この世界に来た理由(わけ)
これは異世界ものではありますが、恋愛ものではありません。m(__)m
第4話「この世界に来た理由」
とりあえず言えた。私は鈴鹿に言えたのだ。妖のこと、パンのことを。本当はもう少し話したかったのだが鶴に呼ばれたのだった。
「なあに?鶴。まだ休憩よ。掃除は終わり。それともおつかい?」
鶴の顔を見るとなんだか怖い顔をしていた。
「どうしたのよ。そんなに怖い顔をして。」
「お前に話したいことがあってな。」
「なに?」
「お前がこの世界に来た理由だ。」
「私が…この世界に…来た理由…?」
すっかり忘れていた。ここにいた毎日が楽しくてなぜ来たかなんて忘れていた。考えもしていなかった。
「そうだ。」
「私ったら、すっかり忘れていたわ。」
「俺が花寿春をここにつれてきた理由は、お前に飲ませる薬を作るためだ。」
「おー!作ってくれるのね!?鶴。何で黙っていたの?」
「いつかは言わないと行けないのはわかっていたんだ。しかし、この薬を作る道は長い。しかも飲んで成功するかはわからない。だから心配だったんだ。花寿春が賛成してくれるか。」
「え…?」
「お前が諦めると言っても人間界に帰るのは難しい。だから、黙っていたまま、作ろうとしたんだ。」
「鶴が…私のために…?」
「…当たり前だ…。」
「!」
私はなぜか涙があふれてきた。
「お、おい!なぜ泣く?!俺が悪いことでも言ったか?!」
「…ううん…。私…、ちょっとうれしくなっただけよ…。」
「…。そうなのか。あの…花寿春?ちょっと話したいことがあ…」
「そうだ!一緒にお茶に行きましょう!掃除もすんだことだし。帰れないかもしれないのは仕方がないこと。ほら、早く。」
「あ、あぁ。でも、俺が言いたいのはそれではなくて…」
「もう。そんなことはいいから。暗い話はやめよう!おいてっちゃうわよ!」
「…」
私たちは近くのカフェというよりお茶屋さんでゆっくり楽しんだ。鶴ともたくさん話した。しかし、鶴はまだ話すことがありそうな顔をしていた。
「はぁー、お腹いっぱい。あそこ、美味しかったわねー。また行きたいわ。」
「…。そうだな。また、今度いってみようか…。」
「鶴。何を悩んでいるの?まだ私に話すことがあるの?それともなに?変なことでも考えてるんじゃないでしょうね。」
「!えっ、と…その…。話すこととは…。」
「もういいわよ。話したくないことは話さなくていい。そんなに悩んでまで考えるんだったらもう話さなくていいじゃないの。鶴が私に薬のことを教えてくれただけで充分よ。あのときも結構無理したでしょ?」
「!…そんなことはない。お前のために言った方がいいと思っただけだ。…」
「…そう。とにかく、無理はしなくていいから、ね。」
「…あぁ。」
もしかしたら鶴が言いたいことは重要なことかもしれない。私が知っていないといけないことかもしれない。でもいうかどうか決めるのは鶴自信なのだ。無理をさせていうことではない。私は鶴が話してくれるそのときまで待つことにした。
ある日のことーーーーー。
「花寿春、これを着ろ。」
「…へ?」
そういって渡されたのは淡い紫色に染まった袴だった。
「そして、これもだ。」
鶴は、私にもう一枚服を渡した。それは、水色の羽織だった。
「あ、ありがとう…。」
「その服のままだとおかしいし女のくせに地味すぎるぞ。」
私がこの世界に来たときは普通の私服だったので、着替えもなく一着だけだったので鶴に真っ白の浴衣を買ってもらったのだった。その他にも、私が落ち着けるようにと自分用の部屋までくれた。
「一回着てみてこい。」
「うん。」
私は実際袴なんて、着さしてもらったことしかない。案の定、私は“スマホ”というものを持っていて、しかも、ここは電波が繋がるので私は自分の部屋に入ると早速ググった。なかなかwebだけでは着方がわからなかった私は戸惑いながらも何とか袴を着ることができた。
「ど、どう…?」
椅子に座りながらおちゃを飲んでいた鶴が振り向いた。
「…」
「な、なによ。」
「お前、袴着たことないのか?」
あちゃー。やっぱりこの着方はおかしかったか…。
「じ、自分では着たことないけど…。」
そういうと鶴はむくっと立ち、私の方に近づてきた。
「な、なによ…。」
「ちゃんと着せてやる。」
「え…?」
そういうと鶴はわたしの手を引いて隣の家へ行った。
「あら、鶴。お客様…って鶴、この子人間よ!ど、どうする気…。」
「ゑヰ(えい)さんちょっとこの子に袴を着させてあげられるかな?」
「こ、この子に…?」
「あぁ。お願いする。」
「分かったわ。ほら…えっと名前は。」
「か、花寿春です。よ、よろしくお願いします。」
私は頭を下げた。すると鶴がついていけとでもいうように背中を軽く叩いた。ゑヰさんについていくと、更衣室の様な部屋についた。
「えっとー上の着物が乱れてるから、まず、袴を取るね。」
そういってゑヰさんは、服をなおし始めた。ゑヰさんはとても服を直すのが早く、あっという間にきれいな姿に戻った。なおしてもらうついでに私は着方を教えてもらった。
「ありがとうございました。」
私は深く頭を下げた。
「もしあんたか鶴のお客じゃなきゃやらなかったんだから。」
「はい。がんばって練習します。」
そのようなやりとりをして私達は家に帰った。
「な、なかなか似合っとるではないか。」
鶴が、顔を赤くしながら言った。
「ありがとう。」
私はにこっとして言った。
「あ、そういえば、鶴。ここの妖たちは私を嫌がっているようだけど、人間が嫌いなの?」
私はずっと気になっていたため聞いてみることにした。
「あぁ。そのことか。その訳は昔の歴史にあるのだ…。」
「歴史…?」
どうでしたか?
更新がとーっても遅くなってしまいました…。(-_-;)
これからも更新が遅くなるかもしれません。(*- -)(*_ _)ペコリ
ごじ脱字などがありましたら、教えていただけると嬉しいです。