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第25話

 ーー少し時間が経ち、次の日の朝


 小鳥のさえずりが聞こえる。それは、まるで寝ている自分に対し「朝だ起きろ」と言いかけるように。事実、スマホや時計などないこの世界において、それが今の自分の目覚ましアラームのようなものだ。

 少しばかりあともう少し寝ていたいけど……そのまま切りが無くなりそうだから起きるか。


 ふぅー、よく寝た。軽く十二時間くらいは寝てたからな。前世の自分じゃあ絶対にありえないな……。

 ーーさてと、昨日の探索であらかた湖の探索は全部だから、今後の方針、つまりは俺のレベル上げについて考えよう。本当は昨日のうちにやっておいて今日からは始めたかったのだけど、昨日は、あの#世界食い鯰__化け物__#から逃げるので疲れてたし、しかたない。よし、まあでも、レベル上げで使う魔獣と場所を考える前に、昨日の魔獣について少し考えないとな。あんなのが居たんじゃレベル上げもできないかもしれないし。

 ーーまずあの世界食い鯰(化け物)は、称号に書いてあった通りこの湖の主だろう。ここ数日間でほぼ全てこの湖を探索していたが、あいつ以外にランクAを超える魔獣はいなかった事からもそれは確実だ。前にこの森について鑑定した時は、E~Bまでって書いてた気がしたんだけどな……。まあ、それはいいか。

 そして次に、これはあくまで俺の推測だが、あの化け物に会う前にあった大食い鯰てっいう魔獣。あいつはもしかしてあの化け物の取り巻きではないのだろうか。大食い鯰には昨日探索に行った湖中心付近でしか遭遇しなかったし、何より同じナマズ型の魔獣。取り巻きだったとするならば、他の場所で遭遇しなかったのも納得できる。

 ……そのことから考えると、あのナマズ型魔獣の二種には中心付近に行かなければ、基本的に遭遇することは無いか? もしそうなら、中心付近以外でやればレベル上げが可能か……。それじゃあ次に、レベル上げで狩る魔獣についてだが、これはランクCの水中蜥蜴が最適だろう。比較的に湖のどこでも生息していたし、自分より上のランクの魔獣の方がレベルが上がりやすそうだしな。それに、水中蜥蜴は湖の中で確認したランクC魔獣の中でも一番弱そうだった。慢心はいけないと思うが、ワイバーンまで狩れた俺なら大丈夫だろう。

 となると、中心部以外で水中蜥蜴がたくさんいる場所がレベル上げ場所になるか。んー……確か何日か前に探索した川が見える辺りが多かった気がするが、方角はどっちだったかな……。 うーむ、思い出せない。というか数日前に探索した方角もわからないなんて、十代にしてもうボケが始まってしまったか。……まあ、それは置いといて、今思ったがマップを使えば方角がわかるんじゃないか。スマホのマップでも方角わかってたし。ーーよし、取り敢えず使ってみるか。

 スキル『鑑定』マップ ウィンドウ化。


 唱えると俺の目の前にマップが表示された。えっとー、マップ全体を見て方角の表示を探す。--おっ、やっぱりあった。よく見るとマップの右上に、小学生の頃理科で習った方位磁針のような物が表示されていた。よし、それなら次は、マップの範囲を拡大して湖全体を見られるようにしてーーできた。

 マップに表示された湖は、俺の拠点からみて横ながの楕円形のような形をしていた。そして湖からは、南から大きな川、南西から小さい川が流れている。

 マップで見てもこの湖、結構でっかいな。それに、なんか左上に名前表示されてんな。んと……へー、この湖ラグアナ湖っていうのか。結構ここに住んでるけど初めて知った。ーーさてと、少し話がずれたけど目的はレベル上げの場所と方角の特定だよな。……確か、この小さい川の入り口付近だったか。水中蜥蜴がたくさんいたのは。


 よし。場所が決まって、方角もわかったことだし、今日準備して明日からはレベル上げだな。準備って言っても特にすることはないけど、まあ一応数日ぶりにステータスの確認でもしておくか。

 スキル『鑑定』自身。


「名称 アクアスネーク LV16

 HP356  MP252

 攻撃力299 防御124 素早さ280 魔力値338 回避150

 スキル

 熱感知 音感知 毒牙……水弾式機関銃(アクアマシンガン) 疾走 逃げ足

 称号 転生者 逃亡者」


 おおー。久しぶりに見たけど、ステータスまた上がったな。まあ、前見たときから1レベしか変わってないけど。えっと、スキルは一つ増えた。逃げ足か。名前的に、メタルスライムみたいな事でもできるのかな。……こうして見てみると、俺が使ってないスキルも結構あるんだな。例えば疾走とか。こないだゲットしたばかりなのに、完全に忘れてた。今思えば、ナマズから逃げるときに疾走も使えば良かったな。そうしたら、もう少し楽に逃げ切れたかもしれないのに。

 はあ。思い出すとまたどっと疲れが……。まあ、後から言っても仕方ないか。それで逃げ足の効果は……


「スキル名 逃げ足

 解説

 強大な敵からの逃亡中に発動するバッシブスキル。効果は、逃亡時自身の素早さを5倍にする。スキル獲得条件は特定の称号を入手すること」


 ……うん。なんとなくわかってたよ。名前の通り逃げ足が速くなる。使う場面が限られるが、この効果はこれから狩りをしていくうえでとても必要になるだろう。狩りを続けていれば自分より強いやつと鉢合わせする事も多々あるだろうし。その場合、俺にとれる選択肢は恐らくは逃亡しかない。そしてそんな時このスキルがあるかは無いかで大分差が出るだろう。疾走と逃げ足の効果が重複できて、効果の計算が掛け算なら、普段の15倍の速さで逃げられることになる。つまりは狩りが今までよりめっちゃ安全になるってことだ。このことは、とても嬉しい。嬉しいのだが……このスキル。受け入れてしまったら、何か俺が逃げてばっかりな雑魚っぽく見えちゃう気がする。実際Dランクしかないけど、それでも何かなぁ。

 まあ、これはしょうがないか。より安全になるんだし。やっぱり、安全第一だいよな。


 さて、次は称号だな。まあ、多分増えていないだろうけど。半分諦めた気持ちで一応称号の方を見てみる。これまでのレベルアップでも入手しなかったから、今回もないだろう……


 って、ええええええええええ! ちょっとまて。なんだと、称号逃亡者だと。


 なっ、なんて不名誉な称号だ……。


 ーー一応、称号逃亡者について鑑定を行った後、俺はもう一度スキルの欄をみて溜め息をつく。

 ……はあ。なるほどスキル逃げ足が習得できたのは、この称号のおかげなのか。まあ、それなら仕方ない気もするが、これじゃあ、本当に俺が逃げ回るだけの人みたいじゃないか。犯罪もなにも起こしてないのに、まるで犯罪者みたいな名前だし。

 ーーはぁ、まあどうせ称号もスキルも消すことできないんだし、ここは割り切ってありがたく使わせていただくとするか。


 うーん。予定より早く準備が整ったな。俺の予定では明日から行く予定だったんだけど。もう今日から行くか。……よし、やることも無いし俺の次の進化のためのレベル上げに行くとしますか!

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