表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーディール テイム・オンライン  作者: 結城 縫熊
1.冒険の始まり…
12/44

12.成長と新装備の試しと葛藤

 

 新装備を装備するために、メニューを操作しようとすると

色々メッセージが流れたが、全て後回しにしてウェポンタグを開いた。


頭:なし

胴:狩猟者しゅりょうしやの服

腕:なし

腰:脱兎のズボン

脚:なし

靴:なし


武器:若樹じゃくじゅの弓


 各場所に、新しい装備を装備した。

一瞬の光が自身を纏った。次の瞬間、装備が切り替わった。

上半身は、灰色のジャケットの様な服に変わり、

下半身は、茶色のズボンに変わった。


 初心者の服とズボンとは違い、生地が滑らか肌触りの作りで着心地が良かった。

新しい弓は、和弓の様な作りで、若芽色≪わかめいろ≫で

成長の予感を感じさせる様な明るい緑だった。


 武器の切り替えが終わり、後回しにしていたメッセージを開く。

<レベルが6に上がりました>

<レベルが5に上がりました>

<体術の熟練度が50になりました>

<索敵の熟練度が50になりました>

 成長に関するメッセージが流れた。


ステータスの設定に移る。


ユウヤ

Lv 6

HP: 485/485

MP: 314/314

STR:25(1)→STR:33

VIT:44(2)→VIT:47

AGI:61(3)→AGI:65

MIN:37(2)→MIN:48

DEX:67(3)→DEX:71

≪所持スキル≫

弓/116

索敵/73

体術/54

<アーツ>

ストロングアロー

三点バースト・アロー

<リンク・アーツ>

虎王比翼こおうひよく


 STRとMINにステータスポイントを6づつ振った。


ノワール

Lv 5

HP:467/467

MP:336/336

STR:59→STR:66

VIT:53→VIT:61

AGI:63→AGI:70

MIN:35→MIN:38

DEX:23→DEX:25


 ステータスに関してはこんな所だ。

<体術>は新しい補助オプションを手に入れた。

<索敵>補助スキル<サーチ>を覚えた。


 これが僕らの二日目での成長だ。


 次は、新装備のチェックだ。

行ったことない場所に行って力試しをしたい。

そうなると<森林>、<湖畔>のどちらかだ、どっちに行こう?

