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第19話

 ……さてと。盛大に喜んだ事だし、そろそろ家に帰るとするか。疲れたし、MP少なすぎて危険だし。でも、ただなぁ……。このワイバーンの死骸どうしよう。

 と、俺は少し困った表情でワイバーンの死骸を見ながら考える。

 いつもなら食べて終わりなんだが、サイズが大きすぎて、丸呑みしたら俺の体が破裂しそうだしな。だからと言ってこれを食べないのも、持った得ない気がするんだよな、ワイバーンなんてもう食べる機会無いかもしれないし……。うーむ。

 迷いに迷った結果、俺の選択肢は二つへと絞られた。一つは、このままワイバーンを諦めるという選択肢。気持ちに少し悔いは残るかもしれないが、全て丸く収まる方法だ。二つ目は、ワイバーンの死骸付近でキャンプして、数日かけてちょっとずつ食べる選択肢。危険が少し伴い、湖探索の予定にも少し影響が出る代わりに、一切の悔いが残らない方法だ。この二つの他に、家まで持って帰るなども、考えたがサイズ的に無理なことに気がつき断念した。

 うーむ。どっちにしようか。基本的には安全な方がいいんだけど……うーむ。


 ーーさらに考えること十分後。


 よし、キャンプにしよう。近頃はあの虎猫も出てきてないし。ある程度の魔獣ならスキルで何とか倒せるだろう。もし対処できないような魔獣なら、ワイバーンの死骸を囮にして逃げればいいしな。よし、それで決定。ワイバーンの死骸のことも決まったし、早速食べるとしますか。っとその前に、邪魔だからステータスは消しとくか。……それじゃあ、いただきます!


 う、美味い!

 匂いと、食感は生だからアレだが、味は悪く無かった。前世で生肉なんて食べたことが無いから、焼いてみないと前世の食べ物と比較はできないが、レアのステーキを食べているような感じと同じだろうか。かなり美味いから、欲を言えば醤油とかタレが欲しい所だが、蛇なんだから贅沢はいってはいけない。贅沢は敵だ! そう自分を戒め、黙々とワイバーンを頬張った。なかなか良い、少し早い昼飯だった。


 ふぅー食べた食べた。といっても、まだ後3/4は残ってるから明日か明後日くらいまではここに居ないとな。それと今度何か仕留めた時はちゃんと血抜きをするようにしよう。蛇になったお陰である程度の匂いは大丈夫だけど、血抜きしたら、もっと美味しく食べられるだろうから。

 ……と、そう言えば、レベルアップしたのにステータス確認してなかったな。飯食う時は、邪魔だから消しちゃったし。

 スキル『鑑定』自身。

 レベルが自分の三倍もある奴を倒したんだ。どれだけ強くなってるかな……


「名称 アクアスネーク  LV15

 HP308/332  MP252

 攻撃力275 防御118 素早さ269 魔力値313 回避130

 スキル

 熱感知 音感知 毒牙……#水弾式機関銃__アクアマシンガン__# 疾走

 称号 転生者」


 凄い! もうレベルが15まで上がってる! スネークの時は結構苦労したのにーーって、思ってたよりレベル上がってなくね? ワイバーンはランクが一ランク違う上に、相手はこっちの三倍のレベルだったんだぞ。もう少しレベルが上がってても良いと思うんだけど……。まあ良いか新しいレベル上げモンスターが見つかった事だし。

 次は、スキルだな。新しいの増えてると良いんだけど……。

 期待を胸にウィンドウの下の方を見る。


 おっ! 二つも増えてるーーて、えぇぇ!


