第28話
――話は戻って、場所は俺の拠点へと移る
冒険者二人組と出会いスキル疾走を使って無事逃げ切る事ができた俺は、その後拠点へと戻った。その後、拠点に帰った俺はというと……少し落ち込んでいた。
はぁ……。元とはいえ同じ種族だった人間に剣を向けられるのは、流石にちょっとショックだな。まあ、あの二人からしたら魔獣が近づいてきたんだから警戒するのは当たり前なんだろうけどね……。やっぱりこの姿の内は人に近づくのはやめたほうが良いか。そのためにも、さっさとドラゴンに進化して人に変身する力を手に入れなければ。あっ、そういえば、あの二人。喋ってる言葉は日本語じゃなかったけど、人に変身したとして言語の問題はどうなるんだ? スキル選択の時に『異世界言語理解』っていうスキルとってないから、ラノベの主人公達みたいにこっちの言葉は分からないだろうし……。っていうことは、ドラゴンになるほかにこっちの言語も覚えないとダメっぽい? ……はぁ。これは骨が折れそうだ。まあ、『異世界言語理解』っていうスキルがあるくらいだし、探せば同じ効果のスキルがあるかもしれないし。まだ、希望はあるか。
ふと、拠点の外を見るともう暗くなっていた。
もう夜か。まだDランクで危険そうな夜に活動する勇気は俺にはないし、戸締りをして寝るか。色々と考えるのはまた今度だ。明日からは、本格的にレベル上げを開始するし、十分に休息はとったほうが良いだろう。
ドア代わりのおっきな石で戸締りをする。――よし、それじゃあ寝るか。おやすみー。
――五日後の夜
俺は、あれからこの五日間毎日朝から夜までレベル上げを行った。
ふぅー。今日も疲れたいろんな意味で。レベル上げだけあってあんまり楽しくないし、なにより飽きる。それに、スキルを使ったりするから、地味に疲れがたまるし。ゲームのキャラクターはこんなことをやらされてたのか。レベル上げなんて、現実の体でやるもんじゃないな。まあ、と言っても、またどうせこれからもやるんだろうけどさ。
……レベルアップの衝撃があったから、数日ぶりにステータスを確認するか。
スキル『鑑定』自身――さて、レベル上げの成果はどんなもんかな。
「名称 アクアスネーク LV20 “進化可能”
HP389/411 MP320
攻撃力340 防御148 素早さ340 魔力値401 回避205
スキル
熱感知 音感知 毒牙……水弾式機関銃 疾走 逃げ足 人語理解(LV1)
称号 転生者 逃亡者」
おっ、おおおお!! レベル20。ってことは進化可能になったのか! 次はどんな進化先があるんだろう。めちゃくちゃワクワクする。モンスター育成ゲームのような高揚感だ。
おっと、浮かれてないでステータスとかも見ないとな……。地味にHPが減ってるが、これはしかたない。多少は攻撃を食らうからな。それにしてもすごいな。全体的に三百を超えているステータスが多い。HPと魔力値なんて四百超えだし。スネークの時はこんなにステータスが高くなかった。さすが亜種なだけあるな。
次にスキルは……。お、おおおお!! 人語理解ってのが増えてる。これって、名前からしてこの世界の人間の言語を話せるようになるってことだよな。数日前に考えて、時間をかけて解決しようと思ってた課題が早くも解決できそうだな。一応スキルの効果を見ておくか。
「スキル名 人語理解
解説
この世界に存在する人族の共通言語。最大3レベルまであり、スキルレベルが上がることにより、効果が増えていく。レベル1では、人語を聞きその言葉を理解することができる。ただし、こちらは言葉を話すことはできず、読み書きもする事はできない。レベル2では、レベル1の効果に加え、こちらが喋ることも可能になる。ただし、読み書きはできない。レベル3では、聞くことも話すことも読み書きをすることもできるようになる。
スキルの習得方法は、人語を一定量聞くこと。より、人語を聞くことでレベル2まで習得可能。レベル3にする為には、それ相応の努力が必要」
……なるほど。っていう事は、俺は人の言葉を理解できるが、こちらが喋ることはできないのか。もっと、人の言葉を聞けばレベルが上がるだろうし、これは放置でいいか。習得方法は人語を一定量聞くことらしいから、あれからこりずに人間に近づき続けたかいはあったな。他に増えてるスキルは……なし、称号も……増えてないな。
……さてと、それじゃあ待ちに待った進化を行っていきますか。前の進化から大して時間が経っていないけどな。
そういって、ウィンドウの進化可能表示に注目すると、新たにウィンドウが表示された。
「進化先 “ラージアクアスネーク” “ポイズンスネーク” “地を駆ける翼無き竜 亜種”」
ど、ドラゴニックリザードだと……。




