17. 狩りをしようか
前回のあらすじ
新しいお友達と会いました。
ジリリリ、ジリリリ、ジリリリ
この音に起こされるのは懐かしいな。
新作ゲームのおまけ付きを早朝から気合い入れて行ったとき以来だな。
地球に住んでいる諸君は1度は使ったことはあるだろう文明の利器≪目覚まし時計≫だ。
学校に通うとき、仕事に向かうときに目覚ましを使っていて無意識に目覚ましを止めるという能力を身に付けた人も少なくはないと思う。
なぜこんなものがあったのか? それは、昨日部屋の中に忘れ物等がないか見ていたときにベットの横のサイドテーブルで『あれ、この時計に目覚まし機能付いてるじゃん!』という経緯で見つかったからだ。
今日ギルドでお金を受け取ったら、醤油と地図と共に絶対に買っておきたいリストに付け加えておく。
「う~ん、これで起きるのいいね」
上半身を起こし、手を上に伸ばしながらカリスは時間通りに起きる。
俺も、普段は記憶にはなかったが目覚まし時計がベットの横にある寝ながらでも手が届く机の引き出しの中に、収納されてしまっていた。スマホでも手の感覚だけで、上下が分かりアラームを止めてしまっていた。
他のものにも、活かせればよかった。
それにしても8時待ち合わせとかよく考えたらあいつら、早すぎないか?
因みに5:30分に起きた。
外はまだ、日が昇ってきたばかりで薄暗い。
「ご飯はギルドに行く途中にでも食べるか、荷物はここにおいて行かないように気を付けろよ。お金が確保できればまたここに泊まろうと思うがな」
「私もそれがいいと思うよ。ご飯も美味しかったし、特に泊まりたくない理由とか思い浮かばないし」
「そうだな。着替えとか済まして出るぞ」
準備が整った俺達は、宿をチェックアウトしてギルドへと向かう。
◇
「ねえ、こんな時間に開店しているお店なんてないよ」
「全部閉まっているな。ギルドの近くにたくさん、冒険者向けの店があったからそこに懸けよう」
幾ら店がないとはいえ、店を探すために紳士の俺が約束に遅刻するなど許してはいけないので、最悪俺が持っている食事で済ませることになる。
遂にギルドの前まで来てしまった。
しかし、まだ時間は40分ある。
「やっぱ、ここら辺の店しか空いてないのかな。少し見てみるか」
「まだ、可能性はあるし料理店を探そう」
ギルドの表の通りにある、店は……。あそこの店開いている!
「あの店、営業しているみたいだぞ!」
俺は営業している店を指差しながらカリスにも、伝える。
「本当ね、行こう」
店へと向かう。
店に入っていく人もいるようだ。従業員では無さそうだ。
俺達は店のなかに入る。
「いらっしゃい! お、見ない顔だなー、新入りか?」
「うん」
「初めてだ」
「若いな、魔法学院の入学生辺りかな?」
「まだ、決まったわけではないが入る予定ではある」
「そうか、頑張ってくれ!」
店の中を見るに、雰囲気も悪くない。これからもこの店を利用させてもらおう。
注文して出てきた料理もなかなかに美味しい。
ほとんど、スカスカの財布からお金を取りだし店をあとにする。
「はい、カリスの剣だ」
「ありがとう。なんか、ワクワクしてきたね」
背中に大剣を背負い、カリスは腰に身長の半分くらいある鞘を用意してギルドへ入っていく。
「今、7:50みたい」
「もうすぐ来るかな?」
ロビーにあった椅子に腰掛け5分程待った。
「早いな、もう着いていたのか? 驚いたぞ」
「おはようございます、待たせてしまって申し訳ないです」
「さっき着いたばかりだから、こんなの待ったうちに入らないから気にするな。早速どこで狩るか決めようか」
「そうね、私もそれがいいと思う」
ギルドにあった魔物の分布図を参考にどこに行くか決める。
初心者から上級者まで行くくらいまで、幅広いレベルがある地図だ。
いろいろ検討した結果、カルゼシアの森に行くことになった。
そこには狼の魔物と、スライムがいるらしい。
スライムはあれだよね。最初の方に出てくる、雑魚いあいつで狼は少し厄介そうだな。
50分くらい歩くと森の入り口に着く。面倒だし、次からテレポート使おうかな。
「ここが例のカルゼシアの森みたいです」
ティアナが地図を見ながら言う。ここまでの道は冒険者がよく来るためか、舗装されていて歩きやすかった。
今日は、夕方まで狩りをすることになった。因みに昼ごはんは俺の最後のストックからとなった。
ストックを今日買おう。
森に入る前に敵感知魔法を使う。
「あっちにスライムが魔物がいるから気を付けろよ」
「え? スライムがたくさんって何匹ですか?」
ティアナが驚くように訊いてくる。高がスライムなんじゃないのか?
