15.一連比翼への歩み
僕は回復薬と食料を口にして、とりあえずステータスを開いた。
ユウヤ
Lv 11
HP:702/567
MP:451/387
STR:52
VIT:65
AGI:93
MIN:65
DEX:99
〈アーツ〉
ストロング・アロー
三点バースト・アロー
レイン・アロー
〈リンク・アーツ〉
虎王比翼
《所持スキル》
弓/224
索敵/148
体術/106
木工/37
《強化オプション》
クイックチェンジ
マジック・アロー作成
エンチャント・アロー
〈補助スキル〉
サーチ
ノワール
Lv 10
HP:709/700
MP:485/453
STR:102
VIT:95
AGI:108
MIN:48
DEX:35
≪所持スキル≫
疾走
HPは二割回復し、八割まで回復した。
さてどうやって倒そう。狂ったかの様な〈ユニコーン〉の動きは、単調で弓を射て当てることは容易い。しかしそれは大地に足を踏みしめている場合だ。
さらに今はノワールの背に乗っている状態で、姿勢も不安定なため狙いもうまく定めることが出来ない。
しかし何もしないのは、埒が明かないため一つアーツを放った。
「【レイン・アロー】」
意志に反映してシステム音が響く。放たれた一本の矢は放物線上の半ばで散った。散った矢の残骸は、幾数の小さな粒となり〈ユニコーン〉に降り注いだ。
その成果はやはりというか、焼け石に水と言ったところだろう。
全くと言って良いほど効いていない。しかし効果がまるでない無いわけでは無い。つまりこのままノワールに乗っかったまま〈レイン・アロー〉を射続ければ倒せることを意味する。俗にいう引き撃ちという戦術だ。
しかしそれは問屋が下ろさないというか、なんというか理由はこれだ。
ノワールがレベル10で得た、〈疾走スキル〉の情報を観た。
〈疾走〉使用中
通常より速く走れる。使用中はMPを消費する。
現在ノワールは僕を乗せているためMAXスピードで走れない。
そのためノワールは〈疾走〉でスピードの底上げをしている。
〈疾走〉によりMPが切れる時、僕らは追い込まれることとなる。
つまり短期決戦でこの戦いを終えなければならないということだ。
僕は弓を教わった人の言葉を思い出した。騎射。
動物の背に乗り、弓を射るスポーツがあったということを…
〈ユニコーン〉とノワールのスピードは、ほぼ同じくらいで距離は付かず離れず保っている。これはきっと騎射ができるはずだ。
僕は何の根拠もなくそう確信した。覚悟を決め、弓をいつでも射る準備をした。
「ノワール…〈ユニコーン〉に並走して」
ここからは、一蓮托生。ノワールならできる。僕を信じてやってくれる、そう思って出た言葉だった。ノワールから返答は無かった。代わりに急制動が掛かった。
不言実行の如く、突然の行動だった。けど僕は、何となくわかっていた。いきなりの急制動にも関わらず、姿勢は揺るがなかった。
一瞬の静止の後、再び加速が身体を襲った。そんな一瞬の挙動に、僕の姿勢は微動さえもしなかった。人馬一体いや、人獅一体だったのだろう。
視界の先には、並行する〈ユニコーン〉。巡らせたチャンスにありったけアーツを叩きこんだ。
「【ストロング・アロー】、【三点バースト・アロー】、【レイン・アロー】」
意志に反映したシステム音が響く。同時にアーツは複合された。
放った矢は三本、それに〈三点バースト・アロー〉によって実体の一矢に付き二本の魔力で形成された矢が付属する。そして次は三本の実矢と六本の魔法矢に〈ストロング・アロー〉の効果が付与された。計九本の矢が放たれ、散った〈レイン・アロー〉の効果だ。現れたのは、幾数の大粒。そうまるで流星となって〈ユニコーン〉に霰の如く降り注ぎ。〈ユニコーン〉を吹き飛ばした。
倒したか…消費したMPは300程、放った一撃だった。
これで倒せたなら、僥倖だと思う。
複合アーツの余波と〈ユニコーン〉が吹き飛ばされた衝撃で土煙が舞っていた。
戦場にはそぐわない緩やか風が吹き、土煙を晴らした。
晴れた場所には、やはりと言った所か…白き幻獣が起き上がろうとしていた。
HPバーをイエローゾーンまで減らし、起き上がった幻獣は先程までの狂乱した様子は無かった。
そう変貌を果たした時の様に、壮大で美しく、雄雄しい立ち姿だった。
今ならきっと、これ以上傷つけあう事無く幕引きが行える。
けど…そんな選択肢はきっと存在しない。
それに同意するかのように〈ユニコーン〉は、前掻きを始めた。
雌雄を決する。その道しか無い。僕らは睨み合った。
一時の間が時を止め、互いの時間を支配した。そして…動き出す。
迅い…先ほどまでの突進は、遊びだったと思えるほどだ。
構えた弓につい力が籠る。
最高の一撃で迎え撃たなければ…胸中に思いが溢れた。
彼我の距離がドンドン縮まり、矢を放った。
「【虎王連翼】」
リンク・アーツが発動した。
放たれた矢は、漆黒の光彩を纏い。怒号の風切り声を上げ、疾った。
勢いのまま交差する二つの黒と白。
消滅する黒、失速する白。やがて白は失速しながら、僕らの横を過ぎ去った。
「ドスッ」
白が過ぎ去った後、倒れる様な音がした。
振り向いた。その先には、倒れた〈ユニコーン〉がいた。




