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第8話

 まず、ここから音をたてずに相手から見て右へ移動。……そして、相手が通り過ぎたのを確認し、相手の右後ろに移動。相手がこちらに気付いていないのを確認して……奇襲だ!

 体の様々な部位に力を入れて出来るだけ早く進む。相手との距離が5m、3mとどんどん近づく。

 スキル隠密のおかげか相手はまだ、この距離でも気付いていない。


 続いて2m、1mと更に近づく。

 あと少しだ!

 と思った。それと同時にさすがに相手もこちらに気付き、こちらを向いてきた。


 ヤバイ! スキルが来るか!?


 スキルで反撃されるかもしれないという恐怖を押し殺して敵へ向かう。

 残り50cm。凄い勢いで噛み付こうとする俺に対し、ここで相手が大きく首を後ろへ回した。……避けられる。


 くそ! 届け!

 体の力を全力で出しきって相手の首を目掛けて噛みつく!


 ギリギリの所で牙が相手の首に届き突き刺さる。

 よし! この一瞬を見逃さず大量に体に毒を流し込む。


 どうだ! いくら耐性が有るといっても、首に毒を流されれば一溜まりもないだろ……!


 数秒の硬直状態が続いた後、俺の体に衝撃がはしった。やったのか……。

 アクアスネークの首から噛み付くのをやめ、敵の体を見て本当に死んでいるのか確かめる。……敵の姿を見て倒したのを確認し、疲れを一気に吐き出す。

 はぁ……疲れた。それにしても、よく勝てたな。いくら毒が強いからってなぁ。それとあのスキルを撃たれなかったのが大きいよなぁ。近くて撃てなかったのか、撃つ時間が無かったのか、どちらにせよ本当によかった。

 ああ、そうだ。ステータス確認しないと。最近は一体倒しただけでレベルアップなんて無かったからな。

 スキル『鑑定』自身。


「名称 スネーク LV17

 HP374 MP98 攻撃力263 防御130 素早さ245 魔力値46 回避108

 スキル

 熱感知 音感知 毒牙……聞き耳 高速水泳 危機察知

 称号 転生者」


 ……へーえ。今回は久しぶりにスキル習得したな。危機察知か……多分最初敵のスキルを避けた時ので習得したのかな。だいたいスキルの効果の予想は付くけど一応解説見ておくか。

 ウィンドウに表示されている危機察知を注目するともう一枚ウィンドウが表示された。


「スキル名 危機察知

 解説

 スキル使用時中に、命、または身の危険を感じた際にどうするべきかが瞬時にわかる」


 ふーん。やっぱり直感みたいな能力か。ってことはこれで、アクアスネークのスキルも避けられるようになったかな。まあ、無くてもさっきは避けたけど。……さて、スキルも確認したことだし森の探索の続きをしますか。


 ーーアクアスネークとの戦闘から約六時間後


 はあ~。アクアスネークに会う前もそうだったけど、なかなか魔獣に会わないんだよな。こっちの世界に来た時は、結構魔獣に出会ったんだけどな。もう探索はやめて、やっぱりレベル上げはワイルドフィッシュでやった方が良いのかな……。嫌でも、あればっかりやってるとゲームをしてる感覚になって現実感が薄れていくからダメなんだよな。これはゲームじゃ無くて現実で、死んだらそこで終わり。復活も出来ない。ゲーム感覚で生活してたらすぐに痛い目を見ることになる。だから、やっぱりまだ探索は続けよう。とりあえず、明日までは森で探索。明後日からは湖を探索することにしよう。


 探索を始めて約十時間が過ぎ、辺りはもう暗くなっていた。空には二つの月とキラキラと光る星が見える。また、それらの灯以外灯などない森はシーンと静まり返っていた。

 もう暗くなって来たな。方針を再確認したし、暗くなって来たから今日は帰るとするか。


 ーー数分後


 ああ~、疲れた。今日はちょっと死にかけたし、十時間も森の中を探索したからなぁ。ああー。もう寝よう。デカイ石で入り口を塞いで……。おやすみー。


 ーーその頃アストルの森周辺の街道では


 夜の街道に馬の蹄の音、足音、鉄の擦れる音が鳴り響く。


「よーし。お前ら! 今日はこの辺りでキャンプを張れ。明日は、朝からアストルの森に西側から入って中心部を目指す。突入時刻の明日の朝まで、充分に武器の手入れと睡眠を取っておけ。以上解散!」



 メラメラと燃えている薪の前で、剣を磨いている黄髪のモヒカン頭の青年と、身なりの整った水色の髪の青年がいた。


「よう。いよいよ明日だな」


「そうだなー」


「なあ。俺達明日の遠征で功績を上げれば、昇進できるかな」


 っと、水色の髪の青年は浮き足立った態度で言った。


「なに初陣だからって、ウカウカしてんだよ! これだからお坊ちゃんは」


 そう言って、黄髪の青年は不機嫌そうに剣を鞘にしまった。


「なあ……お前最近、なんか機嫌悪くないか?」


「当たり前だろ。大陸の中でも危険な事で有名な森に行くってのに目的は伝えられず、人数は王国軍の一個中隊と寄せ集めの冒険者、傭兵あわせて約二百。一見多いようにも見えるが、大体2/3は寄せ集めで連携が取りずらい。その上、森は道が無いから余計に連携が取れなくなる。ーーこんな状況じゃあ、あの森のバケモノみたいな魔獣にすぐに壊滅させられる。だから、この遠征はほぼ間違いなく失敗する。だから嫌なんだ。失敗するって分かってて、どこに行きたがる奴がいる」


「お前、それは言い過ぎじゃ……」


「そうか? これでも言い足り無いくらいだ」


「……」


「まあ、死なないように頑張ろうぜ。俺はもう寝るから。それじゃあ、またな」


 そう言って、黄髪の男は近くのテントに入って行った。


 ーー次の日の朝


「よし。お前らも全員充分休んだと思う。それではこらからアストルの森へ突入する。森での細かい指示は、こちらが出す。目指すのは、アストルの森の中心部にある古代樹だ。それでは進め!」

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