 俺は自分のスキル欄をみて非常に驚いた。例えるならば、たまたま見ていたテレビに自分がこれもまた、たまたま写っていた時のように。

 なんで、水弾式機関銃(アクアマシンガン)が正式にスキルになっちゃってるの!? えぇぇー。マジか。

 俺は恐る恐るウィンドウ内の水弾式機関銃(アクアマシンガン)という文字を注目して、再度鑑定をかけた。


「スキル名 水弾式機関銃(アクアマシンガン)

 解説

 スキル水の槍(アクアスピア)の派生スキル。異世界から来たとある物が、異世界の知識を元に水の槍(アクアスピア)を使用した結果、生まれたスキル。12.7×7mmの弾が毎秒4000発、発射される。通常時であれば1分間でMPを30消費する。威力は主に使用者の魔力値によって変わるが、MPを多く使う事でも威力を上げる事ができる。だが通常時であったとしても、その弾丸は岩をも砕き、硬い竜の鱗も貫通するだろう。スキルの発祥地はアストルの森」


 おお凄いスキルだーーって、そんな訳あるかー! 絶対俺だろこの異世界から来たとある物って! 解説にのってる弾のサイズとか発射速度は、そのまんま俺の考えた通りだし。スキルってこんなに簡単にできちゃって良いのか? もっとこう、特別な手段とかないと作れないとか、そういう物じゃないの。

 ……はあ~。まあ良いか。出来てしまったんだから。それに、あった方が普通に#水の槍__アクアスピア__#を使ってやるより、イメージの手間が省けて楽だろうし、こっちのスキルを使った方が何かと効率が良いだろうから。

 よし、気を取り直して次のスキルを見ますか。ウィンドウ内の疾走の文字に注目してーー再鑑定。


「スキル名 疾走

 解説

 スキル使用時、自分の素早さが三倍になる。尚、MP消費は無い」


 おお。これは凄い。三倍になる事それ自体も凄いが、このスキルの本当に凄いところは、高速水泳と違い場所が指定されていない事にある。つまり陸地に限らず水中の中でも、はたまた空を飛んでる時でも適用されるという事だ。これは、また良いスキルをゲットした。おかげで懸念材料だった陸地での移動の遅さも、少しは解消される。本当にありがたい。

 さて、スキルを見終わったし、今日はもう疲れたから早めに寝るか。それに、できるだけ長く睡眠をとって、ワイバーンの死骸を食べに来るハイエナみたいな奴に備えるべきだろうしな。目覚ましは……危機察知か聞き耳スキルでどうにかなるかな。それじゃあ、ワイバーンから1mくらいの所に穴を掘ってーーちょっとていうか、ちょっとどころじゃなく早いけど、おやすみー!



 ーーちょうど日が変わった頃ワイバーンの死骸付近。



 スヤスヤと眠っている俺に、体にピーンと何かが通ったような感覚が襲った。

 はっ! と驚き俺は目を覚ました。

 今のは……。

 寝起きのため少し意識が#朦朧__もうろう__#としている中、必死で考える。

 ……スキル危機察知か。それじゃあ、予想通り魔獣が俺の食料を奪いに来たのか。いないなんてことは絶対に無いと思うけど、念のため音で確かめるか。方向も確認しておきたいしな。それじゃあ、

 スキル『聞き耳』。


 夜の静かな森の中に、静かに草を踏み歩く音が微かに聞こえる。距離は約10mくらいだろうか。

 凄いな。こんなに近くにいるのにここまで音が聞こえ難いなんて。音だけじゃ、どんな奴か分から無いから、顔を出して確認するか。

 俺はゆっくりと穴から顔をだし音のする方向を確認する。……が、良く見えない。うーむ、こうなったら、今まで使ったことのなかった熱感知スキルを使ってみるか。

 スキル『熱感知』。


 俺の視界がサーモグラフィーのようになり景色が見えるようになった。全体的に青や黒の世界。その中に赤、緑、黄色で構成された姿があった。


 いた! 大きさは、約1m。あの形は……虎猫か!


 そう、俺に課せられた連続狩猟クエストは、実は水中蜥蜴とワイバーンだけでは無かったのだ。

先週投稿できなくてしみませんでした。明日もう一話分投稿します。

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