15.入学試験
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主人公の試験の時に詠唱を加えました。
前回のあらすじ
ここでまた新たな生活をすることにする。
俺は外から差し込む光で目を覚ます。
この部屋はカーテンレースにして寝ると、日が差し込み、自然と目が覚める感じがなんとも言えない、清々しいことか。
ふと、試験が始まるまでどのくらいの余裕があるのか見る。
こんなにも時間が………ない。待て、朝日と共に俺は起きたのではなかったのか?
外を見るが日はもうとっくに昇ってる。
こんな直射日光(?)があたりまくった状況でねすぎだっつーの。
「早く起きろ! 試験まで後30分しかないぞ!!」
「え!? もう、そんな時間なの?!」
「はい、服だ」
服を渡すと俺も急ぎで着替えの魔法を発動して、髪を直すために時間を多めに回す。服は魔法に任せてもいいがまさか女になるとは思っていなかった俺は髪を直す魔法なんて開発していないし、下手にやると魔法を解除したら元に戻ってしまう、魔法を解除しても髪は整ったままだが風が吹いても雨に当たろうが全く形が崩れない不自然な髪になってしまう。
というわけで普通にそのまま直しているのだ。
髪が直った俺は地図を片手に宿の上空に行き魔法学院を見つける。
学生くらいの人たちがたくさん並ぶ列もあるし、まわりを見てもそれらしきところはここしかないな。
試験官の人が何かをしている。受験生を誘導しているのか。
魔力の乱れもここ一帯ではなさそうだし、魔法を阻害するようなものもない。これで転移すれば確実に間に合うし楽して行けるな。
あ、今俺、盛大にフラグ立てちまったよな。回収したら困るんですが。
兎に角、カリスをつれて記憶転移でさっき覚えたところに行く。
「戻ったぞ、準備はいいか?」
「うん、さっきどこに行ってたの?」
「魔法で行けるように試験会場を探してた。そこにいればもう着くぞ」
魔法を発動させる。
さあ、フラグよ。
どうなった………。
目の前には、はっきりと魔法学院の入学試験会場と書かれていた。
よし、フラグなんて折ったぞ、バキバキにしたからな!
「あと15分くらいあるから、ご飯食べるか」
「よかったーご飯食べれる」
「でも時間はそんなにないから、パンだけね」
パンだけ取りだし渡してから、俺も食べる。立ちながら食事をするのは行儀が悪いが、この際それは仕方ない。
食べ終わる頃には、列は動きだし会場へ入っていく。
前世の入試とは違い実技だけのようで屋外だ。
一応カリスに剣を返す。
「これ、カリスの剣。使うかもしれないから先に渡しておく」
「あ、持っておいた方がいいかも。ありがとう、セシリアちゃん」
そして、足を止めると試験を受ける人たちが会場に全員入る。
5000人くらい、いるだろう。
「これから、魔法学院の入学生を選定するための試験を執り行う。自分が持つ全力を出し試験に望んで欲しい。私からは以上である」
学院長による挨拶が終わる。
地球にいた頃とは違い話が短いとは、嬉しいことだ。それに見た目は若いスタイルのいいお姉さんだっ――。いや、何を考えてる。今はそんなことを考えてる場合では無い。
「詳しい説明を今から話すからよく自分の耳できけ。先ず、諸君らにしてもらいたい―――――」
地球で過ごしていたときの偉い人のお話並みに長い説明が終わる。
要約すると、これから8つのグループに別れて試験をする。
試験内容は、自分の最強の魔法、魔法の精度、そして魔力量だ。
最後のだけは、専用の機械で測るようだ。
カリスとはグループが別れてしまった。
帰りは会場の入り口で、と約束をしておいた。
この世界の実力がわからない限りカリスが受かるかはなんとも言えない。
俺のグループでの試験が始まる。
「ここでは兎に角自分の最強の魔法を使えよ。では先ず、一人目の人は来てくれ」
名前を言ってから魔法をぶっ放せばいいということだな。
俺の番は5番目で結構早い。
しかし、俺の前の奴等はふざけているとしか思えない程雑魚い魔法しか使わない。
俺は手加減して、不合格になるというのも困るので本気を出させてもらう。
「五番目の人は来てくれ」
「セシリア・ジェネレーティです。魔法は組み合わせて使ってもいいんですか?」
2つ以上は使用禁止とか後で言われても嫌なので確認をとる。
「出来るなら、構わない。全力だからな」
