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夢のかけら  作者:
2/2

オーディション

そしてオーディション当日・・・


緊張のためか眠りが浅かった私は朝早くから準備を始め、何回・・いや何十回、鏡と格闘したことか・・。

緊張と不安が入り混じり慌しい私を横目に、私より遅く起きたはずの沙奈は淡々と用意をすませ、準備万端といった感じで雑誌を読んでいる・・・。

また、その余裕が腹立たしいが、時間も迫っていたので私も用意をすませ、沙奈と二人でオーディション会場のビルへと向かうことにした。



オーディション会場に到着すると私の緊張はさらに加速し、この短い人生の中で一番ではないかと言うほどに心臓の音が鳴り響く・・・・・。


(こんなに緊張していて上手くできるかな・・・・ううん、絶対大丈夫!あんだけ練習したんだから・・・・・うん、とりあえず気持ちを落ち着かそう・・・・)


そう思った私は目を瞑り深呼吸を何回も繰り返す。

そんな私の横から、

「ふわァァ〜」

と言う声が聞こえたので、目を開き横の沙奈に目をやると、口に手を当て大きなアクビをしている・・・・・・。そしてアクビを終えた沙奈と目が合うと、エヘッといった感じに微笑んだ。


この余裕が腹立たしくも羨ましい・・・・。




オーディションの時間が近づくにつれ、会場の中は人で溢れていった。

大きな舞台ではないとはいえ、主役選考ともなるとやはりすごいものだ・・。

これだけの中から主役として選ばれるものはたった1人だけ、この人数からするとかなりの倍率である。


でも、正直自信も少しはあった。

この日のために妹や劇団の人と練習していた以外にも私は影でかなり練習を積んでいたし、最後の数週間はほとんどの時間をこの練習に費やしたから・・・。


ここまで何かに没頭し努力したのは始めてかもしれない。


だって、どうしても、



沙奈の上を行く役を取りたかったから・・・・。





少し時間も過ぎたあたりで、審査員らしき人達数人が会場へと入ってきた。

そして各々の席に着くと、その中の若い男の人がオーディションの説明を話しだした。


説明内容はと言うと・・


まず、私達受験者が書類審査合格時に送られてきた番号札順に呼ばれる。

呼ばれた人は簡単な自己紹介と審査員の質問に答え、それが終わったら一次審査の課題である歌を歌たってその人は終わり。

全員が終わったら一次審査の合格者発表をし、合格者のみ二次審査の演技へと移るという事だ。


説明を話し終わると、何か質問があるかどうかを確認し、そして番号札一番の人から名前を呼ばれ一次審査が始まった。

それと同時に、少し落ち着きを取り戻していた私の心臓の音が、また早くなっていくのがはっきりと分かった。

周りの子達も緊張した面持ちで、今やっている子を見つめている。



そして私より前の番号だった、沙奈の出番がやってきた。



「次、37番今井 沙奈さん」


「はい!よろしくお願いします。」



沙奈もやはり緊張しているのか、返事の声が少し震えてるように感じた。

でもさすがと言うべきか、自己紹介を終えた時には落ち着きを取り戻したらしく、いつもの愛想がよく可愛らしい沙奈に戻って審査員の質問の受け答えをしている。


そして歌いだした瞬間、審査員の目の色が変わったのがすぐ分かった。

それもそのはず、他の子たちと比べると抜群に上手い!

この沙奈の歌を聞いて戦意喪失した子はかなりいただろうな・・・。

いつも聞いている私でさえ、この歌声には聞き入ってしまうんだから。


歌も終わり挨拶を済ませると、私に「も〜、すっごい緊張した」と小声で言うと、私の横へと腰を下ろした。

そして、とうとう私の出番がやってくる・・・・



「え〜と、38番今井 麻奈さん」



「はい!」


{がんばって}

その沙奈の声に、私は軽く頷くと(絶対受かってやるんだ)そう心に言い聞かせながら、

私は握りこぶしを強く握り前へと歩き出した・・・。


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