し寄せてきた。
「今日は慌ただしくて疲れたわ。お兄様、わたくし……」
言いかけて兄に壁ドンされた。
「お兄様じゃない。僕たちは夫婦になったんだ。名前で呼んで」
「ええと……リュシオン……」
兄……リュシオンは満足したようだ。満面の笑みだ。
「ねえ、セシル。誓いの口づけがまだだったね」
そういえば、王太子殿下に邪魔されたのだった。
「わたくし疲れていますので、また今度で」
リュシオンの笑みが黒く染まっていく。
「ほ! 頬でお願いします!」
黒い笑みが消えていくと、リュシオンはわたくしの頬に顔を寄せ、チークキスをした。
「今はこれで我慢してあげるよ。でも今夜は覚悟しておいてね」
リュシオンの偏愛からは一生逃れられる気がしない。
それならば、彼を愛する努力をした方がいいのかもしれない。
こうして、わたくしはじわじわとリュシオンに染められていくのだろうな。
ここまでお読みいただきありがとうございました(*^▽^*)