〇四.武器を選んでください
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全王国民に貸し出し用の武器がしまわれている武器庫は体育館のように広かった。
アントニスとレオニダスが慣れた様子でひとつずつ武器を説明していく。
剣だけでも、片手剣、両手剣、それもまっすぐな物、細い物、曲がっている物、しなっている物、何又に別れている物、日本刀みたいな物まであった。
槍も様々な長さと先があり、斧、メイス、弓系、ヌンチャク、トンファー、鉄扇まであった。まさにゲームの中の武器庫かという品揃えだ。
ただ、銃などの火器系はない。
健一郎はいくつか持たせてもらったけれど、どれもけっこう重くて驚いた。
金属部分が想像していたよりも重くて、どれも使える気がしない。
一番軽く感じたのが日本刀みたいな物だったけれど、それも人に当てると血が出るのかと思うと、とても振り回せそうになかった。
参考に、アントニスとレオニダスの愛用している武器を教えてもらったら、巨大な剣と巨大な斧だった。
「ネス王子のチームは、アトスとレオと俺の四人であってる?」
「そうだな」
「今回もそうなるだろうな」
チームは最大五人まで組めるけれど、ネス王子は人気がないのでチーム希望者がいないらしい。
「ネス王子はどうやって戦うんだ?」
「ネスは器用だからな」
「その時の気分で毎回違う」
「参考までに、今まではどんな武器を使っていたんだ?」
「あーっと、なんだっけか?」
「確か、剣は一通り試したよな。弓もやった。槍も全部やったかどうかって感じだな」
「あぁそうだった、そうだった。てことは、今回は斧とか? 俺とかぶるな」
「案外、ヌンチャクとか珍しい系にいくかもしれんぞ」
「魔法は誰も使わないのか?」
アントニスとレオニダスはきょとんとした顔になった。
「マホウ?」
「マホウってなんだ?」
「今朝、俺にかけてくれただろ? 体をきれいにする魔法。ネス王子も使っていたから、てっきり王子は魔法を使うんだと思ってた」
「あぁ。あれはマホウじゃない。異世界術だ」
「異世界術?」
「と言っても、異世界人が使えるとは限らない、よくわからない術なんだが、便利だからみんな、使える術だけ活用している」
「詳しく教えて欲しい」
このまま扱いにくい武器を無理矢理使うより、魔法のような異世界術とやらを使えるかどうか試してみよう、と健一郎は考えたのだ。
「悪いがそんなに詳しくは知らない」
「俺たちも便利な術しか知らないんだ」
「ケンが想像するような、戦う術はなかったと思うぞ」
「……」
そんなことないだろう、と健一郎は思う。
ここまでゲームっぽい世界で、すでに便利な術としてあるのだから、見つかっていないだけだろう。
「わかった。後でネス王子に聞いてみるよ」
「とにかく今は訓練用の武器を選べ」
「ないと指導もできん」
結局、刃物がついた武器は怖かったので、健一郎が選んだのは、ただの棒だった。
10万字超したので、一旦ここで休憩します。
長期休暇中はなかなか更新できませんが、夏休み明けに、またよろしくお願いします。