目の前の魔法で補強された岩を狙うようだが近すぎる。
結界を張りながらするとしよう。それとほんとはこんなもの必要ないんだが詠唱でもしてみるか。
「――万物を崩壊しうる魔法に相応の環境、ここに体現せよ」
最初に透明之断界で、魔法を撃ち込むところと、今いるところに被害を出さないため収納魔法の応用で透明の違うところに繋げる入り口を球状に広げる。演出は大切だから人間が感じられる音域は聞こえるようにする。衝撃波のようなやつは通さないように調整するけどね。
これで攻撃の威力は違うところに飛ばされるので被害の心配は要らない。
「灰燼に帰すことすら叶わぬのは全てが虚無へ転遷する故」
さらに俺は、植物等を含む生き物全てを条件付属転移でその空間から出す。
俺に、大量虐殺とかそんなイメージが付くのも嫌だし環境破壊は良くない。
「その力をこの虚妄の世界に残すがいい」
次に、その結界の中心の一点だけに集中して質量之最終地点でその空間にある全てのものを一点に纏める。
「対価として我が魔力を幾らでもくれてやろう」
空には雲より高くまで大きいもので1000メートル超え。小さいものも50メートルを超えた幾多の魔方陣が形成されていく。薄い空色でさっきまで、空と同化していた魔方陣には、黒っぽいものが集まっていき魔方陣もそれに伴って黒く鈍く光を放ち始める。辺り一面はこの魔方陣によって曇りの日のように暗くなる。
これにより、受験生に動揺が走る。――――一体これから何が始まるのかと――――。
一方、結界内では金属が潰されるような鈍い音と共に激しくあらゆるモノが崩壊し、一点に固まってゆく。最初は中心に20メートルくらいに圧縮された塊が見えていたが、それは刹那のうちに見えない程小さくなる。
「さあ、今こそその魔法を見せるときだ。ナチュラルディザスター!」
次第に、遠心力もないので自信の重力により一瞬で耐えれなくなり、擬似的な超新星爆発を起こす。
会場全体を誰もが手を止めるような爆発音が駆け抜ける。
調整少し間違えたらしい。というかそんなのゲームのときは結界なんかわざわざ張らないし、それでもこんな大きな音もしなかったんだから仕方ないって。
結界内の温度はこの世の何もかもをプラズマとなるような温度になっているのでまだ、結界は解除できない。
しかし、次の人もいるので結界をそのままに放置しておくわけにもいかないので、原子活動低速化で熱量を根本的になくす。
これで結界を解除しても問題ない。
「終わりました」
そう言い俺は試験官に言うが、呆然と立ち尽くしているだけだ。
「どう……しました?」
あ、岩を壊して試験が続行できないということか。
確かに次の人を考えたら、そこまで元に戻さないとな。
俺によってできた直径500メートル程のクレーターに時間逆行でその場所にあったもの、そこに居た生き物などが10分前、つまり俺の魔法が使われる前の状態に戻る。
これで完全に元通りだ。
ヤバイ、魔法使いすぎで倒れそうだ。
これ以上大きな魔法を使ってると意識が飛んでしまう。
「試験を再開できるようにしました。ではボクは次の試験の準備へ向かうとしますね」
「ま、待ってくれ! 最初から、順を追って今の現象説明をしてくれないか? スキルの効果ならあのくらいの威力を起こせなくも無いが、あんなスキルは見たことが無い。となると単純な魔法効果……? それともあの呪文みたいなセリフになんならかの効力が? 取り敢えず、説明をお願いしたい」
今のは、見ただけではなんの魔法かわからず評価が付けずらいと。
なるほど。というかスキルもこの世界にあるのか。楽しくなりそうだ。
あと詠唱は前の人を見ていてても分かったがどうやら無いらしい。それでも中途半端にやると恥ずかしくなるけどここまで来ると清々しいね。
「一番最初に別の空間に繋げる本来は収納魔法として使う仕組みを応用し、透明な入り口を作り魔法による威力に耐える結界ではなく、威力を流す結界を作った」
「そんな使い方があったとは?!」
「そして、その結界内の物質を一点に集め、一瞬だが、恒星の中心核の数十倍もの密度にして人工の超新星爆発を起こした」
「チョーシンセー爆発とはなんなのだ?」
そうか、この世界ではそんな知識ないか。
恒星や惑星はもう知っている前提で話そう。
「この惑星があるだろ、ここを照らしている恒星がある。ここのは超新星爆発までは起こさずに赤色巨星となり最期を迎えるが、その恒星の10倍以上の天体は超新星爆発という最期を迎える」
