20.いきなりですか?
少しだけストーリーの追加。
10/19
前回のあらすじ
入学式までの話。魔物をたくさん倒し、ステータスも上げた。
学院の中の講堂で、入学式が執り行われている。
「えー、新入生の皆さん。御入学おめでとうございます。これからの学院生活は魔法学院というだけあり、魔法の授業が組み込まれています。ここにいるみなさんはあの日のような出来事を繰り返したくないはずですよね?そのためには対抗すべく力が必要です。災厄を齎す魔王の軍勢は数十年おきに来ます。君たちが大人になってからもきっと来るでしょう。私達はそんな君たちにここに住む者たちの未来を託せるだけの力を受け継いでもらいたく思います」
周りの奴らの表情は嫌悪感が滲み出ている。エンセリア、ティアナ、そしてカリスも似たようになっていた。
察するにここに来てるヤツらは魔王の軍勢に対抗するための力をつけるために来ていて、理由は考えるまでも無いだろう。カリスも小さい頃に親を亡くしたらしいからそっちの可能性が高いだろう。同じように2人も大切な人を傷付けられるなどされたのだろう。
だが、俺の中からもなぜかは分からないが無性に力を求めているような気がする。
「しかし、魔法だけでなく、知恵も必要である。だから、他の各教科も―――」
(これは30分コースだ。でもなかなかに有益そうな情報も得られそうだからいいか)
小学校の頃、校長先生のお話で不調を訴える生徒が続出していたのを思い出す。1年生なんかは、既に話を聞く気すら皆無だったし。
そんなことを思い出しながらも、頑張って聞く。意外に重要事項とか含まれていることがあるからだ。魔王の軍勢が来る可能性があるというのもそうだろう。
やっと2時間掛けて、全員の話が終わる。
そういえば俺って主席で合格できていなかったようで新入生代表ではなかったみたいだった。結構頑張ったけれども現実はそう甘くないということか。
「只今から、クラスの振り分けについて書いた紙を配布していきます。これから、3年間同じクラスメイトとなります」
早速、配られた紙を見る。
どうやら、4クラスのようだ。これはあいつらと違うクラスになるかもしれない。
俺は……4組か。そして……ティアナ……エンセリア……カリス………………?!
全員同じクラスではないか。
何度も紙を見返してみたが同じだった。
可笑しくないか、確率的に。嬉しいけど、こんな偶然なかなかないと思うんだが。ま、いっか。
「良かったな、全員一緒だ」
「確かこれ成績順だぞ。ボクたちは優秀だから同じ1組。当然、当然!」
成績順なんだ。それで、そうなったのか。成る程、納得しました。
「これから教室でお話があるので、早く向かいましょう」
「そうだね。早くしないとみんな待たせちゃうかもしれないし」
広い学院の中の教室へと向かう。
そして俺は、今頃重要なことに気がついた。
学院から配布された制服を見れば下が、下が……スカートなんだ…………。自分の姿を見ればそこにあったのは青と白と黒のチェック柄のスカートにシャツとその上にベストと春用の薄めのコートを着た少女がいた。
遂に、こんな日が来てしまうとは人生何があるか分からないものだな。
前にカリスによって、あれやこれやといろいろつけられたが、その際にはスカートは無理というか嫌だと言った程だ。
何故かって? それは開放的過ぎて居心地が悪いということと、座るときや屈むときも1つ動作が増える。更に、俺としてはもう見た目が完全に制服を着たら女性となってしまい、自分で言うのもあれだがこの今の俺、可愛すぎる。
前世でチキンの俺でさえ告ってた可能性もあるくらいだ。というか告るだろうな。
できれば近づいてきた男を全員張っ倒したいところだが、クラスメイトなのでそこまではできない。(知らない人が近づいてきたら全力で倒すけどね)
しかし、ここも異世界だ。
俺としては、街ですれ違う人には俺以上の人もいる。ここは全体的に偏差値が高いため、男にもある程度馴れというものが生まれ案外大丈夫かもしれない。
そして、今俺にはしっかりと男が残っている。果たしてこれはいいのか悪いのか……。
◇
教室にはいると、既に何人かは居たが間に合ったようだ。教卓のある黒板があり、その前に机が1列、2列と並んでいた。小学校のように、隣の人とペアで机を2つ繋げる形ではなく、中学、高校のように一つ一つが独立してあるタイプだ。
入学初日と言うこともあり、教室は結構静かで黒板には『自由に座れ』と書いてあったので、俺たちは一番後ろの列の四人が隣で座れるところに座る。
次第に、人も揃ってきており、暫くするとローブを着た、ヤンキーからも金を巻き上げそうな厳つい先生が来た。魔法なんかなくても、大抵の魔物は倒せそうなくらいだ。
「俺の名前は、ルーザス・レーリットだ。早速だがこれから、好きにチームを組んで模擬戦をしてもらう」
いきなりのことで、クラスがざわつく。
「クラスメイトの力量も分かり、俺としても入学者の中でも上位層の君たちが如何程か分かる。さらに、初対面の人同士で組むことになる人も少なからずいるはずだ。そして、協力して絆も深められ新しい友もできる。では、練習場があるから付いてこい」
