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オーディール テイム・オンライン  作者: 結城 縫熊
1.冒険の始まり…
13/44

13.「答え」と「カナン」

 湖畔を後にして草原を越え、街に戻った。

街に着いた頃は、すっかり陽が沈み始めていた。そんなところ出来事は起こった。


 夕飯を何処で食べようと散策していた。

美味しそうな匂いが街中に漂いはじめ、様々な人々が闊歩し合う仲の一人だった

僕に突然の出来事だった。肩を叩かれる。何かな?と思い振り返った。

「やぁ、こんばんはユウヤ」

振り返った先には、イケメンのイオリがいた。

「あっどうも、こんばんわ」

初対面の印象は最悪だった彼はただの超絶美形に見えるだけで、怪しげな気配を見せていなかった。

「姿が見えてね、先日のお詫びも兼ねて食事でもどうかな?」

良い店知っているよと、言いたげな雰囲気で言ってきた。

「良いですよ、どこ行きましょう?」

少し躊躇いがあったが、自称βテスターの彼の話を聞きたい、好奇心が勝った。

「こっちだよ」

先導する彼の後に続き、案内されるがまま追いていく。


 案内された先は、洒落たレストランだった。

「(へぇ~この世界にもこんな店あるんだな)」

中世風の街並みの中で、外観の雰囲気を損なっていない店に感心した。

「ここだよ。ここの肉と野菜のマッチした料理がお勧めでね」

店に入り、席に着いてから、そんなことを言った。

ペット達も席に着いたところで、話は始まった。

「改めまして僕はイオリ。こっちはペットの彩虹ツァイホン・スコルピスのアンタレスさ、よろしく」

「僕はユウヤ。こっちはライガーのノワールです。よろしく」

簡単な自己紹介の後、食事を挟みながら話が始まった。

「やっぱりβテストの話からすればいいかな?」

そうだなと思い頷く。

「そうだな~β時って言っても今とあんまり変わらないかな、街並みもそのまんまだし、システム的には変更点はあんまりないかな…けど一つだけ違うことは物語の進行の仕方が違うことくらいかな?」

「物語の進行の仕方が違うって?」

「あぁそうだよ!βの時ならクエストを何十回かクリアしてれば、街の中央にある

エメラルドの宝石が嵌め込まれた台座が輝きを増すのに、全然輝いていない」

「つまり物語が、余り進んでいないってことを意味する。15万人のプレイヤーが居ることを考えると、回数はもっと多いかもしれないが、それでもあまり進んでいないね」

「クエストを重複ちょうふくして受けているだけじゃないのか?」

確か、クエストは初めてクリアすると進行度が上がると言っていたこと思い出し言った。


「僕もそう思って掲示板のクエストを見てきたけど、ほとんどのクエストはクリア済みだったよ。TLテイムランク3の僕が見ても、それだけしか出なかったから多分違いない」

TLテイムランクによって、掲示板で表示されるクエストが違うの?」

「そうだよ、今一番高いランクは3だから僕に見えないなら、他のランク3でも見えないはずだよ」

 なるほど…ランクでクエストも違ってくるのか、確か街中のNPCからもクエストが受けられるって言っていたな。僕は、タートル・ファイヤーのクエストを受けたし。

「じゃあ、街中でNPCからクエストを受けまくれば、進行度は上がるってことですか?」

合点がいったと思ってイオリに言った。


「いや、たぶんそれでも進行度は上がらないよ…もう結構な数のNPCクエストは見つかってクリア済みでね」

首を傾げ、謎が深まるばかりと言わんばかりの反応が返ってきた。

「もしかしたら、進行度はあまり進まないのかもしれない…」

「それってどういうこと?」

「つまりゲームクリアが無いかも知れないってことさ…」

驚愕の発言に驚きを隠せないまま、次の言葉に耳を貸す。

「まだ二日目だから詳しいことは、わかってはいないけど…15万人のプレイヤーがいて、人海戦術も行っているのに進行度が進まないってことは、意図的にそう仕組まれているってことさ」

「そもそもこのゲームOrdealオーディール Tameテイム Onlineオンラインの存在自体が矛盾していると思わないか?」

 矛盾しているこのゲームが…

「権利を得るために、試験オーディールを受け義務を果たせというけど、具体的な目標が定められていないまま、仮想世界でペットを与えられ、そのペットと酷似した生物と戦い冒険をすることで義務が果たせるのか?僕はそれが疑問だね」

