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24.お泊まり会の約束

11.5と中身を入れ替えただけだと新規にならないのかな?

すみません。こちらが7月1日分です。

連続投稿します。1/2。


 小さい子が食欲に走る理由。


 食欲に限らず、小さい子の問題行動は、単純に考えれば愛情不足だろう。

 私もそうだったから、よくわかる。

 まぁ私は王子王女といった立場じゃないから、気持ちがわかるような気がするだけだ。

 食べてもなにしても満たされない、飢えたような、足りない気持ちを知っている。


 もしも母親不足なら、母親との時間を増やせばあっさり解決しそう。

 でも、それができない状況なら、心に空いた穴を楽しいことで満たしてあげればいい。

 今はお菓子で埋まっている場所を、別のなにかとすり替えればいい。

 根本的な解決にはならないだろうけど、お菓子テロ隊を解散することはできる。


 たださー、王子王女ってほとんどのことは望めばかなえられる立場だよね。

 なにで興味が引けるんだろう?

 さっぱり思いつきません。


 というわけで、まずは情報収集。


「ルチア先生、ディーノ殿下とティナ殿下は、普段はどういった一日をお過ごしなのですか?」


「王家の行事がなければ、城で勉強とマナー、ディーノ殿下は剣、ティナ殿下は楽器の稽古といったところかな」


「毎日ですか?」


「基本そうだね。食事も私が一緒の時は授業みたいになる。そうですよね、ビアンカ様?」

  

「間違いないですわ。わたくしも同じように過ごしておりましたもの。ですから、おやつの時間がとても楽しみだったのですが……」


 最近は、そんなおやつの時間も台無しなんですね。

 それにしても、王妃様とのふれあいの時間とかないの?

 ビアンカ様は小学校高学年、ディーノ王子とティナ王女は園児くらいで、まだまだ親子の時間がいると思うんだけど。

 王妃様って、子供たちとまったりティータイムとかするもんじゃないの?


「あの、王妃殿下はお仕事をされているのですか?」


「国王の名代として外交を担当されているから、あまり国内にいらっしゃらないんだよ。カルミア王国では、第一子が女性でも跡継ぎになれることから、社会でも女性がよく働いているんだ」


 女性は、働く女性と貴族らしい淑女に二分されているらしい。


「そうじゃなかったら、さすがに私の行動も許されないよ」


 小さい頃はともかく、今でも男装しているのは職業的なことであって、誰かを欺くような変装ではないんだよ、とルチア先生が笑う。

 男装したルチア先生が舞踏会で引っ張りだこになるのはお約束で、お嬢様方は貴公子風(チャラ男じゃなかった)口説き文句をわかって楽しんでいるらしい。

 なによりドレスを着るよりラクだからね、というのが男装する一番の理由だったのは聞きたくなかった。そこはお兄様を偲んでとか言って欲しかった。

 

「悔しいですが、王妃殿下の仕事ぶりは素晴らしいです」


 アルベルトも認めるくらいだから、王妃様は王の右腕といったところなのかもしれない。

 私は勝手に、怠惰で自堕落な浪費家の王妃様を想像してたけど、そんな王妃様じゃ、王妃派ができることもないよね。

 王妃様は仕事のできるキャリアウーマン……いや、エリート女性だったのか。


 王妃様の子供に対する考え方は会ってみないとわからないし、そばにいない人にどうにかしろってのも無理な話だ。

 私にできそうなのは、お菓子に変わるなにかを提供できるかどうか。

 うーん。

 やっぱり、もう少し相手を知らなければ、考えも浮かばない。


「できればですが、ディーノ殿下とティナ殿下の普段の生活をもっと知りたいんですけど」


「ダメです! それはわたくしが先ですわ!」


 え?


「そうですね。私としても、姫様と一緒にいてくださった方が助かります」 


 ええ?


「面白そうだね。異世界人と子供たちだけだと問題になりそうだから、私もご一緒させてもらおうかな」


 えええ?


 いつの間にか、ビアンカ様とルチア先生と一緒に双子を一日密着取材することになっていた。


「酷いですわ。わたくしが先だと言ったのに」


「仕方ありませんよ。王妃殿下が国外にいる間の方がいいですからね」


「ユリア様が希望されたのは双子の方だったんだから。いい加減、聞き分けて?」


 可愛らしくふくれるビアンカ様を、アルベルトとルチア先生がとりなしている。


 確かに『生活を知りたい』って言いましたよ。

 言ったけど、授業を一緒に受けるとか、剣や楽器の練習を見学するとか、そういうのだけで良かったのに。


「わかりましたわ。あの子たちの後でいいので、わたくしのお部屋でお泊まり会をしましょうね」


 どうしてこうなった。

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