68.ケイ
前回のあらすじ
ギルドでダンジョンに行くことを決意する。
ダンジョンはこの街の外にある。大体歩いて1時間程だ。
さてと、今は30分くらい歩いて来たのだから中間辺りだろう。今まで通ってきた街道から外れ通行人の邪魔にならないところへ行く。
もちろん魔物なんかがいないかも確認してである。
では始めようか。召喚を。
獣型は優秀な子も多いが魔物と勘違いされたり、それだけでダンジョンに近づくことを断られたりしてしまうかもしれない。
となると人型か。ほとんどが女性キャラなんだよな。しかし、男性キャラも結構仲良くなれたものなんかも多いし誰を召喚しようか悩む。
先ずはあいつからいくか。
セシリアの目の前には、直径1メートルほどの金色に昼間の屋外でもはっきりと認識できるほどに光る魔法陣が5個出現する。
その金色の光は瞬く間に光量を増していった。
――第5階位召喚――
俺は頭の中で召喚対象をイメージしたら魔法は発動し、魔法陣を覆うように発光していたものは筒状になり空へと伸びていった。
数瞬後光は収まり、それと同時に一人のセシリアの身長の二倍はありそうな大男が立っていた。
因みにこの光はただの演出なので第三者からの目からは見えないので気にする必要はない。
「まったく、切羽詰まる戦闘以外いつも呼んでくれなくて暇すぎてくたばるかと思いやしたッスよ……」
男は肩の少し上辺りまで伸びた髪を掻きながら文句を言う。
顔にも幾つか切り傷の跡があったりして危ない感じを醸し出している。
確かにゲーム時代からそもそも召喚はあまりしなかった。使えるところが戦場でも更に限られている上にボイスチャットを使って連携を執るのがマルチプレイでの肝となるのにそれも不可能であったからだ。
故に召喚はプレイヤーの中でもしている人はほとんどいなかった。
しかし、現実となった今はそれらも変わるだろう。現にこうして話しかけてきたのもその一つだ。
「久しいな、ケイ」
ちょっと自分の中でイケてる風にしようと地声より低めにシフトさせ声を掛ける。
「って誰だよあんた! 浩二はどこにいるんだ!? それとなぜ俺の名を知ってるんスか……」
だいぶ混乱させてしまったようだ。やっぱゲームと違って反応もいいね〜。いやいや可哀想だ、説明しないと。
「鈴木浩二、本人だ。まあ、いろいろあってこのような見た目ではあるが、こうして俺——じゃなくて、ボクがケイを呼び出したのが証拠だろ?」
「いろいろありすぎッスね! もうそれはいいとして敵襲は見当たらないのになぜ俺を呼んだんスか? まさか、俺にただ会いたくてですか?」
両手で軽く握り拳をつくり顎のあたりに寄せ、頭を少し傾け気色悪いことを聞いてきた。アヒル口まで作っていやがった。
「その手を降ろして、顔の傾けるのもやめろ」
口調まで変わってたし。
「浩二さんは冷たいっスよ。というか今の姿でも浩二と名乗ってるんスか?」
なかなか面白い質問だ。
自分でもセシリア、セシリアと呼ばれてきて若干今の浩二という呼ばれ方に違和感を覚えたものだ。
「ああ、そうだったな。ボクの名前はセシリア・ジェネレーティだよっ!」
てへっとぶりっ子ポーズをキメてみせる。男がやればキモイが美少女がやると誰しも二度見、いや三度四度と見てしまいそうなものになるのだ。
「……尊いっス、浩二――じゃなくてセシリアさん」
ケイの顔は綻んでおり、先程までの圧が感じられないほどになる。
「目線がエロいぞ。ロリコンか、お前は」
それに対しセシリアは露骨に冷たい視線を向け、若干引き気味でつっこむ。
「あれは不可抗力というものっスよ……。それで結局俺を呼び出した理由はなんスか」
ケイの言う通り確かにあれは男ならば当然の反応だろう。
セシリアも自分を思い返し客観的な視点で見返すと同情してうんうんと頷く。
「それもそうだな。で、呼び出した理由はこれからダンジョンに行こうと思ってそれでパーティーとしてこれからしばらく一緒に動いて貰おうと思っている。多分今日の夕方頃には帰れるぞ」
「なるほど、俺は召喚されなくてもされても暇なんで全然いいっスよ」
ケイは了諾する。
「急に呼び出したのに悪いな。男だけってのもムサ臭いし、あいつを呼ぶか」
俺はそういい召喚の用意をしていく。
「え、セシリアさんは女性じゃないっスか。何を言い出すんスか」
ケイはそう不思議そうにつっこむ。
「心がだよ」
お、きたきた。
そんな戯れをケイとしていると2人目は姿を現そうとする。