 確かに初めて兎を殺した時、今日ワニの捕食行動を邪魔した時に浮かんだのは、疑問だった。

 

 これが生き物…動物と向き合うことに繋がり、義務を果たすことになるのか?確かにそう思った。

「それでも…そうだとしても、受け入れ進むしかない」

 僕は、今の気持ちをぶつけた。

ノワールを見た。お行儀よくご飯を食べている姿を目にし続けて言った。

「もう歩み始めた、そして出逢った。この世界で、共に歩いて生きたい…そう思える存在に」

「だから、もう途中で投げ出すことはできない」

 自分の中で、何かが嵌った様な気がした。

「うん…そうだね、僕たちは本気で望んだ。だから、ここに居られる。だから放り投げない、それが僕たちの義務だから」

 そう言ってイオリは思った。

このゲームをしたくても出来なかった人がいる。

 僕は、βテスターでこのゲームを優先的できている。けどこの目の前にいる女性の様な青年は違うのだろう…このゲームをするために必要な手順や事項を思い出した。

 勿論、僕は生物が好きだし。今のペットにも気に入っている。

けどもし自分が逆の立場であったのなら、最後まで申請手順をしただろうか?

否、しなかったね。自分にそんな気概はきっとない。

 選ばれた僕達は、ゲームをクリアすることで示さなければ…

そんな会話を最後に食事は終わった。


ユウヤと別れた後、夜の街を歩きながらイオリは思っていた。

「(本当は今日不安を煽って、お持ち帰りしようと思って食事に誘っただけなのになぁ~)」

 さっき話したことに嘘はない、本当に進行度は進んでいない。

元々このゲーム自体が時間稼ぎの為に作られていた事も事実だ。

そんな内部の事情を知っていたため、諦め気味だったのかもしれない。

「(けどあんな風に、熱く真っ直ぐな気持ちをぶつけられると駄目だな…本気になってしまう)」

別に彼は、ホモではない。ただバイなだけだ。

 そんなことを思いながら…くだんの宝石の台座まで来た。

宝石は、薄ら淡い光を放っていた。

「(昼間は良く見えなかっただけか?)」

けどそんなことはどうだっていい。

 先が見えない。そんな不安のなか、これは一筋の光だ。

足が浮かれる、心が弾む。

 躍りだしそうな姿は、ゲーマにも動物好きのどちらにも見えた。



第一の試練、進行度10%。


 イオリから進行度が進んだと、メールが来てから二週間が過ぎた…


 二週間で僕のレベルは11、ノワールは10になった。

そしてTLテイムランクが3となり、様々なクエストが受けられる様になっていた。

 その中にチェーンクエストと言われるモノもあった。ファイヤー・タートルの納品クエストだ。あの依頼は、一回受けた後ランクが上がる事に、追加で依頼が発生した。

内容は<桜肉の納品>、<紅葉肉の納品>、<鰐肉の納品>、<蜥蜴肉の納品>の四つだ。

 それらの依頼を達成した後、ファイヤー・タートルは…酒場となってリニューアルオープンを果たした。その名を、ベテルギウス。全天21の一等星の一つの名前だ。


 そしていま、ベテルギウスで一つの会議が行われようとしていた…

議題は、進行度が半分を過ぎて以降、またしても進まなくなったからだ。


「では、時間になりましたので、会議を進めたいと思います」

ベテルギウスに集まったのは総勢100名ほど、その中の一人が代表して開始の音頭を告げた。

「今日はこの場に集まってくれてありがとう、僕はイオリです。愛の伝達者と呼んでくれると嬉しいな!」

 清々しいほどの笑顔で、キモイことを言った。

集まった全員の反応が薄かったが、そんな事を気にした様子もなく司会を続けた。

「さて、集まって貰ったのは他でもない、進行度についてだ。

先日、順調に進んでいたと思われる、進行度が再び止まったこと。そして最後に進行度の上昇が確認された、クエストがチェーンクエストだったことについて、何か共通点が無いかの話し合いの場を設けたいと思ったからだ」

