69.ファウスト封書庫
前回のあらすじ
召喚魔法を使いケイを呼んだ。
お、きたきた。
「……どこ、ここは……。そこにいるのはケイと……誰?」
俺の目の前には1人の小さな、とは言っても今の俺と同年代の背丈で細長く尖った耳が特徴的な青髪のショートヘアの子がペタンと座っていた。
一見すると目もクリっとしていて子供のようだが年齢は詳しくは公表されていなかったが年齢の上では大人らしい。全く、運営は何を考えているんだか。
「ボクは浩二だ」
俺は優しく声を掛け、そっと手を伸ばす。
「こーじ……? でも見た目が全然違う……」
「いや、アリスもな?」
そう、こいつの本来の姿はこれではない。それとこんなあどけない口調ではない。
まあ可愛い感じというのはまあ変わらないが。
「しょーがないね。じゃあ元の姿に戻るよ。結構私としては気に入ってたんだけどな」
ここは褒めるべきだったのか? しかし、子供の姿になってるのが2人でそれを連れて歩くのがケイとか言う状態で街を歩けば忽ち通報されかねない。
アリスの周りにはボフッという音が合いそうな勢いで白霧に包まれ、その霧が晴れたと思えばそこに居たのは全くの別人だった。
「改めておひさ〜です!」
腰の下まで伸びた艶やかな黒髪と身長は170センチ近くはありケイがいるので感覚が狂っているが随分高い。まあ髪の毛は今は、というか大抵フードを深く被っていてよく分からないがそういう設定だった。
「久しぶりだな。それとマジでビックリするから姿を変えながらはやめてくれよ」
アリスのクラスはプレイヤーには無かった暗殺者だ。故に変身はお手の物ということだ。本領はそこでは無いのだが、ゲームの時俺が本気で強化を暇だからしまくった結果だろう。
ちなみに人型の召喚対象は実はこの2人だけである。その代わり、2人の能力値はそのクラスの頂点に君臨する域に達してもちろん大抵のプレイヤーは相手にもならないレベルだ。
「久しぶりだったからインパクトあった方がいいかな〜って思ってね。今度から気を付けるよ!」
考えての行動だったのか。しかし、それを受け入れなかったというのは悲しいだろうな。
「いや、驚いただけで楽しかったぞ? また驚かせてくれよな」
そう励まし、本題へ入るとするか。
「さてと、メンバーも揃ったことだし具体的な説明をするとしようか。これからボクたちはダンジョンに向かう――」
俺は今日の予定、ダンジョンに入るためには試験がある、ステータス、スキルという概念、今回の目的等を確認した。
「なら早く行かないとッスね。ここからどのくらいかかるんスか?」
「そうだな、30分ほどだ。そのくらい歩くのは大丈夫か?」
念の為大丈夫か訊く。無理だったら転移魔法を使って行くのだが、こいつらもそこまでやわな奴らでは無いから大丈夫だろう。
反応は大丈夫だそうだ。
◇
あれがファウスト封書庫か。
入口は大きな箱のような建物にあり重そうな高さ3メートルはある金属の扉で閉ざされていた。
その隣には『ファウスト封書庫管理事務所』と書かれた建物があった。
そこを俺たちと同じような人が出入りしているところからしてあそこで許可が下りるか否かが決まるのだろ
うと考えた。
そして今俺たちはその建物に中にいる。
中にはやはり『立ち入り資格獲得試験』と書かれたコーナーがあり、そこには多くの人達により列を成している。
「あれがボクが言っていた試験というやつだな。なかなか面白そうだろ?」
そういいながら俺たちは列の後ろにつく。
「ダンジョンの名前もそうっワクワクさせるようなものっスけど、やはりセシリアさんとアリスとまた一緒に戦えるのも楽しみっスね」
さり気なく嬉しいことを言ってくれるじゃないか。
しかし、これがケイの素であるというのがモテる原因であり将来ライバルになり得る可能性があると思い、心の中で一人ファイティングポーズをとってみせる。前世のイマイチパッとしなかった俺の状態では厳しいだろう。
「こうして3人揃っての行動はなかなかしなかったからボクとしても嬉しいぞ。そうだ、ボク一人でってのも寂しいしこの夏休みの間、約1.5ヶ月の間をまず一緒に過ごさないか?」
先程ケイには夕方までと言ってしまったが、みんなでこうしているのも悪くないだろう。
それに俺たちには主従関係が既に気付かれているが、今までのように必要なときだけいてもらう、っというのはやめようと思う。こうして一緒にいると以前のゲームのときはまともに会話すらできなかったのが、今や人間と何一つ違わぬ存在にしか見えない。
そうにも関わらずこいつらを無下にはしようなんて思えない。しかし、主従関係がある以上ある程度のラインは引いておかないといけない。その点は気をつけるとしよう。
少々きりの悪い終わり方になってしまいました。




