プロローグ The lost world
「チッどういう事なんだ、まさか仮想現実が現実になるなんて、ファンタジーも程々にしてほしいな」
いきなりこんなことを言われても、何が何だかわからなくて誠に申し訳ない限りだが、どうやら仮想現実が現実になったらしい。
僕の名前は不知火 鈴、どう考えても男に着ける名前ではない。
俺はフレンドリスト―――つまり友人を登録するシステムで、妹に念話――――簡単に言うとオンラインゲーム内でよくある、ささやきといったところだろう――を利用する。
『お兄ちゃん!?どうなってるの!?』
妹はかわいらしい声であるが、今は焦っており、そんなことどうでもいい、やはりこんなことになったら焦らずにはいられない。
「凛、今どこにいる?ガント城内のどこかならすぐに行けるが…」
凛――それは妹の名前で、ギルド白の勇者達のマスターである。
ガント城内――ガント城と言う名称で、その内部のマップをガント城内と言う。
『光の城にいるよ!いまギルドメンバーは…収集した人を含めて45人位!』
光の城―――ガント城の王から戦争で勝利し、分け与えられた土地の一つ、その広い土地に建てられた白の勇者達の拠点、闇の城の反対側に位置するガント城外部付近の城。
「了解、いまからポータルを使ってそっちに行く、マスタールームで待っていてくれ」
マスタールーム――ギルドマスターが選んだ精鋭達のみ入れるギルドマスターと会う部屋、まあ謁見部屋みたいなものだ。
『分かったよ!じゃあまってるね』
念話を切り、他の奴に掛ける。
「おい!ヴェン!聞こえるか!」
ヴェン―――ギルドサブマスター、古くからの付き合いで、中性的な声の女性、何度も戦争と大規模戦闘を渡ってきた仲間だ。
『五月蝿いですねーマスター、少し落ち着いたらどうです~』
通称のほほんさん、こんな状態でも平常運転ですか…
「こんな状態でも平常運転かよ…ヴェン、光の城へのポータル状況は?」
ポータルがもしかしたらうごいてない可能性もある、そのため一応聞いておこう。
『そちらも平常運転ですよ~大丈夫です~』
「了解!じゃあ今からワープするからポータル起動頼む」
『了解です~』
こちらも念話を切る、そして左腰につけていたマジックバッグを開けてワープ石をを取り出す、ワープ専用の記録石と言うものに位置を書き込み、ワープと言う魔法を封じ込めた結構使われている移動石だ、それを使い闇の城内部に入る、周りにはギルドメンバーがおり、ガント城内の冒険者―――プレイヤー達と違い、落ち着いている。
すると猫耳を生やした子供の冒険者が走ってきた。
「あ、マスターだにゃ!ポータルまであんないするにゃー」
こいつはにゃん丸、語尾のにゃが特徴の猫人種族だ、種族には、人、エルフ、ドワーフ、犬人族、猫人族だ、確か他にもいた気がするが…今はまあいいだろう。
「にゃん丸、頼んだ」
「こっちにゃー」
「ついたにゃ!このポータルをくぐれば行けるにゃ!」
「ああ、じゃあ」
「ばいにゃ~!」
ポータルに足を出して、光の城へ行く、まったく、何が何だか・・・