花寿春(かずは)からの電話
これは異世界ものではありますが、恋愛ものではありません。m(__)m
第3話「花寿春からの電話」
私は鈴鹿。中学一年で、花寿春と同じ学校に通っている。花寿春は、私の親友で、一緒に華道部に入っている。
そんな花寿春に異変があったのは昨日のことだった。
いつものパン屋に行っていつものパンを買った花寿春は、ソーセージパンを食べた瞬間、倒れてしまったのだ。どうしようかと悩んでいると突然、花寿春がかじったパンが浮かんだのだ。私は夢だと思い、目をこすった。しかし目の前の光景は変わらなかった。浮かんだパンは金色に輝き、光を放った。眩しくて目を開けていられないほどだった。頑張って目を開けて見ていると、パンが急に膨らみ始め、破裂した。破裂したパンの欠片はまだ、金色に輝いていた。欠片のなかのひとつが私の右腕にあたり、皮膚をすり抜けて体内に入っていった。
「なに!これ?!」
と私は思わず叫んでしまった。花寿春にも入ってしまうんじゃないかと思い、目を花寿春に向けると、もう遅かった。花寿春の喉らへんにあたり、体内に入っていった。よくみると、入っていった中で、まだ輝いていた。私のもよく見ると光っていた。どうにかして出そうとしたが、何もできなかった。周りには私達以外、誰もいなかったため、他のパンの欠片は地面に落ちて輝いていた。気になる輝きも、10分ほどでおさまった。そのあと私は花寿春を学校の保健室に連れていき、花寿春は無事回復した。
「プルルプルル」と、電話の音が、部屋の中に響く。
「もしもし」
「「もしもし、鈴鹿?」」
「うん。そうだよ。そういえばもう具合は大丈夫?」
「「うん。あのね、その時のこと、なんだけど…。」」
「あ…。無理して言わなくていいんだよ。」
「「ううん。あのときは[あれ]が、なんだったのか、わからなかったの。」」
「[あれ]…ってことは何か見えている、の?」
「「うん…。嘘だって思うかもしれないけど、この世の生物ではないものが見えているの…。」」
「この世の生物ではないもの…。」
「「怖がらせちゃってごめんね。聞きたくなかったらいいんだよ。私は鈴鹿が心配してくれていたから、伝えようとしただけなの。」」
そう。私は花寿春が帰るとき、[何かが見えているのか]と聞いてしまった。花寿春はとても焦っていたため、しまったと思い、それからは聞かなかった。まさか花寿春から言ってくれるなんて…。その時私はあのパンの輝きの事を言おうと思った。
「ううん。大丈夫。花寿春が言ってくれるなんて、嬉しい。私、信じてる。」
あの輝くパンをみて、信じられないとは言えない。
「「本当?信じてくれないかもと思って心配してたの。」」
「…あのさ…、私も…信じられない物を見ちゃったの。」
「「え…。鈴鹿も何か見えているの?」」
「いや、この世の生物ではないものではないんだけど…。」
「「また別のものがあるのかな?それは後で聞くわね。」」
「うん。花寿春の見えてるものって?」
「「妖というものらしいの。」」
「あや…かし?」
「「うん。妖怪ともいうの。私はあのパンを食べたことで見えるようになってしまったの。あのパンの中には娜々魏草という、薬が入っていたらしいの。試作品だったから、これからどうなるかもわからないんだって。ちょっとした実験動物みたいな感じね。」」
「大丈夫なの!?どうなるかわからないって…そんなの許せないじゃないの!」
私は興奮してしまった。実験動物だというのに、花寿春は落ち着いている。
「「しょうがないの…あがいてもどうにもならないこと。時間が巻き戻せないかぎり…ね。」」
花寿春は落ち着いているが悲しそうな声で言った。
「…。妖っていい奴なの?」
「「いいような、口が悪いような…。はは、ごめんね、こんなくらい話して。」」
「ううん。気にしない。花寿春が心配なだけ。」
「「ふふ。鈴鹿って優しいのね。それで、鈴鹿の信じられないものってなに?」」
「うん…。あの日、花寿春パンを食べたでしょ?それで、花寿春が、倒れたあと、あのパン、宙に浮いちゃったのよ!」
「「う、嘘!?」」
「それが、本当なの。私も初めは認められなかったわ。でも、これは現実。私の目がみたんだから、幻ではないかぎりこれは現実だ、と思ったの。」
「「…そうね。私と同じね。私も初め、幻だと思ったの。でも妖に触れたり、話したりして現実だと認めざるを得なかったわ。ところでそのパン、宙に浮いて、どうなったの?」」
「あ、そうだった。その後そのパンが金色に輝きだしてね…」
「「か、輝いたー!?」」
「びっくりでしょ。」
「「びっくりでしょじゃないよ、鈴鹿。まあ妖がいる時点でもっとびっくりなんだけどね。」」
「ふふふ。そうね。…それでね、花寿春。言いにくいんだけど、あの…パン…、」
私は今しかないと思った。しかし言っていいのだろうか。頭の中で2つの選択肢が飛び交うなか、私は[言う]という選択肢をつかみとった。
「あのパン、初めに私の右腕にすり抜けていって、体の中でとまったの。それで、花寿春もやばいんじゃないかって思って花寿春を見たら、私が守りきれなくてもう花寿春の首あたりに入っていってしまったの。」
「「わ、私の首にー!?嘘ー!」」
「大丈夫なはず。多分。私、あれからなんにもなってないから。体は。」
「「体は、って?」」
やっぱり、これも言っておいた方がいいだろうか。そう思い、私は話を続けた。
「うん。私、あれからなんか視界がぼやけるの。初めは、ん?ぐらいだったんだけど、だんだん長い間ぼやけるようになって、そのうちに、誰かがいるような気配と視線を感じるようになったの。ちょっと不気味でね。でも今、これは妖なのかもって思ったの。」
「「うん。多分妖ね。で、そのパン、首に入った後、どうなったの?」」
「そうそう、それから10分程中で光っていただけ。」
「「光ってただけって…。」」
「で、思ったんだけど、このまま私も妖怪が見えるようになってしまうのかな?」
そう。私が心配したのはこの事だった。多分花寿春と同じように見えるようになってしまうのだろう。悩んでいるのは花寿春と同じだと思う。
「「…それは…わからないわ。でも心配しないで。」」
「!」
「「大丈夫。私も妖が見えていて他の人と違うのは少し不安だし、これから何がおこるかわからない…。でも大丈夫!今いる妖も、めんどくさいやつだけど結構優しいし、なんとかなるわ。ね!」」
「…うん!そうだね。弱音はいててもしょうがないし、何かあっても、なんとか頑張ってみる!」
私は、“今いる妖”というのが気になったが、今は聞かないことにした。
「「…あっ!ちょっと呼ばれたから、今は切っておくねー!」」
「わかったー!じゃーね。」
「「うん!じゃーねー。」
妖、かぁ…。
いかがてしたか?
これが、このシリーズの三作品目となりましたが、大丈夫でしょうか?
大丈夫でしょうか?と聞くのはおかしいかもしれないですけど、前にも言ったように、初めての作品なので、話がおかしくなっているかもしれないし、性格が少しずつ変わっている所もあるかもしれません。(--;)もし良ければアドバイスがあれば、嬉しいです( ´∀`)
また、新しいシリーズを作るつもりなので、宜しくお願いしますm(__)m