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全力でやってみる。

1月20日。


練習開始。


ギターとベースは、にっしの家にあるものを借りた。


やる曲は翔と僕とで決めておいた。


オアシス Don't look back in anger


これしかない。


スコアをにっしから取り寄せてもらった。


にっしはものの10分ほどである程度叩けるようになった。


尊敬します。


僕と翔はにっしに教えてもらいながら練習。


ギターって、CとかDとか意味わからん。


そしてギターを始めた人の最難関ポイントである

Fコードに差し掛かった。


挫折寸前。


指先はマメだらけ。


一方の翔はというと、器用な奴っているんですね。


一週間もしたらある程度弾けるようになってる。

あとでわかったけど家に帰ってからも、ずっと練習してたみたいだった。


そんな努力をしてるなんて僕は知らず半分諦めかけたりもして、練習はにっしの家にいるときだけ。


自分てマジ、くそやろう。


やるっていっといて、結局あきらめかけてる。


練習が終わったあと久々に特等席に向かった。


今でも覚えてる。


1月30日。


練習を始めて一週間たった辺り。


その前日は雪が降ってて特等席に向かう道は雪が積もってるかと思ってスコップを持っていった。


ちなみに練習を始めてからは一度も特等席には、行ってない。


その日はいつもより一時間位遅く特等席に行った。


あれ?特等席までの道が雪かきされて歩けるようになってる。

一週間も来てないなら膝辺りまで積もってると思ったのに。


特等席まで走った。


確信した。


遥香ちゃん・・来てたんだ。

ゴミ箱には僕が大好きな缶コーヒーの空き缶。


喉の奥が苦しくなるのが自分でもわかった。


こらえきれなかった。


僕みたいな奴でも、会いたいって思ってくれてる人がいる。


「マジ・・マジで・・どうしようもないバカだ。」


家に帰って練習した。


朝まで練習した。

手のマメはつぶれてた。

いたかったけど、きにならなかった。


2月15日。


にっしがドラムを叩き終え、歓喜の声をあげた。


僕と翔も嬉しさを隠しきれなかった。


ついにやった!あとは遥香ちゃんを誘うだけ!


ずっと遥香ちゃんとは連絡をとらないでいた。

ふさぎこんでるって話だしなにを話したらいいかわからなかった。そしてなにより驚かせたかった。

その夜、


今度の日曜夜の七時、特等席にこられる?

と、メールした。


返事はなかった。


ちなみに日曜は明後日。


来ると信じてた。


当日、にっしの家にはワンボックスカーがあり、

それに機材を積み込み、にっしのお父さんの運転で一時間前の6時に着くようにして、

特等席の正面に機材をセッティングした。


にっしの家にはすべてがそろってた。

裸の大将使えます。


時間が近づいてきた。

緊張マックス。


近所から苦情が来ないようにボリューム調整しながら、彼女をまった。


遠くの方にうっすら人影。


僕は近づいていく。


遥香ちゃんだ。

「久しぶり。」


彼女はいつもの笑顔でいてくれた。


僕は彼女の手を引き特等席に座らせた。


彼女は機材を見ると、目を丸くして状況を飲み込めない感じ。


僕はマイクの前にたち、横にいる翔をみた。

翔はにっこり笑いうなずいた。


うしろのにっしはドラムを叩く際の定位置に。

笑顔でうなずいた。


そして僕は空を見た。


星がめっちゃきれい。


僕が・・・・できること。


全力でやってみる。

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