はじめての魔法使い〜中編
[1時間目は...えっと魔法学?]
黒板のようなものに予定が書いてあったのでしすいはその黒板を見ていた。
[その名の通り魔法の勉強だ。今回は実践。魔法で戦闘訓練とかもやると思うぜ]
プランがそう言って魔法学を行う場所へ向かう。
[お、おい!俺どこにあるかわかんねぇんだけど!]
そういってしすいは慌てて飛び出していった。
[プランのやつ歩くの早すぎだろ...校舎も広いし....急がなきゃな。]
そういって走り出すしすい。曲がり角を曲がった時、2人組の生徒とぶつかってしまった。
[いつっ!]
頭をぶつけ思わず声を上げるしすい。
[けど時間ないから急がなきゃ...あのーごめん!]
そういってしすいは2人組に謝り走っていった。
[あいつ...転校生か...]
[ちょうどいい、戦闘訓練で少し痛めつけてやろうぜ。]
そう言って2人組も魔法学をするべくしすいと同じ方向へ歩いていった。
[ふぅ...間に合った。]
どうにか訓練教室に着いたしすいは息を切らしながら先生の話を聞いていた。
[では今から基礎の魔法を使ってみましょう。]
そういって生徒は散り散りになり、呪文の詠唱を始めた。
[とりあえず皆の真似してやってみるか....異世界最初の魔法いっきまーす!フレイム!]
そう言って詠唱をする。だがフレイムという魔法は発現せず、マナが伸ばしたしすいの手からパチッと音を立てて蒸発した。
[おかしいなぁ...]
[おい、しすい。もしかして、適正魔法の検査やってない?]
プランがフレイムを出しながらいう。
[うん、どうやってやんの?]
[ちょっとまってろ。魔石を貰ってきてやるから。]
[魔石?]
[あぁ、触れながらマナを送ると色で適正じゃない色が浮かび上がる。]
なるほど、それで適正とやらを知るのか。
[ほれ、魔石。]
しすいの手に手のひらサイズの透明な石がプランから手渡される。
[じゃあいくぜ...ふっ!]
力を込めると石には赤色が浮かび上がった。
[炎魔法適正がないから出来なかったんだな。まぁ適正ないのはそれだけだし、そんなに関係ないだろ。]
プランがそういってまた詠唱を続ける。
[ほか皆が言っている詠唱は...フリーズか。氷魔法かな?とりあえず...フリーズ!]
そう言うと手のひらくらいの大きさの氷が壁へ飛んでいった
[おおおおお!すげえ!]
しすいが喜んでいると、背後から声がした。
[おい、転校生。俺と"訓練"してくれねぇ?]
そういったのは赤い髪に鋭い目、更に獣の耳が特徴的な学生が立っていた。
[いいけど、俺初めてだし...]
[大丈夫大丈夫。とりあえず戦うだけだからな。]
そのままその学生と勝負をすることになり、しすいは急いで詠唱のパターンを覚えた。
[じゃあ行くぜ?コインを投げて地面に落ちたら攻撃開始だ。]
ピンッと弾かれたコインが地に落ちる瞬間。しすいはかの学生がなにやらぶつぶつと呟いていた。
学生の視線が向いている場所を見るとそこには、しすいの脚があった。
コインが地面に落ちた。
[なッ!?]
しすいが足に違和感を感じ、視線を下ろすと、足に枝が巻きついている。
[攻撃はコインが落ちてからだろ!?なんでだよ!]
しすいが叫ぶ
[俺はちゃんと言ったぜ?攻撃は落ちてから。俺は魔法をセッティングしただけだからな?コインが落ちてから発動したぜ?]
ニヤニヤとしながら歩いてくる学生。ずいぶん余裕だ。
[お前俺にさっきぶつかったろ?あれ痛かったぜ?やり返さねーとなぁ!]
バキッ
顔面を殴られるしすい。脚が固定されて動けないので避けるのが難しい。
[いいこと教えてやろうか。俺はな、この国内でも珍しい恩恵持ち。つまりユニークなんだよ!]
[恩恵...たしかプランが言っていた...]
[優しいオレ様は恩恵の内容も教えてやるよ...俺の恩恵名は(シンメトリー)まぁ名前は自分でつけたんだけどな?]
センスねぇなこいつ...そう思いながらしすいは恩恵に対抗する方法を考える。
(そういえば...恩恵持ちは恩恵をどうやって発動させているんだ?もしかしたら俺にも...)
[なぁ質問いいか?どうやって恩恵は発動させるんだ?]
[俺の場合は全てが左右対称に行われる。右で殴ったら左手を動かさなくても相手には右と同じくらいの衝撃が一回目と逆のところにいく。恩恵なんてそれをイメージすりゃ出来るさ。]
そう言い終わった瞬間学生は何もしてないのに左の頬に殴られたような痛みが走った。
[なるほどな...]
(これは俺の夢が前提...なら俺も恩恵を持っていておかしくないはず...俺が日常で望んでいた能力はなんだ...?)
そう思いながら必死に考えるしすい。
[とりあえず、これをどうにかしないとな...ライン!]
そうしすいが叫ぶと雷が線のように手のひらから足元に向かって走る。
[光属性は雷も使えるのか...]
[へぇ、光魔法ねぇ...]
学生は懐から本を取り出し、そこに書いてある文章を詠唱した。
[ブレイズ!]
そういうと、学生の手からフレイムの2倍くらいの炎が放出される。
[炎魔法の二段階魔法。ブレイズ、火炎球が飛んでくるから気をつけろよ。]
いつの間にかプランが戦闘を観察していた。
[騒がしいと思ったらお前だったのかよ...後あの本は魔書といって自分が扱える魔法が記されている本だ。後で詳しく教える。]
プランはじっーと学生を観察しながら説明をする。
気づけば周りに野次馬が沢山集まっていた。
[しすい。俺は特別魔法の中でも解析の分野が得意なんだ。そして、今お前を解析したら...なんと恩恵があった。]
[やっぱしか]
[なんだと!?]
学生がそれを耳にし、動揺し始める。
[詳しくは分からないんだが、時が関係してるみたいだぞ。]
[時...ねぇ....]
しすいが考えていると、学生がまたブレイズを飛ばしてきた。
[おお!分かったぞプラン!つまりこういう事だ!]
しすいは息を吸い込み、頭の中でまわりが遅くなるイメージを思い描く。そして火焔球がもう少しで当たりそうになった時。しすいはゆっくり目を閉じた。そして目を開くと
火焔球がゆっーくりと動いていた。
主人公補正ってやつですよ。