確かにそれは面白そうだ。それに主席の子の実力も気になる。
「私たちは、このメンバーだよね?」
「ボクもそれで異論はない」
「私もです」
「ボクもだぞ」
「じゃあ、これで決まりね♪ 楽しみ~」
この世界の魔法にどんなものがあるかとか、スキルも交えて来る者も居るだろうし、なかなかに楽しみだ。
そんなことを考えるほど俺を高揚感が満たしていくのだった。
◇
「ここが練習場だ。決まったグループは1列ずつここに並んでいけ。この空間では、仕組みは言えないが幾ら強いものも使って攻撃しても死なないようになっているから、心配は要らぬ」
この仕組みは、生命活動が停止と判断された場合対象の人物そのものをなかったことにする時間系の魔法だな。だとすれば、この世界の魔法はなかなかに進んでいる。
俺たちはグループが決まっているので、先生に言われたところに並ぶ。
みんな、割とすぐ決まり並んだ。
「全員揃ったようだ。では、まずはA対Gで戦え。勝利条件は敵の全員が生命活動を停止したと判断されたらそのグループの勝利。さっきも言ったが殺す心配は要らない。そして、その状態になった生徒は観客席に自動的に移動させられるから、それ以上の戦闘をする必要はなくなる」
死ぬ死なないとかじゃなくて、人に攻撃するとか少し……いや、大分抵抗があるんですが。俺は敵の攻撃を防御専門になろうかな。
「生徒は観客席に移動してくれ」
先生がそういいながら壁にあったボタンを押すと、殺風景で土の地面と少し土が付いている壁だけの空間だったのが、観客席が1000席分くらい円上に何段にもなり並んでいる空間に一変する。戦う場所も正方形から円上にかわり、広さも半径100程で滅茶苦茶広い。
更に観客席に被害が出ないように俺でも破るのが難しい魔法障壁が球状に張られている。
「そこに入り口があるから、好きなところに座ってくれ。試合をする生徒はここに残り、それぞれ端の方により準備完了になったらサインをくれ。双方からそのサインを受け取ったら、ブザーで試合開始の合図をするから、その音が終わったら魔法を放つなり、移動するなり好きにしていい。では、先ずは移動」
好きなところに座っていいといっていたが、わざわざ遠くに行く必要もないので入り口付近に固まって座っている。
俺たちも同じように入り口付近の何となく前から2列目に座った。
「どんな試合かな?私たちはBだから、次戦闘するんじゃないの?」
「そうかもな。取り敢えず様子を見てみようか」
どのくらいのレベルか気になるし、少し見ておこう。俺が確実にここにいる生徒より実力があるかを知りたいのだ。自分の力を過信するのは非常に良くないからね。
「そうですね」
「ボクたちは優勝するぞ~!」
「優勝できるといいな」
「いいな、じゃなくて優勝をするんだぞ」
「そうだな、頑張って優勝しようか」
やる気マックスだな。俺も手加減し過ぎで負けないように……いや、敵の力量に見合っただけの力を発揮できるように頑張ろう。
「双方準備が整ったようだ。これより、第1回戦の試合を始める」
ブザーが鳴った。
さて、これが終わったらどう出るだろうか。
Aグループの一人が氷の槍のような魔法を連続射撃している。200メートル近くも飛んでいる。もろに浴びたら死ぬだろう。流石だ。というか普通にみんなほとんど躊躇せずに魔法打ち込んでて怖い。本当に同級生と認識した上なのか尋ねたくなってくる。
一方Gグループは魔法障壁を張りながら、Aグループとの距離を縮めている。4人全員で魔法障壁を張っているため簡単には破れないだろう。
もう、これはAグループの勝ちだと思う。やはり、1度防戦を強いられると形勢逆転は難しい。
結果はAグループが魔法障壁を破り勝ち進んだ。
「次は、B対Fだ。前のやつ同様に準備ができたら、試合を開始する」
俺たちの番の様だ。
「やっと、私たちの力をみせるときが来たようね」
「やっととはいうものの全然待ってなかったが」
「いいのいいの、細かいこと気にしない」
今くらいのレベルのやつらだと余程の失敗をしなければ優勝できるな。
「ここら辺でいいですよね」
「うん」
「じゃあ、合図を送るぞ」
俺たちは準備完了の合図を出した。
向こうのグループも準備ができたようでブザーの音が闘技場(練習場)に鳴り響き音が少しすると止んだ。
「ボクが今、牽制するために魔法を放つけどいいな。その間に奴等を倒してくれ」
俺は、転移魔法で一気にFグループの10メートルくらいまで近づきFグループの頭上に直径5メートルくらいの氷の球体を作り落とした。落ちる勢いを殺しきれず、かなりのダメージを負ったようだ。
「今の内に殺ってくれ」
弱ってるところに俺たちが疾風の如く駆け、止めを刺したことで、光の粒子となり勝負は一瞬にして決した。
俺たちの勝利だ。って俺普通に魔法放っちまったな。
◇
さっき居た観客席まで戻り、続きを見る。
「敵グループは手も足も出ないで一瞬で殺られたね」
「セシリアさんの牽制のお陰で素早く決着をつけることができました」
守りだけとかいいながら普通に攻撃したしもうこのスタイルでいいかな。
今日は予選のみで、明日は準決勝と決勝をする。
明日もこの調子で勝とう!
そう俺は心の中で再確認をした。




