72.通行証
前回のあらすじ
通行証を獲得するための試験が始まろうとしていた。
◇
試験は大凡30分で終わった。
採点結果は各10点満点でそれぞれ自分は10、10、10とオールパーフェクトだった。
そもそも試験が緩すぎるんだよな。通行証を発行するだけとはいえ、ね。
なにはともあれファウスト封書庫にこれで入れることは喜ばしいことだ。
そして、アリス、ケイの2人とも俺と同じで満点だった。
通行証を手に俺たちは先程は遠くからしか見えなかったファウスト封書庫の入り口部分までくる。
遠くからだと、でかい門しか確認出来なかったが近くに来たことによりその門の端に人が横に3人くらい並んで通れるくらいの道があることがわかる。
そしてそのダンジョンへと続く道の入り口の前には2人の先程管理事務所で見てきたのと同じ制服に身を包んだ者がいて、俺たちと同じように入ろうとする人々は皆、通行証を見せている。
っと、余分なことを考えながら数人の後ろに並んでいる。
「もうすぐ入るが、準備は出来ているか? もう剣とかある程度すぐに戦闘できるようにしておこうな」
セシリアは前に並ぶのが1組になったので、そう2人に声を掛けながら大剣を空間収納から取り出し背中に担ぐ。
「私はいつでも準備出来てるかな」
アリスは羽織っているコートの端を掴みひらりと内側を見えるようにする。そして、そこから覗かせたのは夥しい数のナイフや得体の知れないビンの数々であった。
それだけ隠し持っているにも関わらずコートから手を離せば、何も持っていないとばかりに歩く度にコートは自然に形を変える。
これは特殊な収納魔法が組み込まれたゲーム時代に俺が作った特製コートだ。つまり、忍ばせた武器もコートを羽織った状態であれば無いも同然である。
「まだそのコート使っていてくれてたのか! ボクは嬉しいぞ」
「当たり前よ。だって私にくれた大切なものなんだからね。ところでケイは?」
ふとケイに目をやるといつも通り派手な金色の金属の胸当てと膝当て、膝当てと動きやすさ重視の装備に、高さ1.5メートルくらいの巨大な壁盾とセシリアの持つ剣より一回りも二回りも大きい大剣を腰に帯びている。
一般の人間ならばただ持つことさえ困難だが、それはケイ自身が有する隆起した筋肉が物語っている。
このケイの装備を見繕ったのは、
「いや、俺もセシリアさんからこの装備を作ってもらったんスよ。剣も盾もッス」
そう俺だ。
召喚したアリスやケイには俺のようなプレイヤーとは別枠で装備がありそれがどれも性能がいまいちであった。更にそのくせ何もかもが高いのだ。だから俺はただのそんな大層な理由もなく作ったのだが‥…意外にもプラスに捉えられていた。
まあ召喚はこれもあって人気がなかったんだよな。
「セシリアさんはケイにも渡していたのね!?」
これはなんと答えるのが正解なんだろうか。
とりあえず変に考えずに答えよう。
「それよりもうボク達の番だぞ? ほら、通行証出さないと」
正直、前の喧嘩でお腹一杯の俺はもうすでにこの喧嘩に心ここにあらずであったので俺は前を気にしていた。で、ちょうど今俺たちの前の組がいなくなったので言った訳だ。
それにこれで面倒な質問も回避ということで一石二鳥だな。
俺は既にもう手元に通行証があったが、2人は用意してなくて慌てて出していた。その様を見てるとどこか面白かった。
まあその間に俺が先に通行証のチェックされていたから待たせるなどはしていない。
チェックの仕方がまた面白くてブルーライトのような光を当ててカード状の通行証を隈なく確認している。
数分すると白っぽかった通行証は紺色になっていた。
そして2人のも同様にチェックが完了する。
「このファウスト封書庫についてですが、この通行証は出るときには必要ありません。しかし、3階層より下へ向かわれる際には追加の試験とこの通行証が必要になります。ご質問等はござますか?」
特に無いので2人にも確認の上ないことを確かめ、大丈夫であると伝える。
でも、これで試験があれだけ緩かった理由が分かった。つまりこの通行証はあくまでも低層のみにしか使えないからそこまであげる必要が無かったのだろう。
いい仕組みを考えるものだ。
「承知いたしました。では、いってらっしゃませ」
係の人にお辞儀で送り出された俺たちは道へと向かいダンジョンに足を踏み入れたのだった。
ダンジョンの中は相変わらず昼間のように明るいし、多くの人が通っているおかげか地面は踏み固まっているのでとても歩きやすかった。
最近毎日2000字頑張って書いてますけれども、これもいつまで続くか分からないです。
だから今のように毎日投稿できなくなってもやめる訳ではないので温かい目で見守っていただけるとありがたいです。




