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オーディール テイム・オンライン  作者: 結城 縫熊
1.冒険の始まり…
7/44

7.初めてのクエスト・前篇

 

 

 もう定位置かの様に、頭にノワールを乗せてギルドに入った。

ギルドに入ると、人が群がっている場所が幾つかあった。掲示板の前だ。

僕は、比較的に人垣が少ない掲示板を見つけてそこに行った。

クエストボードには、数多くのクエストがあり目移りした。

いくつかのクエストを紹介しよう。

[町周辺の探索]、[薬草の採取]、[スロー・ラビットの討伐]、[スロー・イノシシの討伐]、[草原の探索]、[毒消し草の採取]、[スロー・ウルフの討伐]、[森林の探索]


 このうちのどれかを選びたい。迷うな…

ノワールが肩まで降り、前脚を一枚の依頼書に押し付ける。

[峡谷の探索]

契約金:0G

報酬:0G TP0ポイント 

難易度:☆☆☆☆ ランク-D

受注資格:特になし

【内容】

中級者が訪れる場所。

ここには、中級冒険者が探査に訪れ。場所の環境や生態を調べる。

【達成条件】

 峡谷まで訪ね。報告書を提出する。


 う~ん…ここはランクが高いと思うんだけどな。

けれど、頑なに態度を崩そうとしないノワールに僕は屈した。

依頼書を剥がし受付へと移動した。

「すいませんこちらのクエスト受けます」

依頼書とIDをカウンターに提出した。

「はい…承りますが、本当にこちらでよろしいですか?」

提示された依頼書とIDを眺めながら確認を取ってきた。

「はい、よろしくお願いします」

もう行くしかないと振り切り僕は言った。

「はい、畏まりました。こちらの方を発注いたします。」

「峡谷の方には、この街を北に進み続け草原を越えた先です。道中には、アクティブな動物達が数多くいますので用心して下さい」

「はい、ありがとうございます」

ウィンドウにクエストを受注したとメッセージが流れる。

背中を返し、ギルドを後にした。


 冒険に必要なものといえば回復薬や食料だよな。

後、武器の整備や弓を使う以上、矢などが必要になってくる。

メニューを開き、イベントリを開いた。

所持アイテム

・初心者の弓

・矢

・初心者の矢筒

・初心者の服

・初心者のズボン

矢は何本あるだろう?

 20本だ。普通に射る分なら多いくらいだが、ここはもう少し持っておきたい。

回復薬や食料などは持っていなかったため、買わなければ。

何処か買えそうな店を街並みの中から探す。

すると〈アイテムショップ〉と書かれた。店を見つけた。


「いらっしゃい」

店の前に行くとおばさんが話しかけてきた。

「すいません。回復薬と食料、あと矢なども置いていますか?」

必要なものを置いているか簡潔に聞いた。

「あるよ~今ならセットで回復薬15個と食料9食分、火起こし器の三点がたったの2000Gだよ!」

安いのか高いのかがわからないが所持金は現在2750G矢がいくらするかな?

「矢は一本いくらですか?」

「1本10G、20本で180G、50本で450Gだよ」

矢を50本買うとすると全部で2450G残りは300Gになる。

「矢を50本と三点セット買うなら値引きするよ」

間入れず、商売魂で値下げ文句がでた。

「では、買います」

「ハイ毎度!全部で2250Gだよ」

アイテムとGの交換が終わり、イベントリにアイテムが収納される。

「ありがとね~またおいでや」

そう言って手を振ってくるおばさんを背にして、準備が終えた僕は街の入口を目指した。


 街の入口が段々近づいてくる。

一歩一歩、歩むに連れて興奮が抑えられない。

ついに入口の手前にきた。

「これから、僕らの冒険が始まるよノワール!」

弾んだ声で頭上に鎮座する存在に言った。

一歩踏み出した…視界が真っ暗に染まり、鈍い痛みが走った。

顔が痛い、更に結構な重さが体を襲った。

ゆっくり重さから解放された。頭をあげ周囲を見渡す。


 そこには、初めてこの世界で目にした光景が広がっていた。

唯一違ってのは、横にいる黒い獣がいること。見覚えがある。

「もしかしてノワール?」

大きくなっているが、確かな確信を持ちながら言った。

「ガゥ」

低い唸り声が聞こえた。なぜこんなに大きくなった?疑問が浮かぶ。

<小型化が解除されました>

 テイムされたペットたちは、街中などではサイズが小型化されます。

街を出ると強制的に解除されます。


 システムメッセージが流れた。

やっとのスタートが締りの悪いものになってしまったことに

苦笑しながら立ち上がり未知の世界へと踏み出した。



 草原を北に進む。

少しすると遠目に小さな生き物が見えた。

<スロー・ラビット>

 まだ気づかれていない。弓を取り出し。矢を放つ。兎の頭を貫いた。

兎のHPバーが緑から黄色、赤へ色を変えバーが消滅した。

一撃だ。これが仮想世界でも苦しませたくない。

データの集合体であっても命だ。

 これは傲慢エゴだ。いつだって命は理不尽に奪われている。

それでも苦しんで欲しくない。そう思うのはきっと傲慢だ。

そんな葛藤をあざ笑うかのように、システムのメッセージが流れ…経験値とアイテムが入手したことを告げた。


 初めての戦闘を終え、矛盾した気持ちに整理をつけようとした。

現実世界で権利を手に入れる為に、仮想世界では命を奪っていくそんな矛盾する気持ちに心中を支配されていく…

 痛い…この痛みは心が…違う、足だ。ノワールが噛みついている。

HPが減っている。そのまま足を引きずられ尻もちをついた。

目が合う。その眼は、軟弱者と言いたげな…雰囲気だ。

呆然とする僕を真っ直ぐ睨み…

「ガォー」

雄叫びをあげた。空気が震え、体が強張った。そのまま踵を返し、先にゆっくり歩きだしだ。僕の心中を察して、一括いれてくれたのだろう。


 そう冒険は始まったばかり。答えを出す過程にいるのだ。どれだけ迷ってもいい、矛盾を感じても先に進むこと…もう踏み出し始めた足を止めることは出来ない。

 それから何匹かの兎を仕留めていると新たに<スロー・イノシシ>に出逢った。

初めて出会った。猪突猛進の如く突進をしてきた。

慌てて避ける。縦横無尽に縦横を駆け巡り、射を定める暇が少しない。

 手こずっている僕を見かねたようでノワールが駆けだした。

速い…疾風の様な影が走り、猪に迫り飛びついた。

転がる二匹のうちの一匹に狙いを定め…射ぬいた。六割ほど残っていたバーが消滅した。

ポリゴンが砕け散り宙に舞った。


 良くやったとノワールを撫でようとした。避けられる。

逆にしっかりしろ手を煩わせるな!と言わんばかりに噛みつこうとしてきた。


 そんなやり取りがあったのち、数回の兎と猪を倒し、レベルアップを告げるシステム音が響いた。




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