「よくわからんが宇宙規模の爆発が起きたというわけだな。しかもあれだけの魔方陣は俺も初めてだから、兎に角凄いものだったということは覚えておこう」
現象自体はそうかもしれないが、さっきのは惑星をぶっ壊すほどの威力はない。直径3キロメートル程度を破壊するくらいもあるが、魔力の消費が激しすぎる。実はこの辺り一帯の空気中の魔力を使い果たしてしまった。
この世界では植物が酸素のように魔力を作ってくれてるので、数ヵ月すれば戻る。
それまでの間、人は空気中の魔力を元に自然に回復するのだから今ここにいる人の回復手段を奪ってしまった。申し訳ない。
風などで魔素が飛んでくることもあるので、魔素の濃度が薄い程度で済むだろう(いや、そうあってくれ)
「現象はそうですが、これにそこまでの威力はないですね。それとあの魔法を使った時のセリフとかは何の意味も無いのですが気分で言ってみました」
「あれは意味が無いのにやっていたのか!?君は面白いやつだ。話しは変わるがご丁寧に壊したところをもとに戻すとは流石だな。そういったことは君がわざわざやる必要が無かったことだ。早く言ってやれなくてすまなかった」
「いえいえ、ボクが勝手に直してしまったことなので謝らないで下さい」
「そうか。君は次の試験の準備をしてきなさい」
「わかりました」
後ろの受験生は何が起きたかよくわかってないような様子だったが放っておこう。
科学が中世レベルの世界では意味がわからないだろう。
次は試験官に器用な魔法の操作を見せるというものだ。
後ろにいた人達の第一試験が終わり、今は第二試験が始まろうとしている。
「ここでは、私に魔法の精度を見せてください。岩を綺麗に切ったり、青色の炎を出したりすればいいです。さあ、一番目の人はこちらに」
魔法の精度か。
何をしようか悩むな。
そんなことを考えていると
「五番目の人はこちらに」
「セシリア・ジェネレーティです」
俺は試験官にそっくりな像を魔法で一瞬で作り上げる。もちろん詠唱はしなかった。もうこれ以上ネタが思いつかないし面倒だからね。
実寸大でシルエットだけなら、ほぼ変わりない。
よくできたものだ。
「え、これって………私ですね。凄い、でも色がないとなんか怖いな」
試験官は俺の作った像を複雑な気持ちで見ているようだった。
俺だって、突然自分の像を出されても困るし、こうなるのはしょうがない。
これ以外魔法の精度とか思い付かない。
「色をつけるのは難しすぎてできなかったです」
「あ、責めたわけではないから大丈夫ですよ」
ずっとこの像を残されても困ると思い、土に戻してから最終試験のところに行く。
最後は、来た人からどんどん試験を受けれる様子だ。
この試験では魔力を数値化してくれるようだ。
今ある魔力量ではなく、魔力の収まる器の大きさを測るらしい。どこにそんなのがあるのか知らないが。
俺は先程の魔法もそうだが大抵は周りから吸収して使うので自身にそこまであるとは思えない。
「次の人、どうぞ」
俺の番が来たようだ。
「セシリア・ジェネレーティです、機械に両手をおけばいいんですか?」
「はい」
体のなかを魔力が流れているような感覚だ。
「終わりですよ。一週間後、ここの会場にて試験の合否についてと詳しい結果を合格者の方には配布するのでまた一週間後お願いしますね」
どうやら、試験は終わったらしい。
会場の入り口のところに向かう。
着いたが、まだカリスは居ないようだった。
俺は前から5番目だったし、まだ来るまでは時間が掛かるか。
気長に待っているとカリスはやって来た。
とても満足そうな笑顔でこっちにスキップしてきた。
こっちにもスキップがあることにも驚いたが、上手く試験は出来たようだ。
「嬉しそうだな。試験、上手く出来たんだな?」
すると、当然ですが的な感じで
「セシリアちゃんから、教えてもらった魔法を使ったから大丈夫」
なんだよ、そんなことで?
俺が教えたの手頃なやつだよ?
……。でも前に居た奴等よりは少し高位の魔法か。
「受かるかは一週間後にならないとわからないからな。そろそろ昼だしご飯を食べに行くか。あの紙の地図まだあるか?」
「地図ならここにあるよ。この近くに料理屋は………ここの店が近いよ!」
この地図、実に便利だ。
お腹も空いたことだし、店へ早く行くとしようか。
俺達は、地図を頼りに店へ足早に向かって行くのであった。