 そう、僕がベテルギウスのチェーンクエストをクリアした時に進行度が上昇したのを最後にこの一週間、なにをしても変化が無いのだ。

 その発言を機に様々な意見が飛び交った。

やがて収拾がつかなくなったため、プレゼンテーション式に意見を出し合い、二時間ほど話し合いがあったのち3つの結論が出た。


・チェーンクエストの存在が多数ある。

・夜間のクエストがある。

・クロス・クエストがある。

 チェーンクエストは最初に受けた、プレイヤーにのみ発生するようで、ユニーククエストなのかも知れないということ。

 夜間、22時~4時の間にだけ街NPCから受けられるクエストが多々存在しているということ。

 そして一番新しい情報は、各クエストに繋がりが存在して、それがまた違うクエストに発展してクロス・クエストになることがあるということだ。

TLテイムランクが3になった時、受注できるクエストの数が増え二つまで受けられる様になったため、偶々発生したことで、その存在が明らかになったと思われる。


 これらの可能性を考慮し、クエストを達成して行くことを目標に会議は終了した。



 そして僕は、クロス・クエストに挑戦してみることにした。

今回クロスさせることができると思っている二つのクエストは、この二つ…〔スロー・アリゲーターの討伐〕、〔旅路の先に〕


〔スロー・アリゲーターの討伐〕は前回と同じもので、〔旅路の先に〕という初めてのクエストだ。

〔旅路の先に〕

契約金:400G

報酬:4000G TP:60ポイント

難易度:☆☆☆☆ ランクD+

受注資格:特になし

【内容】

 猛々しい一頭の<スロー・ホース>が湖畔にある川を渡ろうとしている。

しかし川には沢山の捕食者がいる。

本来なら川を渡るときには、群れで渡るがこのウマは独りで渡ろうとしている。

どうにかして、無事にウマを無事に渡らして欲しい。

【達成条件】

<スロー・ホース>を一頭を無事に川の向こう岸に渡らせよ。


 討伐依頼は、討伐対象を活性化させる効果がある。

そして防衛クエストは、防衛対象に敵意ヘイトを集中する働きがある。

つまりだ、猛々しい<スロー・ホース>に更なる試練を与えることになるため、クロス・クエストに発展する可能性があると思った。

二つのクエストを受注して、街を出た。

 

 さて猛々しい<スロー・ホース>を探すため<索敵スキル>を使った。

<索敵スキル>の熟練度上昇によって、補助スキル<サーチ>が使えるようになっていた。

<サーチ>のおかげで北西の方角に反応があった。

北の草原からかなりの勢いで、西の湖畔に向かって来ている。僕らは、湖畔の北側に足を運んだ。


 湖畔の北側に着いた。反応があった方向から「ドッドッ」と地鳴りが聞こえる。足音だ。音のする方向を見た。白馬と言っても差し支えない、白を基準としたゼブラ色の<スロー・ホース>が一目散に湖畔の林に向かって来ていた。

 僕らの横を駆けて行く<スロー・ホース>を慌てて追いかける。

林道はやしみちを木々に当たる事をまるで恐れていないようだ。

駆ける、駆ける…速い、離されないように必死に追いかけた。


 川に来た。ワニ達が沢山、蔓延はびこる、危険地帯だ。

流石にこのウマも、本能的に危険を察知したようで足を止めた。

 向こう岸に渡るためには、どうしても川に入って渡るしかない。

現在のこの川を渡ることの結果は、火を見るよりも明らかだった。

 僕はアーツを使って、ワニ達を牽制した。

すると川に一筋の隙間が出来た。そこにウマは勢いよく飛び込んだ。

「ドバッ」水飛沫が飛び散った。

波紋が広がり、ワニ達の注意がウマ向く。必死に川を渡るウマを援護するように、矢を放つ、放つ…やがてウマが川を渡り終わるころに、システムメッセージが流れた。

<クロス・クエストが発生しました>

 良し!読み通りだ!クエストを開いた。


〔旅路の終わり〕

契約金:500G

報酬:8000G TP:100ポイント

難易度:☆☆☆☆☆ ランクC-

受注資格:クロス・クエストを発生させること

【内容】

 猛々しい<スロー・ホース>はより困難な川渡りを達成した。

生きることよりも目指すことが、川の向こう岸にあるようだ…それを確認せよ。



 二つのクエストが無くなって、一つのクエストになっていた。

そして川はモーゼの海割りの様に割れ、それはまるで、僕らを約束の地

「カナン」に導くように道を創った。そして導かれるように渡った。


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