第6話
数分かけて、拠点に近い湖の水辺へ戻った。先程の水辺より少しここは深く、あの魚が泳げるくらいの深さがある。目を凝らしてみると、チラホラと泳ぐあの魚の姿が見えた。
さてと。狩るならまずは、陸に近い奴を見つけないとな……。陸に近い水面に目を凝らして見回すと、右斜め方向に泳いでいるのが見えた。
おーいたいた。自分からだいたい7mくらい……少し遠いか。まあ、大丈夫か。他の奴に見つからなければ。よし。それじゃあ早速泳いでーーっとそうだ。水に入る前にここから一応あいつのレベル確認してから行くか。
スキル『鑑定』。
「名称 ワイルドフィッシュ 危険度 D LV10」
前見たのよりレベル低いけど、今の俺よりレベルが少し高いな。……まあでも、どうせ毒流せばイチコロか。それじゃ練習どうり体をくねくね動かして水面を進んで近く。
あの魚まで約2m。流石にそろそろ気付かれると思ったが、幸いにも魚は気付いていないようだ。よし、それじゃそろそろ仕掛けるか。
水中に潜って、あの魚の後ろから……噛み付く!
んっ! 避けられて逃げられた!
噛みつこうとした瞬間、殺気でも察知したのか、魚がもの凄いスピードで逃げていった。
いや、いる。でも速っ! たった1秒くらいで気付くともう魚が5mくらい離れている。あまりの速さに驚いていると、今度は凄い勢いであの魚が突進して来た。
あっ、やば!
とっさの判断で水面に行き突進を避け、顔を出して一呼吸し、再び水中へ潜る。
ふぅー。危なかったぁ。何だあの突進速すぎだろ。猪といい勝負くらいで速かったぞ。スキルか何かか? まあ、それはいいとして、どうやって倒すかな……。後ろから攻撃しても、察知して一気に離れるから奇襲は不可能。んー。でも多分、噛み付いて毒流せば倒せると思うんだよなぁ。……あっ! そうだ。突進を避けて後ろに回って、そのままカウンター的な感じでやればいけるか? ……他に思い付かないし、これでいくしかないか。
突進した方向を見ると先程の突進であの魚は10mくらい離れているが、また突進をして来そうに見えた。
また、来そうだな。
よし、次の突進で決着をつけるか。他の魚が集まって来る前に片付けたいしな。
……数秒待つと、再び突進をして来た。
やっぱり速い。
ふぅー。覚悟を決め、こちらも相手の突進に対して正面から突っ込む!
相手の突進を相手の右側にすれ違うようにギリギリで避け、最後に首を回して魚の後ろから噛み付いて毒を流す!
噛みついたまま数メートル進むと相手の動きが止まって浮いて行き、体にレベルアップの衝撃が走った。はぁー。はぁー。何とか勝てたな……。ふぅー。よし、とりあえず他の魚来たら困るし、こいつを咥えて上陸するか。
ーー数分後
ふぅー。ふぅー。あーやっと陸に着いた。こいつ重いから運ぶの疲れた……。よし。それじゃ、早速食べるとするか。いつも通り絞め付けてからーーいただきます! パクっ。んーこれは……不味い。あと苦い。刺身的な感じで美味しいだろうって期待して損した。はぁー。まあいいか。……そう言えば、この魚魔獣はレベルが10以上のが多いからレベル上げには持って来い何だよな……。あっ、そうだ。またレベル上がってたな。
スキル『鑑定』自身。
「名称 スネーク LV10
HP270 MP70
攻撃力216 防御95 素早さ168 魔力値35 回避92
スキル
熱感知 音感知 毒牙……聞き耳 高速水泳
称号 転生者」
10LVってことは、今回と猪ので3LV上がったのか。えーっと、ほかには……おっ! また、一つスキル増えてる。高速水泳か。
「スキル名 高速水泳
解説
スキルを仕様時、その名の通り水の中を高速で泳ぐことができる。スキル習得条件は、称号 水の住人 を獲得すること。魔獣では、主にワイルドフィッシュなどが持っているスキル」
俺は、水の住人なんて称号持ってない……。ってことは、今回のは倒して習得するタイプのレアパターンで習得したのか。これもスキル習得時間短縮の影響なのか、それともただ運が良いだけなのか……まあどっちでも良いけど。それにしても、このスキルは便利だな。要するに、さっきの魚みたいに素早く泳げるってことだ。単純に水の中の移動にも楽だし、ひょっとしたら逃げる奴に追い付けるかもしれない。たとえ、追い付けなくても普通に戦いやすく成るだろうし、また凄いスキルをゲットしたな……。
まあ、それはそうと、まだ昼頃で暗くなるには時間があるな。この後の時間をどうするか……? んー。暗くなるまで、魚でレベル上げをするか。進化の為にも、死なない為にも。