<森林>は☆2つ、<湖畔>は☆3つ、よしここは<湖畔>にしよう。


 峡谷では、こそこそと隠れて進んだことで事なきえた。

だから今度こそ実力でクリアしたい。

そんな思いがあるだから、ある程度の危険と共に覚悟を持って挑戦したい。


 基本の回復薬と携帯食料を十分に用意して、ギルドでクエストを探した。

一つだけ難易度と報酬の条件が一致したクエストを見つけた。

〔スロー・アリゲーターの討伐〕

契約金:300G

報酬:3000G TP:50ポイント

難易度:☆☆☆ ランクD-

受注資格:特になし

【内容】

湖畔にて<スロー・アリゲーター>が暴れている

何体か討伐してくれ。

【達成条件】

 <スロー・アリゲーター>を十頭討伐せよ。

このクエストを受けよう。

クエスト書とIDを受付に提出して、クエストを受けた。



 街を出た。

今回は北ではなく、東にある湖畔を目指して歩み始めた。


 道中には、お馴染みの兎、猪、狼と新しく<スロー・ファルコン>が出たが、

苦戦する事無く、ほぼ一撃で倒せた。難なく足を進め、やがて湖畔林に着いた。


 浅い林が湖を囲うように広がっている。

のどかだ。林には、アクティブではない小さな

<スロー・バード>の鳴き声が聞こえる。


 すると大きな角を持った動物に出逢った。

<スロー・シカ>だ。一瞬、身構える。しかし特に何もしてこない。

それどころか近づいて来た。触れ合える距離まで来た。

ゆっくり手を伸ばす。…触れた抵抗はしない。

毛はしっかりしていて固い、ブラシのような印象を受けた。

 この世界で、ペット以外の動物に初めて触れた。ただ嬉しい、そう思った。

少し撫でさせてもらった後、<スロー・シカ>とは別れた。


 そしていずうみに着いた。

綺麗な水が澄んでいて、光の屈折により透き通った蒼さが浮かんでいる。

このいずうみの水は飲めるのかと思いしゃがんだ。

 手を水に突っ込み、お椀の様にして救い上げる。

飲んだ。美味しい。一度では、止まらず二度、三度と水を救い上げ飲んだ。

 横でノワールは水面を眺めていた。覗く視界の先に、蠢く影が一つ。

徐々に大きくなってやがて水面から飛び出した。

慌てて、バックステップをした。

 しかし姿勢が不安定だったため。尻もちを着いた。

寸前まで僕がいた場所を、大きな影が空を切った。

危なかった。影は細長い巨体を持った<スロー・アリゲーター>だった。


 こいつは、中々アクティブだな。

討伐対象が現れた。戦闘開始だ。


 戦闘が始まった。弓を射るには少し距離が近い、それに今は尻もちを

着いているため満足な動きが取れない。そんな僕を獲物と捕らえ、はい寄る

<スロー・アリゲーター>の鼻先に蹴りをお見舞いした。

ダメージは余り通らない、しかし一旦のスキが出来た。

 蹴った反動を利用し立ち上がった。ノワールが<スロー・アリゲーター>の

尻尾に噛みついた。これは効いている。バーが徐々に減少しているのだ。


 この行動によりノワールの敵意ヘイトが上がった。その為、僕からの注意が逸れた。

「【ストロングアロー】」

アーツを放つ。攻撃を受けたことに怯む。更なる追撃をノワールが行い、挟撃を受け続けた〈スロー・アリゲーター〉は抵抗を出来ずに倒れていった。


 しかしビックリした。目立った被害はないが、ここに喉の渇きを満たしに来た生物が捕食されることになるだろう。被害が広がる前に、〈スロー・アリゲーター〉を討伐しよう。


…いない。あれから二体ほど倒して以降出てこない。

湖を半周ほど回ってみたが、出会えない。今ちょうど来た湖の反対側に回ってきたことになる、奥には少し深い森林が広がっている。

「(奥に進むか…)」

 そんな思案を浮かべ、奥に進んだ。


 進んだ先に、また<スロー・シカ>に出会った。

こいつはアクティブではない。そう思って油断した。

「ドスッ」

鈍い音と共に身体に衝撃が奔った。

角で刺された。それを認識できたのは、ぶっ飛ばされた後だった。

 すかさずノワールが<スロー・シカ>に攻撃を加え倒した。

でも僕は見た、ノワールに倒される前に、<スロー・シカ>HPバーが

大きく減っていて、体にはたくさんの傷があったことを…


 回復薬を口にして、HPを回復させた僕はさらに奥地に向かって足を運んだ。


嫌な匂いがする…鉄くさい自然界に鉄は存在しない、鉄のような匂いがする。

考えられるのは、一つだ。最悪の妄想を脳裏に浮かべながら、林を抜けた。

川だ。川が広がっている。しかし川辺に散乱するのは、幾つもの骸。


 骨の形には見覚えがある。<スロー・シカ>、<スロー・シマウマ>

などの動物の骨だ。なぜこんな風に散乱しているのだ?

 疑問が浮かぶ。しかし次の瞬間、疑問はすぐさま解決した。

「ミュゥーン」「ヒヒーン」

と甲高い悲鳴の様な音が二種類聞こえてきた。音の方向を見た。

何十頭モノの<スロー・シカ>、<スロー・シマウマ>が川を集団で渡る姿だ

 そして集団を<スロー・アリゲーター>と<スロー・クロコダイル>が襲う光景だった。<スロー・アリゲーター>と<スロー・クロコダイル>の違いは大きさだ。

 全長2~3.5mも満たないワニと全長4~5mの大型のワニの群れが

シカとウマの集団を襲う。


 弱肉強食そんな言葉が頭に浮かんだ。そうこれが自然界の摂理だ。

弱者は強射に、身を貪られその命の糧となる。そう生き、死ぬこと。

 これが命を持つ者に等しく与えられた試練。

眼前に広がる光景は、そんなあり方を漠然と感じさせた。

けど…どうしようもなくそんな摂理が嫌だった。

 だから弓を引いた。ワニ達に向けて矢を射る。


 射っている間、初めて兎を殺した時の矛盾を思い出していた。

人間は動物達を苦しめた過去がある。次の日の糧にする為ではない。

自らの、虚栄や満足、欲望の為にだ。


 そんな過去を持つ人間は再びペットを飼いたいと権利を主張した。

だからこのゲームで生物と向き合うために冒険を始めた。

 そんな僕がいま、生きるために捕食行動をしているワニ達を殺している。

これが果たして生物と向き合うということなのだろう。

わからない。けど矢を放ち。思いのまま射抜く。

新しい弓、若樹じゃくじゅの弓は、しなりが良く。矢を勢い良く放つ。

 その矢は、シカやウマに襲い掛かるワニに突き刺さり、一つの命の延命に繋がった。


 そんな行動は、やがてシカとウマの集団が川を越え、ワニ達が

水面に姿をみせなくなるまで続いた。


<クエストが完了しました>

<スロー・アリゲーター>討伐のクエストが終わっていた。

けど喜びはなかった。自己満足の行動は、何一つの喜びをもたらさなかった。



 何も考えず、きびしを返し来た道を戻る。

一刻も早くこんな場所から、逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。

…走る。駆ける。走る。そして「ボットン」と、大きな音を立てて沈んだ。


 みずうみから落ちた。

湖の水は、透き通った水中は、神秘的な景色を見せた。

神秘的な景色の前では先ほどまでの凄惨な光景を忘れてしまいそうになる

ほど美しさだった。けど忘れてしまってはいけない。

自分のしたことを…この世界で歩み続けるために…


 湖から上がった時には、頭が覚めていた。

迷いが無くなったわけでもない、けど矛盾を抱えて進むことを、何となくだが決めたことだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