「50匹くらいいるんじゃないか? 別にスライムだし腕試し程度には、これくらいいればなるんじゃないか」
「セシリア、だったよな。本気で言ってるのか? スライムって切っても完全に過半数の細胞を死滅させないと死なない厄介な魔物だぞ」
何かヤバそう。剣だけでとか無理じゃん。
俺の得意な魔法を使えばいい話だけどな。
「魔法を使えばいけると思うが」
すると、さっきよりも驚いた様子で二人同時に訊いてくる。
「全部ですか?」
「50匹もだぞ?」
「じゃあ、見ててくれ。でもボクが全て本当に倒していいのか」
「いいです」
「できるんならいいぞ」
「カリスも大丈夫なのか?」
「まだ様子見も兼ねて、正直余りやりたくなかったからいいよ」
「そうか、なら遠慮なく殺らせてもらう」
こんなことを話しているうちにスライムの群れが草むらの中を流れるように動き回っている。
そこに、俺はスライムを全部を倒すために殺戮魔法を使う。炎で焼ききる方が早そうなので、炎の渦
を使う。
瞬く間にスライムの群れがいた場所は炎の海となり、抵抗も許されることなく滅せられていく。細胞は灰となって最早生物として機能しなくなっているので再び動く心配はない。
そして、魔物から黒い煙となり消えていく。
俺の目の前には懐かしいものが写し出される。
《名前》 セシリア・ジェネレーティ
《レベル》 1→5
《取得済みスキル》なし
《獲得経験値》 312
《累計経験値》 0→312
《次のレベル》 63
《スキルポイント》60
[次のページ]
おいおい、ステータスですか? 散々俺がステータス開こうとしていたのに今開くんですか。
「なんか、ステータスウィンドウが出てきたんですが」
「セシリア、知らなかったのか?」
「魔物を倒すと出てくるものです。5レベルになると自分で開けるようになります。そして、≪次のページ≫というのを押せばスキルも取得できるようになりますよ。」
成る程そういうことでしたか。閉じたい、とイメージすると閉じた。開けとイメージすると開く。
宿に着いたらスキルの取得とやらをしてみますか。
「ボクはもう十分やったから魔物はなるべくそっちでやってくれ」
俺だけ独り占めとかよくないから疲れたというていで、過ごそう。
「おう、任せとけ」
カリスも前に俺が教えた魔法で頑張って倒している。
狼の魔物には、少しだが知性があって群れで行動している。
そして、俺たちを魔物は獲物だと見た目で判断してしまったようで倒されると驚きが混じった———
「Gaaaaaaaaa………?!」
———とか、喧しい断末魔を上げている。まあ、死体が残らないシステムは嬉しい。これは、魔素で身体が構築されている魔物は自分の魔力が制御ができなくなって霧になってしまうらしい。
◇
意外に3人の息はあっており、一方的に魔物を倒していて俺の出る幕はなかった。
スライムにはその後は会わないまま、昼となった。
俺は最後の4人分(4食分)のご飯を取り出す。
「え、今どこから出した?」
「私もできれば教えてほしいです」
そうか、彼女たちにはまだ教えてなかったな。俺が言おうと思っていると……
「気になるよね? 最初、私も驚いたんだけど魔法で食べ物を収納しておいたものを今みたいに出せるんだよ」
何故か、自分のことかのように誇らしげに言うカリス。可愛いものだ。………………。
「それでご飯を何故ずっと持っているんだ?」
おっと、意識がどこかに行きかけてましたね。危ない危ない。
「あ、何でもないから気にしなくても大丈夫だ」
そういってご飯を配る。
「あの、セシリアさんは最初のあれしか狩ってませんでしたが、レベルの方とか大丈夫ですか?」
ああ、それが。
「ん? ボクはレベルは1から5まで来たが」
「本当か?たった一発でそこまで行けるなんてスゲーぞ」
「セシリアちゃん、私頑張ってるのにレベル3だよ……」
「体力も戻ったでしょうから午後は一緒に狩りましょう」
「ところでみんなのレベルは幾つな―――あっ、そういうのは言えないものか……聞かなかったことで許してくれ」
ゲームの時代も個人情報としてあまり言い合うようなものでもなかったし、タブーだったかな。
「そんなことないぞ、冒険者の力量をお互いに把握するために用いられるものだし問題ないと思う」
「同じパーティーですから、知っておいた方がいいですよね。私はレベル9です」
「私はさっき聞いたかもしれないけどレベル3」
「ボクはレベル12。でもセシリアみたいなあんなツエー魔法は使えないぞ」
まだ、魔法学院に通う前だしこのレベルの魔法は本とかの記述にあったとしてもできるものではないからしょうがないだろう。こちらはもともと使えるのだから。
ご飯も食べ終わり少し腹を休めてから再び魔物がいるところへ、装備を整えると向かっていく。




