〜初めての魔法使い後編〜
時間が遅くなる感覚。それをしすいは体感していた。
[やっぱりこれだったか]
しすいがゆっくり迫り来る火球を横目で見ながら言う。そして足に絡みついていた木を引きちぎる。
[さてと、この力については後で研究して見るとして。]
にやりと笑いしすいは学生を下卑た目で見下す。
[それなりにやり返させてもらうか]
しすいは拳を振るった
何が起こったのか全くわからなかった。いきなり
しすいが早く動き出し。するりと火球をかわしてこっちに歩いてくる。しかもとんでもないスピードで。まるであいつ以外が遅くなってるように感じる。そしてその狂気じみた笑みを浮かべる悪魔はこっちを見ながら言った。
[それなりにやり返させてもらうか]
バキッボコッべキィ
痛々しい音が部屋に響く。
[痛かったぜ?お前のユニーク。まぁこうなっちゃ俺の独壇場だがな?]
狂気じみた笑みを浮かべ、その茶色っぽい左目に灰色の髪がかかりかけている青年。しすいはひたすら殴って学生を痛めつけていた。
[ゴホッ....がァ]
弱々しい声が学生からもれる。それを聞く度にしすいはさらに口角を釣り上げる。
[今日はこんくらいにしといてやるよ。次は何しようかな?まぁ次がないように気をつけてね]
そういい、しすいは部屋を出て野次馬を押しのけ、プランと共にメインホールへ戻った。
そして時間は流れ...
[今日も疲れたなぁ...さて寝るか。]
しすいはこの世界で寝るのは今日が初めてだ。
しすいの[夢の世界]が終わる条件は一つ。
[なにかこの世界でやらなくてはいけないことをやる事]だ。つまりそれをやらなきゃ出られない。前は何人殺戮するまで。という条件だが、この世界ではそんなハードなものではなさそうだ。
[まためんどくさい奴に絡まれるとやだし。早く寝て魔法の種類でも増やすか...]
そういうと、しすいは目を閉じた。